s**t kingz、今こそ大切な“ギャルマインド” 初主催フェス『s**t kingz Fes 2024』に懸けるダンスへの思い

s**t kingzの新曲と初主催フェス

 s**t kingzが7月27日、28日の2日間にわたって横浜BUNTAIにて初の主催フェス『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』を開催する。同フェスにはRIEHATA、QUICK STYLE、パワーパフボーイズなどのダンサーはもちろん、三浦大知、在日ファンク、Da-iCE、MAZZEL、C&Kなどのダンスを愛するアーティストが勢揃い。熱い2日間となりそうだ。

 さらに、7月10日はデジタルシングル「MORECHAU feat. edhiii boi, Janet真夢叶(ぺろぺろきゃんでー), JIMMY(PSYCHIC FEVER)」をリリース。今注目を集めるアーティスト3人、そして韓国のHIPHOPシーンで注目されている音楽プロデューサー・GRAYとタッグを組んだ同曲にはどんな思いが込められているのだろうか。同曲についてはもちろん、『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』についてもメンバー全員でたっぷり語ってもらった。(高橋梓)

s**t kingzが伝える強い意志とギャルマインド「自分たちはこうだからこれでいい」

s**t kingz(撮影=西村満)
shoji

――まずは新曲「MORECHAU」について質問させてください。かなりインパクトのあるタイトルですが、どのようにして制作を進めていったのでしょうか。

Oguri:最初に「攻めた内容でいきたい」「世のなかに対して何かを投げかけるようなメッセージにしたい」という話をしていました。「今、僕たちは何を伝えたいんだろう?」と考えるところから始まったんですけど、そこで出てきたのは悩みにも近いことで。僕らは16年ずっと踊ってきて、今もこうして踊ることができているけれど、果たして自分たちが踊りたいように踊れているのか、わからなくなることが時々あるんですよね。周りの「s**t kingzのこういう踊りが見たい」といった声に応えたり、「これはウケなさそう」「これは炎上しそう」というようなことばかりを考えて、いわゆる見えない糸に操られて踊らされているだけなのかもしれない――踊っているのか、踊らされているのか、どっちかわからない、と。ただ、「かまし続けられているからいいか!」という結論になり、それを主なメッセージにすることにしました。プロデューサーのGRAYさんとアーティストのみなさんに伝えて、全員で集まってセッションをして。その過程で、曲にどんなキーワードを使っていくのか話をしていて出てきたキーワードのひとつが「もれちゃう」で……なんで「もれちゃう」って出てきたんだっけ?

shoji:「ひとことでパッと記憶に残るものがいいと思う」と ぺろぺろきゃんでーのSUNNY-PLAY君から提案があって、NOPPOの記憶だとOguriが「もれちゃう」ってワードを言ったんだっけ?

NOPPO:そうそう。ポソッとOguriが「“もれちゃう”とかは?」って言ったら、みんな笑っていて。ぺろきゃんのお兄ちゃんが「いいっすねえ!」と言ってくれたと思います。

shoji:ああ、そうだ。「ぶちかました時に起こることってなんだろう?」と考えた時に、「ウェーイ!」とか「フー!」とか、自然と声が漏れちゃうじゃないですか。s**t kingzも「お客さんたちが思わず漏らしちゃうようなパフォーマンスをしようぜ」という意味で“失禁”というワードを掛け合わせて始めたグループという話をしていたら、ぺろぺろきゃんでーのお兄ちゃんが「それも漏れちゃうっすね!」と言っていて。さらに話していくうちに、「JIMMYとシッキンさんの共通点って、ソロでもチームでも“ハモれちゃう”ことですよね」と言ってくれたり、「edhiii boiみたいな勢いのいい若手が出てくると、みんな“埋もれちゃう”よね」という話が出たり。それで「もれちゃう」というワードがいいんじゃないかという流れになっていったんだと思います。

NOPPO:“盛れちゃう”、とかね。

shoji:そうそう。(Janet)真夢叶ちゃんは超ギャルなので、「かわいく盛れちゃう」みたいな。今までの僕たちとは少し違う感じの組み立て方で「もれちゃう」というワードが出てきました。かつ、ハッシュタグを使うことを想定して「“#MORECHAU”ってかわいくない?」という話も出てきたり。これが実は決め手として大きかった気がします。

――なるほど。テーマを決める時に出てきた、「踊っているのか、踊らされているのか」という葛藤から、「かまし続けられているからいっか!」という結論に至るまで、どんな経緯があったのですか?

kazuki:仮に僕たちがもし踊らされていたとしても、それが本当にイヤなわけではないんですよ。

shoji:そうそう!

kazuki:何をもって「踊らされている」というかは曖昧で、たとえば何かの番組でパフォーマンスをさせていただく時って、100%自分たちが自由に作ったものとは違うものができたりするわけじゃないですか。そういう意味での、「踊っているのか、踊らされているのか」という葛藤なんですよね。でも、イヤなわけではまったくないし、与えられたお題に則って自分たちなりに100%で作っている。それ自体が“かましていること”ではあるから、「かまし続けられているからいっか!」というところにたどり着いた気がします。

s**t kingz(撮影=西村満)
kazuki

――そんなテーマを持った「MORECHAU」を今のs**t kingzが世に放つことで、どんな現象が起こればいいなと考えていますか?

