ヤングスキニーが伝える“リアル”な言葉たち 『BOY & GIRLS』から見えるバンドの現在地と原動力に迫る
10月9日、ヤングスキニーの約1年半ぶりの2ndフルアルバム『BOY & GIRLS』がリリースされた。まず、そのタイトルが目を引く。ヤングスキニー、もしくは、かやゆーに対してどのようなイメージを抱いているかは人によって様々だと思うが、おそらく多くの人は、この単数系の“BOY”という言葉に、かやゆーのプレイボーイとしてのイメージを重ね合わせるのではないだろうか。
自らのパブリックイメージを逆手に取って利用しながら作品に落とし込んでいくクレバーさや遊び心は、今作に収録されている先行リリース曲「プレイボーイシンドローム」などにも見られたが、今作を聴いて思ったのは、そして今回のインタビューを通して確信したのは、すでに4人は、この1年半の歩みを過去のものにしながら、これから先の未来を見据えて走り始めているということだった。アルバムを主軸としたインタビューではあったが、結果的に、今後のヤングスキニーのさらなる躍進を予感させてくれるような話をいくつも聞くことができた。ヤングスキニーは、これからも日々絶え間なく変化し、進化し続けていく。今の彼らのリアルに伝える言葉たちが、1人でも多くの人に届いたら嬉しい。(松本侃士)
『BOYS & GIRLS』ではなく『BOY & GIRLS』、タイトルの理由とは?
──今回、約1年半ぶりのフルアルバムとなりますが、今作の構想はどれくらいの時期からあったのでしょうか?
かやゆー:たぶん1年ぐらい前に大人に言われて、この時期には次のアルバムを出そうねってスケジュールをもらってて。ただ、なんだかんだこの1年半の間にちょくちょくシングルなりEPなりを出してたんで、フルアルバムに向けてすごい気合いを入れてたっていうよりは、いつもどおり曲を作って、その曲たちを集めてアルバム出そうぐらいの、そういう心持ちでした。
──たとえば、「精神ロック」や「愛すべき日々よ」って、今のヤングスキニーにとって特に重要な曲であるからこそ、今回のフルアルバムにも入ったのではないかと想像しました。すでに出したEPからどの曲を入れるかについて話し合ったりはしたんですか?
かやゆー:フィーリングがみんな合ってたから、そんなに深く話さなくても、入れたい曲はこれだよねってなって。意味合いとかを深く考えたわけじゃないんですけど、自分たちが好きだなって思う曲は自然と入れようってなりましたね。
ゴンザレス:どのバンドもそうだと思うんですけど、昔と今で経験や知識が増えてきて、ちょっとずつ形が変わっていく感じがあって。やっぱ昔のEPはその時のもので、今回は直近のツアーやライブからインスピレーションを受けたりした上で、自分たちのやりたい音楽を詰め込んだって感じというか。まさに“今のヤングスキニー”が詰まっていると思っています。
しおん:やっぱり、ライブなんだと思うんですよね。このアルバムに入ってる既発曲はだいたいライブでやってる。日頃からライブの回数は結構多いんで、メンバー間でもそこの意思疎通はできてるのかなっていう感じです。
かやゆー:それこそ「精神ロック」は、ライブを重ねる中でよりいいなって思うようにもなっていったんで。今しおんも言いましたけど、やっぱライブを重ねてきた今の自分たちが曲選びに繋がってきたのかなと思いますね。
──りょうとさんは、いかがですか?
りょうと:そうですね。まあでも「精神ロック」とかは……。
かやゆー:「精神ロック」、僕言ったんで違う曲に。
一同:(笑)。
りょうと:そうだなぁ、「愛すべき日々よ」とかは結構アンコールでやったりする曲で、ヤングスキニーらしいというか。そういう曲を改めて今回のアルバムに入れられるのっていうのはいいなと思いましたね。
──今回、アルバムのタイトルが、『BOY & GIRLS』じゃないですか。最初、このタイトルを見た時に、『BOYS & GIRLS』だと勘違いしてしまっていて。ただ、2曲目「有線ラジオで僕の歌が流れていたらしい」の歌詞の中では〈Boys〉と複数系で歌っているんですよね。アルバムのタイトルをあえて『BOY & GIRLS』というように単数系にしているのは、きっと意図的だろうなと思って、野暮かなと思いつつ聞いてみたいと思いました。
かやゆー:すごく深い意味合いがあるわけじゃないですけど、『BOYS & GIRLS』っていうタイトルの作品を出しているバンドが多かったりするんで、俺らもここでそういうタイトルで出すのもいいなって思いつつ、俺のブランディング、ないしは、ヤングスキニーの今までの在り方を踏まえた時に、ここで『BOY & GIRLS』にした方が面白みがあるかな、ってぐらいですね。
──この“BOY”について、かやゆーさんのことを指してるように受け取る人はきっと多いのではないかと思います。
しおん:でも、言うても僕たちは最近のかやゆー君を知ってるからなんですけど、もうこれが最後な気もするなっていう感覚もあって。僕は、半分無理してこのタイトルを付けたのかなって思ったんですよね。今までのアルバムやEPのタイトルって素で付けてたりするんですけど、言っちゃ悪いですけど、急にかっこつけた。
一同:(笑)。
りょうと:世間一般的には、かやゆーは女遊びめちゃめちゃしてるって感じだと思うんですけど、僕らメンバーから見ると、別にもう女遊びしてないし。
かやゆー:そんなん、ちょっと言わないでもらっていいすか(笑)。
りょうと:ごめんごめんごめんごめん(笑)。そんなことないです。いや、わかんない、メンバーに隠れて遊んでる可能性もあると思うので。
──どこまで記事に書くか、みたいな話も出てきますよね。
かやゆー:このやり取りまで含めて書いてください(笑)。
しおん:でも、それってきっと、かやゆー君の身近にいる僕たちだから感じているだけのことであって、お客さんからしたらこの『BOY & GIRLS』こそが、かやゆー君のイメージにドンピシャだと思うんです。でも、僕的には最近のかやゆー君を知ってるから。言ってしまえば、かやゆー君、別にもうそんな遊んでないでしょっていう。だから、これからできる曲たちは意外と『BOY & GIRLS』じゃない曲かもしれないし。僕自身、メンバーとして、これからが楽しみだなって思いました。
──まさに、メンバーならではの観点だと思いました。
かやゆー:今回のアルバムにはこの1年半の間に出してきた曲を収録していますけど、それこそメンバーはまだ世に出ていない最近できた曲を知ってるわけで。今回のアルバムの新録曲を含め、僕たちの中ではめっちゃ新曲だっていう印象はないんですよね。今後の作品がどのような系統のものになっていくかは、僕自身もわかんないっすよね。本当に自分が体験した、自分のその瞬間の感情しか歌にできないから。今回は一応ラジオっていうコンセプトがありますけど、同じような系統の曲ばかり集めたとか、そういう統一感はなくて。今後もどんどん変わっていくと思いますけど、逆に、よく言えば、それがいろんなジャンルの音楽に広がっていくきっかけにもなるかなと。