MAZZELであることの誇り、真摯に届けた圧倒的な“声” 初アリーナツアーで8人が更新した現在地のすべて

MAZZELにとって初の全国アリーナツアー『MAZZEL 1st Arena Tour 2026 "Shall we hit the Banquet?"』は、彼らの躍進ぶりをあらためて証明するツアーとなった。
全国5会場11公演を巡った今回のツアーでは、4月8日にリリースされた2ndアルバム『Banquet』の楽曲を軸に、文字通り『Banquet』=“饗宴”のように華やかでコンセプチュアルなステージを展開。メンバー8人それぞれの個性が、時に重なり合い、時にぶつかり合うことで、MAZZELにしか生み出し得ないエンターテインメントを創出してみせた。そんなツアーの追加公演、6月6日、7日に行われた東京・国立代々木競技場 第一体育館2DAYSのうち、1日目のレポートをお届けする。
当初予定していたツアー9公演分のチケットが完売したことを受けて実現した今回の追加公演。会場の国立代々木競技場 第一体育館は、キャパシティ的には本ツアーでも最大規模であり、MAZZELが単独で立つのは初めてとなる。約1万2000人のMUZE(ファンの呼称)たちが期待に胸を膨らませるなか、メンバー紹介を兼ねたスタイリッシュなオープニングムービーを挟み、ライブは2ndアルバムの1曲目にも置かれた「BANQUET BANG」で幕を開ける。ステージには同曲のMVを想起させる円卓のセットが中央に大きく鎮座し、メンバーたちは各々ステージ上を動き回りながら矢継ぎ早に歌やラップを繋いでいく。全員が自由に移動しているように見えて周到にポジションを入れ替えながら見せ場を作っていたのがポイントで、ラストは全員が円卓に着席して、メンバーが集うショットを卓上に設置されたカメラの視点でスクリーンに抜いて締め。まるでひとつの映像作品を観ているかのような作り込み具合がすごい。

かわって息の合ったフォーメーションダンスで魅せたのが「MAZQUERADE」。ゴシック調のサウンドや蝋燭のように灯る照明が不気味な雰囲気を演出するなか、RANがネジを巻くような音に合わせて妖しい人形のようにポップダンスを決める。かと思えば、メタリックなビートがインダストリアルなムードを放つ「MAKERZ」では、カメラに向かってキックする動きに合わせてスクリーンの映像にヒビが入るなど、歌やダンスの練度だけでなく視覚効果でもショーを華やかに盛り上げていく。ステージに火柱が上がっただけでなく、NAOYAが手品のように手から炎を出すパフォーマンスでも驚かせた「Fire」、トロッコに搭乗してMUZEとより近い距離で歌った「Get Down」、メンバーもタオルを回しながら盛り上がったソウルフルなポップチューン「CAME TO DANCE」と、馴染みのナンバーも趣向を凝らした見せ方で楽しませる。「MUZEを全員幸せにする」という確固たる信念と、その日その瞬間を全力で謳歌する姿勢。それがMAZZELのライブの根幹にあるものだということが、この序盤のブロックだけでもひしひしと伝わってきた。
MCパートでは、彼ららしい気取らないフリートークで笑いを提供しつつ、客席のブロック単位やメンズ、レディース、キッズなどに分けて声出しを行い、MUZEたちとの距離を詰めていく。するとメンバーたちは「お疲れさまでしたー」となぜか退場していき、ステージにはNAOYAとHAYATOだけに。戸惑った様子のふたりが「とりあえず上行く?」とステージセットのステップを上がるために後ろを向くと、背中にはいつの間にかかわいらしいリュックが。「みんな、今日は自分のこといちばんよしよししてあげてくださーい!」と呼びかけて、ふたりのユニット曲「to me」でポップかつポジティブなメッセージを届ける。

