渡辺香津美による“幻の音楽番組”『夢の乱入者』とは? 原田芳雄らとのセッションは必見
6月30日から連続で、CSホームドラマチャンネルにて『夢の乱入者』セレクションが放送される。
『夢の乱入者』とは、1990年から1997年にかけて関西ローカルで放送された深夜の音楽番組。世界的なギタリスト・渡辺香津美をメインホストに迎え、腕利きのミュージシャンで結成されたバンドと、ゲストミュージシャンとのセッションを1時間にわたってたっぷり楽しむという趣向だ。
関西ローカルの深夜番組だった上、不定期放送で、再放送も限られた機会しか行われず、ソフト化もされていなかったため、「幻の音楽番組」と化していたが、貴重な演奏シーンが目白押しのため、今なお熱狂的なファンを持つ。30年以上ぶりのまとまった放送となる今回の『夢の乱入者』セレクションは絶対に見逃せない機会だろう。
当番組の魅力は、大きく分けてふたつある。ひとつは個性豊かなゲストミュージシャンの顔ぶれ。そしてもうひとつは番組のコンセプトである「セッション」だ。番組が「音楽で会話する」と表現するセッションの魅力を、渡辺香津美はこう語っている。
「僕がセッションというものをすごく好きなのは、今までにない新しい人との出会い、それから音楽的なものとのめぐり合いがすごくスリリングで、しかもそういうのをやっているとどんどんテンションが高まっていく気持ちよさを感じるからです」
渡辺香津美は17歳でレコードデビューを飾った天才ジャズギタリスト。卓越したギターテクニックを持つ渡辺の活躍はジャズだけにとどまらず、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のワールドツアーにサポートギタリストとして参加した経験も持つ。海外のミュージシャンとの共演も数知れない。いつものメンバーと繰り返しリハーサルを重ねた曲を演奏するのではなく、初対面の相手と簡単な打ち合わせのみで演奏に突入するセッションを楽しめるのは、優れたギターテクニックと豊富な経験を持つ渡辺ならではだろう。
『夢の乱入者』に登場するのは、一癖も二癖もあるミュージシャンばかりだ。俳優でありブルースシンガーでもある原田芳雄、「悲しい色やね」が大ヒットした上田正樹、「セクシャルバイオレットNo.1」で知られる桑名正博、「ダンシング・オールナイト」が80年代No.1ヒットとなったもんたよしのり(門田頼命)、ジャズ・フュージョンシンガーとして活躍した宮本典子、B.B.クイーンズとして人気者になったブルースシンガーの近藤房之助などが出演者として名を連ねている。いずれも60年代や70年代にデビューし、当番組が放送される頃にはライブシーンで活躍するベテランとして尊敬を集めていたミュージシャンだ。原田、桑名、もんたらはすでに物故しているため、ファンにとっては、より見逃せない映像になっている。