s**t kingz、15年続く理由は「4人でやりたいことがあるから」 BE:FIRST、超特急らへの振付提供からも刺激

s**t kingz、15年続いた理由

 2022年10月に結成15年を迎えた、ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz。現在15周年イヤーの真っ最中で、2023年9月からは全国7都市を回る「s**t kingz Dance Live Tour 2023『踊ピポ』」&「s**t kingz Workshop Tour 2023」がスタート。そして15周年イヤーの集大成として、日本武道館にて「s**t kingz Dance Live 2023 in 日本武道館『THE s**t』」を10月25日に開催する。ダンスをしない人でも知っているほどに知名度を上げたshoji、kazuki、NOPPO、Oguriの4人は、今どんな心境なのだろうか。前回インタビューを行った2021年2月からの振り返りを含め、本人たちに話を聞いた。(高橋梓)【記事最後にプレゼント情報あり】

『HELLO ROOMIES!!!』は今だからできた舞台だった

s**t kingz

――前回ご登場いただいてから、約2年が経ちました。その間も皆さんのご活躍を様々なところで拝見していましたが、s**t kingzとして一番印象に残っている活動を教えてください。

Oguri:やっぱり去年の舞台『超踊る喜劇「HELLO ROOMIES!!!」』ですね。

s**t kingz 15th ANNIVERSARY PERFORMANCE ” HELLO ROOMIES!!! " ( For J-LOD )

kazuki:あれは頑張った! 僕たちの活動の中でも一番ヘビーなものが舞台なんですね。すべての準備にものすごく時間がかかりますし、セットや小道具、衣装もめちゃくちゃ複雑。その上、『HELLO ROOMIES!!!』はコロナ禍だったこともあって、全体稽古が予定していた半分ぐらいの日数しかできませんでした。そんな中で初日を迎えたので、初日がゲネプロみたいな感覚になってしまったんです。なのでツアーを回りながらブラッシュアップしていく作業が絶えなかったですね。毎公演何かが変わっていたし、時にはトラブルもあったし、そういう意味でも印象的でした。

Oguri:舞台独特の感覚があるよね。

kazuki:スタッフさんの動きも違うもんね。ダンスのステージは始まってしまえば照明と音がメインになると思うんですけど、あの舞台はスタッフ含め本番が始まってからもずっとバタバタしていました。

shoji:僕らも僕らで大変でした。例えば、セットが1個引っ掛かって決められたタイミングで決められた場所になかったら「どう話をつなげよう?」ってその場で考えたり。常にハラハラ感を抱えていた気がします。

s**t kingz shoji
shoji

――アドリブで対応できるのも、皆さんの豊富な経験があってこそですね。

shoji:15年間4人でやってきたからこそできる部分もありますが、スタッフさんも長らく一緒にやってくれているチームだから成立しているところもあります。『HELLO ROOMIES!!!』は今だからできた舞台だったんだなと感じます。

――グループとしてはもちろんですが、皆さんソロ活動も精力的に行なっています。この2年間、印象深かったソロ活動はありますか?

Oguri:僕は、『「クラウディア」Produced by 地球ゴージャス』。役がある状態としてミュージカルに出演するのも、ソロで歌うのも、殺陣に挑戦するのも初めての経験でした。新しいチャレンジがたくさん詰まっていた舞台だったのでやりがいがありました。途中中止になってしまった公演もありましたが、最後まで完走できたことは自分の中で糧になりました。

Daiwa House Special Musical『Claudia』Produced by CHIKYU GORGEOUS(For J-LOD)

――長く活動されている中で、また新しい経験ができるのは嬉しいことですよね。

Oguri:そうですね。ありがたいし、新しいチャレンジをずっとしていられる人間でいたいと思いました。演技でいえば、NOPPOもだよね。

NOPPO:僕は去年『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)に参加できたことが嬉しかったですね。名だたる役者さんと一緒にお芝居できたことがめちゃくちゃ勉強になりました。この歳になって初めて経験する緊張感もあって。ダンス以上にお芝居って繊細なんですよね。僕は、ドラマはカットが切り替わった一瞬や、0.1秒の表情が大事だと思っていて。それによって「このキャラクターはこういう感じなんだ」と喋らなくても伝わるじゃないですか。しかも『金田一』は、「この人が犯人かな?」とか「この人被害者になりそう」とか、わかりやすいキャラクターがいるドラマ。だからこそ、そのキャラクターを一瞬で伝えなきゃいけないという新しい課題が見つかって楽しかったです。