そのかわいらしいステージから一転、NAOYAがHAYATOの身だしなみを整えてあげて香水を振りかけるとワイルドな顔つきに変わり、ほかのメンバーも合流してバンギンなエレクトロR&B「T.O.P」に突入。そこから繊細な歌とダンスでチルな幻想世界に誘った「Fantasy」、KAIRYU、RAN、TAKUTOが極上のハーモニーで哀切感たっぷりに想いを届けたバラード「I'm yours, You're mine」に繋げると、今度はTAKUTOの「落としてやるよ」という言葉を合図に、彼がコレオグラフを担当したヒプノティックなトラップソウル「Trap」へ。同曲の作詞作曲を手掛けたSEITOが、NAOYAと艶やかに絡んだり、最後はTAKUTOと向かい合いながら歌う場面ではひと際大きな歓声が上がる。さらに「前半戦終わっちまうけど、そんなもんでいいのか? かかってこいや!」(SEITO)と獰猛に煽って和楽器×バングラビート風のアッパーな「DANGER」を投下。たくましくも美麗なボーカル、鋭いラップ、ダイナミックなダンスが交差して、会場のボルテージを一気に引き上げていく。前半戦を締め括ったのは、凄み溢れるパフォーマンスでMUZEのナイトであることを証明すると同時にキングの座へと昇り詰めていく「K&K」。それぞれカラーの異なる楽曲を矢継ぎ早に放ちつつ、それを違和感なく表現できるのが、今のMAZZELの実力だ。
バラエティ番組仕立ての人気コンテンツ「MAZZEL ROOM」(通称「まぜべや」)の番外編となる幕間映像を経て、後半戦はギター、キーボード、ドラムスから成るバックバンド・MAD MAGAZINEを迎えて生演奏との融合によるステージングを展開。ブラックを基調としたツアー初披露の新衣装に着替えた8人は、パワフルかつヘヴィネスなバンドサウンドでさらに推進力が加わった「HERO SUIT -All Members ver.-」でどこまでも前に前に突き進む覚悟をあらためて示すと、N.E.R.Dばりのエネルギッシュなバンドアレンジで会場の熱気を頂点まで高めた「J.O.K.E.R.」、RANの「ここまでたくさんのいろんな思いをしてきた。でも今日、今までの思いを代々木に置いて、次に進む。それが俺たちの“MISSION”」という前口上が楽曲のエモーショナルさを引き上げた「MISSION」と立て続けていく。「MISSION」のラスト、8人が横並びで背中を向けるなか、スクリーンにMAZZELのロゴが大写しになる演出は、本公演のなかでもとりわけ胸が熱くなる瞬間だった。

そんな漢気溢れるステージから、「一緒に歌ってほしい」と呼びかけて会場が一体となったのが陽気なパーティーチューン「Get Up And Dance」。USのファンクバンド・Freedomが1979年に発表した同名曲をサンプリングしたナンバーで、同じく同曲をモチーフにしたスチャダラパーの楽曲「GET UP AND DANCE」が子ども向け番組『ポンキッキーズ』(フジテレビ系/BSフジ)のテーマ曲に使用されていたので、聴き覚えのある人も多いことだろう。MAZZEL版はスチャダラパー版で追加された「♪パーパラ」というコーラスをそのまま採用しており、その大合唱とディスコラップ風のメンバーによる掛け合いがとびきりのファンタイムを作り上げていく。
続く「Parade」では、RYUKIの絶叫のごときシャウトからKAIRYUの卓越したフェイクに至る流れで一気に引き込み、ダーティーなギラつきに満ちた「King Kila Game」でゴリゴリにバイブスを上げていく。さらに「なんかイチゴ食べたくなってきたなあ」(NAOYA)という唐突な前フリから新曲「So Strawberry」を披露。ブラスも交えた軽快かつグルーヴィーなサウンドと甘めな歌い口が印象的なナンバーで、歌詞の内容に合わせてメンバーが次々に投げキッスするサービスも。「King Kila Game」でのちょいワルな振る舞いとの温度差がおもしろい。

