日向坂46、初開催『ひなたフェス 2024』徹底レポ 地方創生やサステナビリティを重視した祭典に

『ひなたフェス 2024』徹底レポ

 日向坂46が初の主催フェス『ひなたフェス 2024』を9月7日、8日に宮崎県のひなた宮崎県総合運動公園およびひなたサンマリンスタジアム宮崎にて開催した。2019年に冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)のロケで初めて訪れたことをきっかけに、日向坂46と宮崎との関係はスタート。宮崎が「日本のひなた」と呼ばれていることで始まったつながりは、このロケ以降もさまざまな形を通じて深まっていった。そして、今年2月放送の『日向坂で会いましょう』での佐々木美玲のプレゼン「宮崎LIVE フェス化計画」を機に、淡い夢が現実に向けて動き始め、4月開催の『5回目のひな誕祭』にて正式開催がアナウンス。以降、9月の本番に向けてメンバーがいろいろな形で活動を重ねていった。

 このフェスは単なる「日向坂46の野外ライブ」ではない。たとえば、宮崎に対して日本各地から大勢のおひさま(日向坂46ファン)が一斉に集まることからかかってしまう環境負荷を少しでも抑えること、地産地消による地元の活性化、会場内での環境対策や環境に配慮したグッズ作成などSDGsへの取り組みと、首都圏ではなく宮崎という場所でエンタテインメントイベントを行う意義も示されていた。たった一度だけの開催ではなく、今後も宮崎の人たちと一緒に長く愛されるフェス=お祭りを作っていきたいという、日向坂46の強い思いを感じ取った人も少なくないはずだ。

 今回は地元の宮崎学園高校や宮崎大学といったメンバーと同世代の若者たちに協力を求めたほか、飲食エリアで販売される食事も地元飲食店とタッグを組んでコラボメニューを用意。ひなたサンマリンスタジアム宮崎でのライブは有料ながらも、ひなた宮崎県総合運動公園で開催される催しへの参加は無料となっており、これも地元の方々にも楽しんでもらいたいという思いの表れだろう。おひさまはフェスを通して宮崎を深く理解し、宮崎の方々はフェスを通して日向坂46をより身近な存在として感じてもらう。そんな場になったのではないだろうか。

 また、『ひなたフェス 2024』ではスヌーピーやチャーリー・ブラウンでおなじみのPEANUTSが実施しているクリーンイベント『SNOOPY Loves NATURE “Team up!”』ともコラボレーション。会場内でのスヌーピーバルーンの設置やコラボグッズの販売に加え、フェス終了後の9月9日に日向坂46メンバー14名とファン300名が会場一帯でゴミ拾い活動をするクリーンイベントが実施され、日向坂46らしいSDGsの取り組みを示すことができた。こうしたトピックからも、『ひなたフェス 2024』がメンバーやスタッフのみならず、おひさまや地元の方々と足並みを揃え、一緒に明るい未来を築いていく新たな試みであることが理解できるはずだ。

 ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われたライブに関しても、通常の日向坂46のライブとは一線を画するものだった。オープニングではメンバーの松田好花がひとりステージに登場し、二期生の『おもてなし会』(2018年2月)以来となる和太鼓演奏で観る者を驚かせる。そんな彼女の演奏にあわせて、浴衣&うちわという装いのメンバーが次々に姿を現し、盆踊り風にアレンジされた「日向坂(ひなたフェス ver.)」でライブをスタートさせた。フェス=お祭りを意識したこの演出も、夏の野外だからこそだろう。

 ゆったりとしたオープニングを終えると、ライブの出囃子としてお馴染みの「Overture」で観客の熱気が急加速。クライマックスとともに、ウォーターキャノンから会場上空に向けて水が噴き上がる。かつて富士急ハイランド コニファーフォレストで開催された『W-KEYAKI FES.』でも使用されてきたこの演出を前に、「あの頃が帰ってきた!」と歓喜したおひさまもきっと多かったはず。カラフルな衣装に着替えたメンバーは、「キュン」「ドレミソラシド」といったお馴染みのヒット曲を連発して、さらに会場の熱気を高め続けた。

 今回のセットリストではグループがこれまでに発表したシングル表題曲やアルバムリード曲を2日に分けてすべて披露したほか、期別曲や「キツネ」「HEY!!OHISAMA!(宮崎 ver.)」をはじめとするライブ定番曲など、初めて日向坂46のライブを観る者にも優しい、非常にシンプルでわかりやすいものだった。また、曲の合間には「けやき坂46」結成の経緯から後輩たちの加入や日向坂46への改名、夢の舞台・東京ドームまでの道のりなどが映像で紹介。ファンにとっては今さらといった内容かもしれないが、代表曲を詰め込んだセットリスト同様に宮崎の方々に観てもらう/知ってもらうための配慮だったのだろう。

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