iScreamが求める、自分らしい生き方という光 『TWENTY』で再確認した3人ならではのカラー

iScream、自分らしい生き方という光

 iScreamが10月23日、2nd EP『TWENTY』をリリースした。iScreamといえば、これまではどちらかというとポップかつダンサブルで、キュートなコンセプトの楽曲を歌っていた印象があるが、今作はそのイメージを大きく覆す作品に仕上がっている。メンバーの中に秘められた大人でクールな一面を深く掘り下げた楽曲が並ぶ2nd EPは、はたしてどのように作られていったのか。制作過程や各楽曲に込めた想い、ツアーに向けた意気込みを、iScreamの3人ならではの言葉でたっぷりと語ってもらった。(市岡光子)

iScreamの「こだわり」が確立された上半期

RUI
RUI

——前回のiScream単独インタビュー(※1)が今年の1月に公開された記事になるので、まずは皆さんの近況を伺いたいです。iScreamにとって、2024年の上半期はいかがでしたか?

RUI:今年の上半期は、iScreamとしての「こだわり」が確立された時期でした。特に年明けにリリースした2ndアルバム『Selfie』は、自分たちがやりたい音楽や歌いたい歌を明確に形にできたアルバムだったので、グループとして大きな自信に繋がりました。私たちが望む音楽の形、目指しているiScream像をメンバーの中で改めて確認して、ファンの皆さんにも肯定していただけた日々だったように思います。

YUNA:私としては、今年の上半期は、今回の2nd EP『TWENTY』を見据えて新しいスタートラインに立った時期だったのかなと思います。4月までは『Selfie』のリリースイベントなどに取り組んできましたが、その直後から今作の1曲目に収録している「Sorry Not Sorry」を作り始めていたので。

HINATA:私も、上半期はすごくクリエイティブな時期だったなと思います。2024年に入ってから、今後どういう風に楽曲をリリースできるのか不安な気持ちもあったんですけど、「Sorry Not Sorry」から始まる3カ月連続リリースが決定して、そんなに楽曲をリリースできるんだと、ありがたさを感じたのをよく覚えています。上半期は、本当に怒涛のように過ぎていきました。レコーディングして、MVを撮ってというサイクルが1カ月おきにやってきたので、大変な部分もありましたが、すべての過程がすごく楽しかったです。新しいiScreamをファンの皆さんにどんどん見せられていることが嬉しいなと感じた、そんな上半期でした。

2nd EP『TWENTY』の制作で自分たちのカラーを再確認できた

YUNA
YUNA

——2nd EPの制作は、4月からスタートしていたのですね。

YUNA:そうですね。2nd EPでは1曲目の「Sorry Not Sorry」と5曲目の「Runnin'」で、音楽プロデューサーのRyosuke "Dr.R" Sakaiさんとお仕事をさせていただいたんですけど、その始まりがだいたい4月頃で。なので、今作に向けた大きなスタート地点は、そこだったのかなと思います。

——EP全体のコンセプトを教えてください。

RUI:今回のEPはタイトルを『TWENTY』にしました。メンバー全員が20歳を迎えて初めてリリースする作品ということもあって、これまでティーンだった私たちがより一層大人に近づいて、新たな一歩を踏み出した姿を見ていただきたいなと思っています。私たちの自立した部分、クールな部分をもっと引き出して、男女問わずに憧れてもらえるような存在になりたい。そんな想いを具現化させた作品になっていると思います。

HINATA
HINATA

——ここからは各楽曲について伺いたいです。まず、1曲目「Sorry Not Sorry」は皆さんのクールな面をかなり掘り下げた、新しい雰囲気の楽曲だと感じました。この曲はどのように制作したのでしょうか?

HINATA:「Sorry Not Sorry」は、Dr.Rさんが打ち込み作業をしているところに私たちも同席して、本当に1からつくり上げていった楽曲です。Dr.Rさんがフレーズを作って、私たちがそれに合わせて鼻歌でメロディのアイディアを出し、その中から良いものをチョイスして楽曲に埋め込んでいく。そういう作業をしてきたので、歌詞も音楽も私たちの考える新しいグループ像や覚悟、意思を全部ぶつけて体現できた楽曲になっていると思います。この曲は7月から始まった3カ月連続リリースの1曲目を飾る作品だったので、SNSやビジュアルの雰囲気もガラッと変えたんですね。私たちにとって、今後の活動を引っ張っていってくれるような、新たなスタートを切るきっかけをくれた楽曲になりました。

RUI:作曲へのチャレンジは、本当に良い経験になりました。メロディづくりではアイデアが全く思い浮かばないほど追いつめられた場面もあったんですけど、何も考えずに思いつきで歌ったメロディが曲の中に採用されたり、歌詞も曲を聴いて感じたことをYui Muginoさんと繋ぎ合わせて作っていったり、いい意味でプレッシャーを感じながら、制作していきました。初めてこんなに深く楽曲制作に携わらせてもらいましたが、とても楽しかったです。