s**t kingz NOPPO
NOPPO

shoji:僕は、BMSGのMAZZELやLDHのオーディション(『iCON Z』)など、これからデビューする方々に関わることが多かった2年間でした。今まで以上に若い方と会って、彼らが変化していく様子に触れられたのがすごく刺激的で。僕らは15年やっていますが、若い方と一緒にいることで若いエネルギーと新鮮さを吸ってきました(笑)。なんとなく心が若返ったような数年だった気がします。

――ベテランの方とはまた違った魅力がありますよね。

shoji:そうですね。そもそも、彼らは見てきたものが違うんですよ。今の若い子たちって中高生で音楽を聴き始める時からK-POPがテレビで流れていたり、YouTubeで気軽に音楽を見聞きしたりするのが当たり前。もっと上の世代だと、例えばダンスが好きな人は海外のダンサーの動画を探して見ていたわけで。見てきたものが違う分、価値観や感覚、目指すものも違ったりするんです。それも含めて面白いなって思っていました。特に違うなと思ったのが、若い方たちってどこの事務所からデビューしたいって当たり前のように言うんですよ。うちらの世代って、そこまではなかったじゃん?

NOPPO:なかったね。

shoji:でも若いダンサーと話していると「自分はBMSGからデビューしたいんです」、「僕は韓国に行ってSM(エンターテインメント)からデビューしたいです」って。昔以上にいろんな生き方があるんだなって、オーディションに参加させてもらう度に感じていました。

――新人類ですね。

shoji:(笑)。同じダンスが好きな者同士なんですけどね。今は圧倒的に選択肢が広がっているので、「どうなりたいか」を僕たち以上に現実的に考えている世代なのかもしれないです。若い世代のダンサーの中でも、アーティストとしてデビューしたい人、ダンサーとして頑張りたい人が分かれていて、色んな選択肢があると気づかされます。と同時に、デビューすることが当たり前になっているんだなと、新しい感覚を教えてもらいました。

――なるほど。kazukiさんはいかがでしょうか?

kazuki:僕は、この2年いろいろやっていましたね。ライブの演出もしたし、ダンサーとしてツアーも久しぶりに回りました。それにYouTubeのツアー(YouTubeチャンネル「カズキのタネ」のトークショー&ワークショップツアー)を初めてやったり、アパレル(osolo Connection)のイベントをやったり、テレビの生放送に出演したり。その中で、森三中の大島(美幸)さんやオリエンタルラジオの中田(敦彦)さん、木村拓哉さん、YOSHIKIさん、HYDEさんなど、テレビで見ていた方々とお話する機会がめちゃくちゃ多かったです。

s**t kingz kazuki
kazuki

――刺激を受けたことも多そうです。

kazuki:度胸がつきましたね。これまで、先輩とコミュニケーションを取る時は持ち上げなきゃいけないって思ってしまう自分がいて。でも、そうしなくてもフレンドリーにお話しできる度胸がついてきました。それはすごく欲しかったスキルで。この2年、先ほど言ったようなテレビで活躍されている方々とたくさんお話ししたことで、初対面でも言いたいことが言えるようになったし、笑顔を引き出す会話ができるようになりました。それって、ダンサーとしても大事だと思うんですよね。振付や演出をする時、色んな人とのコミュニケーションが大切になるので。実力だけでドヤッているよりも人としてコミュニケーションを取ったほうが、自分のダンスの魅力に気づいてもらえる。なので、この先「人としても面白いし、ダンスも上手いって言われたい」と感じた2年でした。