kazuki:今って、よくも悪くも操り人形だらけの気がしません? 「バズるにはどうするか」を考える人が多い。それって、「自分がどうしたいのか」ではなくて、「世のなかに受け入れられるためにはどうしたらいいのか」という考えですよね。もちろん、それが自分のやりたいこととマッチしている人もいますし、全員がそうではなく、「これでいいのか」と思っている人も多い時代だと思うんです。そういった人たちに勇気を与えられたらいいな、と。「かませばいいじゃん」と思えるマインドってギャルだと思うんですよね。根拠のない自信というか。「何がきても突っぱねる」「自分たちはこうだからこれでいい」という強い意志がないと厳しい時代だからこそ、この曲を通じてギャルマインドが伝わればいいなと思っています。

――そう考えると、皆さんとギャルの親和性って高い気がしてきます。

一同:(笑)。

shoji:そうかもしれない、ギャルだよね(笑)。

Oguri:自覚は全然なかったんですけど(笑)。

NOPPO:「ギャルとは?」って考えたりね。

Oguri:そうそう。「何をもってギャルというか」みたいな話を真剣にみんなで話し合って(笑)。

kazuki:見た目じゃないよね、とか。

shoji:「このなかでいちばんギャルいのは誰だろうね?」「kazukiかなあ?」とか(笑)。

kazuki:「俺、ギャルなのか!?」みたいな(笑)。

shoji:急にギャルについて、みんなで深く語り合ったよね。僕、ギャルの「ウチら最高〜」みたいな感じやメンタルって素敵だし、生きていくうえでめちゃくちゃリスペクトできるなと思っていて。ギャルに対する憧れもあるんだと思います(笑)。いつまで経っても「よくね? ヤバくね?」と楽しんで認めていくというメンタルに近づきたい、そういう気持ちが個人的にあるんだと気がつきました。

s**t kingz(撮影=西村満)
NOPPO

――たしかに、そのマインドは今の時代大切ですよね。今作はプロデューサーのGRAYさん、edhiii boiさん、ぺろぺろきゃんでー、PSYCHIC FEVERのJIMMYさんの4組とコラボをしています。

Oguri:GRAYさんとは、J.E.T MUSICというレーベルの代表のDAIKIがもともとダンサーとして活動をしていて、そこで繋がったんです。kazukiやNOPPOはDAIKIと同じチームで踊っていたこともあって。年齢も近いですし、一緒に頑張っていた仲間が、今はレーベルをやっていて、手掛けている楽曲や関わっているアーティストがすごくイケているんですね。それで、ひょんなことからDAIKIにお願いしてみたら面白いものができそうだから相談してみよう、と。今年の頭に相談をした時にGRAYさんを紹介していただきました。

shoji:DAIKIは韓国のプロデューサーと強いつながりを持っているので、今韓国でイケているプロデューサーの方々を紹介してくれたんです。いろいろトラックを聴かせてもらったら、今回作りたい楽曲の方向性にはGRAYさんがバッチリなんじゃないかという話になって、お願いしてみたところお引き受けくださいました。

――GRAYさんにお願いする前から“ギャルマインドを含んだ曲”という方向性は決まっていたのですか?

Oguri:ギャルマインドはだいぶあとですね。

shoji:ぺろきゃんとの出会いがデカかったよね。まずGRAYさんと組むことになって、トラックを先に作り始めて。

Oguri:攻めた曲にしたいというイメージは最初からあったんです。僕らの曲で「Oh s**t!!」というめちゃくちゃ攻めた、怒りを露わにした、勢いすごい曲があって。今回は「Oh s**t!!」よりも少しチルなテンションだけれどめちゃくちゃ刺す、という楽曲にしたくて。そこから、歌についてもひとりではなくていろんな人が参加してくれたら面白そうだという話になりました。女性も男性もいて、ミックスできたらよりカラフルな楽曲になるのかな、と。今回のテーマだったら、若くて勢いがあって、これからどんどん風を起こしてきそうなアーティストがいいかもと思いましたし、僕らより若い世代の子たちが「踊っているのか、踊らされているのか」という葛藤をどう考えるのかにも純粋に興味があった。そういった視点から、若い世代と作ったら自分たちにはない目線で曲が作れそうだと思って、この3組にお願いをしましたね。

――若い世代のなかでも、この3組に声をかけたのはなぜだったのでしょうか。

kazuki:Oguriが言ったような「チルな感じで刺す」というコンセプトに声のトーンが合いそうな人の曲を聴き漁っていたんですよね。そのなかで見つけたのがJIMMY。ぺろきゃんは、NOPPOがSNSを見ていて、それを全員で聴いてみたらめちゃくちゃいい声でかっこよくて、コンセプトに合いそうだな、と。そこにedhiii(boi)のようなパンチのある声が入ることで振り幅がさらに広がるし、引き立って最高の組み合わせになりそうということで声をかけました。

s**t kingz(撮影=西村満)
Oguri

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