YUNA:私は楽曲制作に携わることが夢だったので、それを今回叶えられたことが嬉しかったです。私たちがずっとやりたかったことを実現している楽曲なのですが、曲を作っている時は、ファンの方の反応が心配で、本当にこういう雰囲気の楽曲をやることが正解なのか不安に思う気持ちもあったのですね。でも、そんな私たちにDr.Rさんが「自分たちのやっていることに自信を持っている人が一番かっこいい」という言葉をかけてくださって。その言葉をきっかけに、改めて自分たちの作っているものに対して自信を持つことができました。新曲を愛してくださる方が身近にたくさんいること、伸び伸びと音楽ができることが本当に幸せだと感じています。

HINATA:YUNAの言う通り、私たちの中にはこれまでにも、やりたい音楽、作りたい楽曲のイメージがあったんです。それを今回、Dr.Rさんと一緒に形にすることができて、大きな転機になった気がします。本当に学びの多い現場でしたね。

YUNA:今作にとどまらず、またDr.Rさんと曲を作ってみたいです。

iScream「Jellly Fish 」(Prod by UTA) Music Video

——2曲目に収録された「Jellly Fish」のコンセプトを教えてください。

HINATA:ポップで夏らしい雰囲気の楽曲で、歌詞では「仲間との絆を大切に、楽しい時間を一瞬一瞬刻んでいきたい」という気持ちを描いています。曲のタイトルや歌詞にクラゲを意味する「Jellly Fish」という言葉を使ったのは、歌詞を一緒に考えてくださったYVES&ADAMSの傳田真央さんのアイデアで。クラゲってフワフワしていて可愛らしい見た目をしていますけど、実は毒があって、刺されるとビリビリ痺れてしまう。そういうギャップを、人の持つ内面と外面の差になぞらえて描いていった結果、できあがったのがこの曲の歌詞なんです。曲調はポップだけど、歌詞まで含めてじっくり聴いてみるとかなり奥が深いと感じていただけると思います。

——レコーディングで意識したことは何かありますか?

YUNA:私はこの曲を、単に可愛いだけの楽曲にはしたくなかったので、ラップのパートは後ろのロックベースのサウンドに合わせながら、いつもよりも低めの声を出したりして、工夫を加えました。

RUI:この曲は言葉遊びをしているみたいに、1小節ごとの言葉数が多いので、テンポに追われてしまうんですけど、それでも言葉をカッコよく、ポップに歌えるよう、強く意識しましたね。青春や仲間との絆がテーマなので、この楽曲ではいろいろと考えるよりも、私たちのありのままの心で、フレッシュさを大切に歌いました。

——コンサートでもかなり盛り上がりそうな楽曲です。

RUI:そうですね。この曲はサビとラップパート以外、振付がついていないんですね。サビの振付はファンの皆さんと一緒に踊れるように、手だけで踊る「クラゲダンス」を作ったので、イベントでもすごく盛り上がります。ライブの新しい定番曲、“王道の盛り上がりソング”になりそうだなと思っています。

——3曲目「Kira Kira」のコンセプトや特徴を教えてください。

HINATA:「Kira Kira」は、2022年にリリースした4thシングル「Catwalk」以来、久しぶりにm-floの☆Taku Takahashiさんに作っていただきました。一言で言えば、聴くことですごく前向きになれる曲。iScreamには「ありのままの自分を愛していくこと」をテーマに歌った楽曲が多いんですけど、この楽曲もその系譜にある、メッセージ性の強い楽曲です。誰しも弱みや悩み、自分の中であまり好きになれないところ、将来への不安などを抱えていると思いますが、それすらも糧にして、自分がやりたいことや好きなことに向かって進んでいこう、あなたはキラキラ輝いているから大丈夫と、背中を押してあげられる1曲に仕上がっていると思います。ジャンプをしたり、手を振ったりして盛り上がれる曲調なので、これからライブでこの曲をファンの皆さんと共有するのがとても楽しみです。

iScream 「Kira Kira」(Prod by ☆Taku Tahkahashi) Music Video

——この楽曲のMVは、日本を拠点にロサンゼルスやニューヨークなどの国内外で活動するクリエイター充彗(misato)さんが手がけた、全編CG映像となっていますよね。3人の姿が生成AIによって新たなキャラクターに生まれ変わっていて、とてもおもしろいなと感じました。

RUI:私たちにとってもこういう形のMVは初めてだったので、すごく新鮮な気持ちになりました。近未来的で、キラキラしている世界観と映像が絶妙にマッチしているんですけど、やっぱりどこか不思議な感じがあるというか。そういうギャップが素敵な映像になっていますよね。あと、今回の映像は、音楽に連動して歌詞が流れてくるので、改めてリリックを見ていただけると、心にリアルに刺さる言葉の多さに、曲の良さを感じてもらえると思います。

YUNA:全編CGで、AIも使っているというのは、「Kira Kira」だからできるMVだと思います。この曲には「何にでもなれる、変われる」というメッセージが入っているので、そのニュアンスを引き出すためには、AIを使うのもすごく良い方法なんだなと感じました。私たちは今までこういうバーチャルなものを使ったことがなかったので、今回新しい挑戦ができたのは、1ついい経験になったように思います。

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