BE:FIRST、超特急、MONDO GROSSO×満島ひかり…振付の仕事から得たもの

s**t kingz

――ダンス以外の個人のお仕事はもちろんですが、それぞれいろんなアーティストさんに振付をされていますよね。

shoji:そうですね。少し前に4人でBE:FIRSTの「Smile Again」の振付を担当しました。他の3人はこれまでそれぞれBE:FIRSTに振付をしていましたが、僕は初めてだったんです。自分が振付をしたものを踊っている姿が見られてすごく幸せでした。『D.U.N.K. -DANCE UNIVERSE NEVER KILLED-』のショーケースで初披露だったんですけど、僕たちも出演させていただいていて、生でパフォーマンスも観て。お客さんを引き込む力がすごくて、僕たちが作った以上のものを彼らの内側から出るエネルギーで表現してくれたような気がしましたね。振付って、それだけだとただの動きでしかないんですよ。もちろん魂を込めて作っているんですけど、BE:FIRSTが人の心を揺り動かす表現にまで持っていってくれたというか。興奮したり、感激したりするファンのみんなを見て、「幸せだな」と改めて感じました。

BE:FIRST / Smile Again -Music Video-

――最近は振付をされる方々から、よくBE:FIRSTの名前が出てくる気がします。

shoji:もちろん他にも素晴らしいグループはたくさんいますけど、世の中がBE:FIRSTのダンスに注目している感じはありますよね。彼らの場合、MVが出ても「ビジュ、最高!」でとどまらないというか、ダンスにちゃんと興味を持ってくれているファンが多い。しかもそれがグループの評価にダイレクトに繋がっているのが、BE:FIRSTなんですよ。これが当たり前に広がっていくことでダンス&ボーカルグループも変わっていくんじゃないでしょうか。

kazuki:僕は、超特急の「シャンディ」を振付したことが印象的。新体制の超特急で初めて振付をしたのですが、曲を聴いた時に「これは俺だ」って思うくらい色っぽいかっこいい曲だったので、みんなが踊っているのをリハで見て、自分の振付ながら「めっちゃいいな」って思いました。自分らしい動きやシルエットを存分に入れられたし、「この音はこう取りたい」という欲が曲を聴いていたらどんどん出てくるんですよ。それくらいドンピシャな振付が作れて嬉しかったです。

超特急「シャンディ」Lyric Video

Oguri:俺も超特急は印象的でした。というのも、メンバーが高校生くらいの時からレッスンをしていたんですけど、今回初めて「Thinking of You」の振付で関わって。レッスンしていた時から10年以上経っても、リハへの臨み方やダンスへの愛情が変わっていなかったことに感動しました。大人になっても変わらない一生懸命さがあって、これからも応援したいなって。

Thinking of You

kazuki:独特なフォーメーションのやつだよね。僕の前にOguriが超特急に振り入れをしていたんですけど、みんな「Oguriさんの振りすごいっすよ」って言うから「俺にそういうの言うのやめろ!」って(笑)。俺の振りに、そう言ってくれなかったら嫌だなって……。

Oguri:メンバー1人が主役のような感じで作ったし、超特急にあまりないタイプの振付だったからね。

shoji:ちなみに、その前に俺も振り入れしてたんだけど「すごいっすよ」って誰も言ってくれなかった(笑)。

一同:(笑)。

NOPPO:俺もOguriの振りのリハ映像を見させてもらったんだけど、すごかった!

Oguri:嬉しい。

s**t kingz Oguri
Oguri

NOPPO:僕は満島ひかりさんが参加したMONDO GROSSOの「IN THIS WORLD」かなぁ。時間がない中で振りを覚えてもらって前日に確認して、次の日にもう本番っていうスケジュール感だったし、空中でのパフォーマンスをどう移動するかは本番で決めたんですよね。しかも満島さんと当日直接やり取りをして振りを考えていって。すごい俳優さんと一緒に話し合いながら振りを作れたのが面白かったです。それに、振りじゃない部分が素敵だったんですよ。例えば、最後に肩を小さく揺らす、みたいな。現場でのコミュニケーションの中で生まれた動きがたくさんありましたね。

MONDO GROSSO / IN THIS WORLD feat. 坂本龍一[Vocal:満島ひかり]

――クリエイティブなコミュニケーションですね。

NOPPO:お会いするまでは「一言一句間違えられないぞ」って緊張していましたが、すごくフランクな方でやりやすかったです。以前、ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)に出演した時も、安藤政信さんが踊る「白塗りの舞」の振付をしたんですが、それも似た感じで。コミュニケーションを取って動きを決めていって、仲良くなれました。そういった仕事が意外と多くなりましたね。

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