その後のMCで、新衣装のデザインはメンバーそれぞれの意見やアイデアを取り入れてもらったことを明かし、全員どこかしらにグループ名を象徴するロゴ“MZ”が入っていることをアピール。MUZEの前で自慢の衣装について楽しそうに語らい合う姿に、こちらの心まであたたかくなってしまう。そして、本ツアーと今回の追加公演への想い、MUZEへの感謝の気持ちについて、メンバーそれぞれが口にすると、締めのRUNが「これからもでっかいステージに立つこともあると思います。でも、みんなで音楽を作って、ひとつの空間で、ライブで、音楽を楽しんでいきましょう」「僕の今までの人生と、みんなの人生と、そしてあなたの人生に。愛を持って歌います」と告げると、MAZZELをひとつ上のステップに押し上げた名バラード「Only You」を8人で歌唱。同曲はNAOYA主演のドラマ『セラピーゲーム』(日本テレビ系)のエンディングテーマとして書き下ろされたものだが、歌詞に描かれたひたむきな愛の気持ちは、MAZZELからMUZEへの想いにも重なるものなのだろう。彼らの切なる歌声とパフォーマンスが、そのことを証明する。
EIKIが「あなたの笑顔は俺たちだけのものです。どうかこれからもずっと、あなたのクローバーでいられますように。見つけてくれてありがとう」と語り掛けると「Clover」で晴れやかに飛翔。メンバーたちは肩を組んだりしながらステージを行き交い、まっすぐな想いを伝えていく。再びトロッコに乗ってMUZEのそばでレイドバックした歌を届ける。ネオソウル調の「Our Life Is Always Right」、一転してトロピカルなサウンドとしなやかなボーカルワークで一足早い夏の景色を描いた「Seaside Story」と続け、「終わっちゃうよ」「終わりたくないよ!」と口々に漏らしながらアシッドジャズのような風合いのグルーヴィーな一曲「Vivid」へ。サビでは会場中がハンズアップして盛り上がり、再びメインステージに舞い戻った8人はダンスしながら「We are MAZZEL」と誇示し、最高の思い出をMUZEたちに刻み込んでいく。

そして、「俺らと一緒に声出せますか!」と呼びかけて「♪ラララ」と大合唱が巻き起こるなか、この日の公演の幕開けを飾った「BANQUET BANG」を再度披露。ここまでのライブを経て高まった饗宴の熱をすべて放出するように、ますますアグレッシブなパフォーマンスで会場を蹂躙し、銀テープの発射やファイヤーボールといったド派手な演出も加わって、エンディングを盛大に駆け抜けていく。最後は8人で整列して生声で「以上、俺たちはMAZZELでした!」と挨拶。会場中が拍手喝采に包まれてフィナーレを迎えた……と思いきや、暗転した会場に響き渡るメンバーたちのアカペラ。彼らが本公演の最後に用意していたのは「The Voice」。8人の真摯な“声”=「The Voice」にフォーカスした、2ndアルバムのなかでも屈指のエモーショナンを誇るナンバーだ。ステージに張られた本ツアーのライブロゴをバックに、各々のドラマを背負ってひたむきに歌を届けるメンバーたち。ストイックなまでにクオリティを追求したパフォーマンス、豪華絢爛なステージ演出、MCではお茶目な一面も見せつつライブでは一気に自分たちの世界に引き込む表現力。それらすべてが間違いなく超一級だが、その魅力の根底にあるのは彼らの“声”の力であり、それを育んできた努力と人間力こそが、MAZZELを今の場所まで押し上げたことを実証する2時間半、全27曲におよぶ濃密なライブだった。
■セットリスト
01. BANQUET BANG
02. MAZQUERADE
03. MAKERZ
04. Fire
05. Get Down
06. CAME TO DANCE
07. to me (NAOYA/HAYATO)
08. T.O.P
09. Fantasy
10. I’m yours, You’re mine (KAIRYU/RAN/TAKUTO)
11. Trap
12. DANGER
13. K&K
14. HERO SUIT -All Members ver.-
15. J.O.K.E.R.
16. MISSION
17. Get Up And Dance
18. Parade
19. King Kila Game
20. So Strawberry
21. Only You
22. Clover
23. Our Life is Always Right
24. Seaside Story
25. Vivid
26. BANQUET BANG
27. The Voice


























