「ヤングスキニーはロックだった！」　“バンドが好き”の気持ちに真摯に向き合ったZepp DiverCity公演

　今年3月にリリースした最新EP『不器用な私だから』で、彼らは〈バンドが好きで 音楽が好きで あいつが好きで 俺は今日ここで歌ってんだ〉と歌っている（「精神ロック」）。そしてバンドにとって最大動員となったツアー『"老いてもヤングスキニーツアー vol.3" 2度あることは3度ある編』ファイナルの舞台・Zepp DiverCity(TOKYO)でかやゆー（Vo/Gt）は「ヤングスキニーはロックだった！」と叫んだ。

　開演時刻になると、しおん（Dr）、りょうと（Ba）、ゴンザレス（Gt） 、かやゆー、サポートメンバーの中野郁哉（Key）がゆっくりとステージに登場する。全員が定位置につくと、かやゆーのギターリフを合図に、バンドは「ヒモと愛」でライブの口火を切った。〈保証はないけどあなたを幸せにできる気がする〉と、目の前のファンへの宣言のようにも聞こえるフレーズを高らかに歌い上げると、「最後の最後までみんなを持ち帰るつもりで頑張ります」と意気込み、「ゴミ人間、俺」へ。さらにヒリついたロックチューン「愛の乾燥機」を続けて観客のテンションを引き上げた。

　ツアーファイナルということで思いの丈もたくさんあると思いきや、最初のMCで「もう話すことないです」と無言になってしまう4人。ステージ上でも一切飾らないのが彼らの魅力だ。そんな中、ツアーの思い出を話すことになり、打ち上げでかやゆーが他メンバーに酒を飲ませようとしたら逃げられたというエピソードで盛り上がる。そしてかやゆーが「本当に（逃げるのを）やめてほしいわ、本当にね。……本当はね」とタイトルコール。「本当はね、」でライブを再開させた。曲が終わると、静まり返った場内に、深みのあるドラムの音が鳴り響く。そしてかやゆーが「いつのまにか、いつのまにか、いつのまにか綺麗になってしまったあの子との昔の話の歌を」と言い、バンドは「美談」を丁寧に届けた。情景と心情をリアルに描いたバラード「ワンナイト」、そんなムードを切り裂くような鋭いギターリフから始まる「愛鍵」へとなだれ込んでいく。さらにそんな一連の恋愛に終止符を打つように「8月の夜」を畳み掛けた。しかし勢いを加速させたバンドはそれでも物足りず「足りねえよ！」と声を上げ、バンドは「不純愛ラブストーリー」を挿し込み、観客を熱狂させた。