s**t kingzが新作舞台『See』で向き合う「見る」ことへの意識 人と向き合い、走り続けた2024年を語る

s**t kingz、走り続けた2024年を語る

s**t kingzらしい舞台とは“壮大じゃない舞台”

s**t kingz(撮影=加古伸弥)

――『See』ならではの話し合いや準備などはありましたか?

NOPPO:いつも以上に話し合いが深い気がします。人間性を突き詰める、というか。

kazuki:『ハロルミ』も人間性の部分を重視した話だったけど、それをあえて人形でやっていて。でも、今回はs**t kingzそのものな感じですね。

shoji:素に近い状態で舞台に立つことになると思います。

kazuki:そうそう。僕らがs**t kingzとして舞台に出るので、“ダンサー・s**t kingz”の人間の部分がパフォーマンスとして紡がれていく作品になる予定です。だからこそ、人によって違う価値観には嘘がつけないというか。

――なるほど。Oguriさん、NOPPOさんは「新しいチャレンジをする予定」という旨をお話しされていました。

Oguri:そうですね。アイデアを考えて、考えて、もう何も出なくなったと思っていても、ふとシャワーを浴びている時なんかに「これイケるかも」と思いつくんです。だから、本番までのあいだにも新しいチャレンジのアイデアが思いつくかもしれません。

NOPPO:誰かがボソッと言ったことに対してみんなで肉付けしていくことで、「新しいね」「面白いね」となることが多い気がしていて。そういう場面はこの先もあるのかなと思っています。『ハロルミ』や『The Library』(2018年上演)のように僕らから明確なものを提示するのではなく、『See』はお客さん自身がそれぞれ受け取る部分が多くなるのかなって。それ自体、僕らにとっては新しい。僕らの解釈で勝手に形作ってショーにするだけではなく、ちゃんと余白があるので、「新しいチャレンジ」と思ったのかもしれません。

――お話を聞いていると、皆さんらしい作品になるんだろうと想像がついてきました。皆さんから見て「s**t kingzらしい舞台」とは、どんなものだと思いますか?

kazuki:“壮大じゃない舞台”ですかね。僕らが初めて舞台をやった時、設定もメッセージも必要で、“壮大なもの”という先入観があったんです。もちろんそういった部分も大事なのですが、僕らにとってはそこがいちばんなわけではなくて。自分たちだけのステージで、いつも通りやることを大切にして始めた舞台なので、伝統的な舞台でしょうもないことを本気でやっちゃう。そして、そのしょうもないことをするための照明や衣装、演出にはすごくこだわる。そこも僕ららしさかなと思います。

――たしかに、皆さんの舞台を拝見するといい意味で構えなくていいというか。

Oguri:そうなんですよね。敷居は低いのに、隠された本格的なものがたくさんある舞台がいちばん理想です。

kazuki:厳かに感じる真面目なシーンも大事ですが、それだけしかない舞台をシッキンでやる必要はないと思うんですよね。

NOPPO:シッキンって愛嬌があるじゃないですか。

shoji:それは自分ではあんまり言わないことだよ(笑)!

NOPPO:(笑)。でも、表では「ウェーイ!」って楽しそうな、大味に見えることが多いと思うんです。実は繊細なことをやっていたり、緻密に考えていたりもする。それを僕らのキャラクターを通すことで、堅くならなくてもいいようにできているのかもしれませんね。

――裏の計算があるから、表の「ウェーイ!」が素敵に見える。

shoji:だからこそ、お客さんが事前準備をしなくてもいい舞台を作りたいんです。

kazuki:準備しておいてほしいのは、時間とお金だけ!

shoji:何公演も観られたらより楽しめるから(笑)。

kazuki:あと、体調だね!

shoji:ちなみに、今回のグッズも可愛いです!

s**t kingz(撮影=加古伸弥)

s**t kingz(撮影=加古伸弥)

――楽しみです! ちなみに今回のテーマにかけて、日常で「見なきゃよかった」と思った出来事はありますか?

NOPPO:いっぱいあるなあ。

Oguri:X(旧Twitter)って、自分がフォローしていなくてもおすすめでガンガン流れてくるじゃないですか。そこで気持ち悪い写真を見た時は「見なきゃよかった……」と思います(笑)。

kazuki:僕は、夜中に疲れて帰ってきて、家族がもう寝ている時に、飼っている犬が粗相したのを見た時かな。トイレシートが2カ所あるんですが、スタートはトイレシートなのにうちの犬は歩きながらしちゃうからはみ出ちゃうんですよ。疲れて帰ってきているけど、それを見ちゃったら片付けなきゃ、って(笑)。

shoji:僕は、このあいだみんなで中国に行った時に思った。飛行機で席に着いたら、CAさんが名前を呼びながら「ようこそご搭乗いただきました」と言ってくれるんです。でも、目の前で紙を出して練習されたんですよ。「Welcome Shoji Mochida……Welcome Shoji Mochida……『Welcome Shoji Mochida!』」って(笑)。その練習は見なきゃよかったなって思いました。

kazuki:Oguriは何回も料理を下げられそうになったしね(笑)。

NOPPO:そうそう、「まだ食べる!」って言ってた(笑)。

Oguri:僕、コーヒーが来るまでスイーツを食べないようにしていたんです。なのに何回も下げられそうになって。CAさんには「見えてない」状態でしたね(笑)。

NOPPO:僕は靴や洋服を「これいいじゃん!」って買ったら、次の月に色違いのもっとイケてるやつが発売された時。「見なきゃよかった〜」と思います。「黒のほうが欲しかった〜」って!

shoji・kazuki・Oguri:あるある!

shoji:こんな回答で大丈夫ですか? 「この人たち、こんな浅い話するのかな……」って舞台のチケット、売れなくならないよね(笑)?

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