リアルサウンド連載「From Editors」第60回:なぜか引き寄せられてしまう“最悪な隣人”が出てくるサスペンス

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

後味が悪いのについ観てしまう隣人系サイコサスペンス

 NetflixのTV番組ランキングに『ギバーテイカー』が入っていました。WOWOWオリジナル「連続ドラマW」枠で昨年1月より放送されていたドラマで、6月より各動画配信サービスでも観られるようになったようです。

 放送当時に観ていたのですが、全5話完結とイッキ見向きの作品なのでランクインも頷けます。ストーリーとしては、過去に娘を惨殺された中谷美紀さん演じる元小学校教諭・倉澤樹が刑事となり、出所した犯人と再び対峙していくというもの。その犯人とは、当時隣の家に越してきた娘の同級生、菊池風磨さん演じるモンスターと呼ばれた猟奇殺人犯・貴志ルオト。ルオトは樹に異常な執着を持ち、出所後も樹と関わる人物に近づいていきます。しかし、ルオトが恐ろしいのは、表面上は善人で人を言葉巧みに信じ込ませるテクニックがあり、周囲の人を思い通りにコントロールしていくところ。登場人物たちの迂闊さにツッコミどころはありながらも、狡猾なルオトを次第に追い詰めていく樹との一騎打ちはスリリングです。あのときルオトが引っ越してこなければ、出会っていなければ……最悪な出会いが大きく変えてしまった運命がどのような結末を迎えるのかはぜひ実際に確かめてみてほしいです。

 隣人との出会いがきっかけとなるストーリーは、恋愛ものやヒューマンドラマなどさまざまなジャンルに数多く存在しているはずですが、しばらく香川照之さんがトラウマになった『クリーピー 偽りの隣人』や、ユースケ・サンタマリアさんに最後まで翻弄された『火の粉』など、個人的にはサイコパスが登場する、良くも悪くも後味悪い作品で遭遇することが多いように思います。なぜか引き寄せられてしまう隣人系サイコサスペンス、映画部の人にもおすすめを聞いてみたいところです。

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