リアルサウンド連載「From Editors」第56回:THE YELLOW MONKEYの復活に歓喜 東京ドーム公演を観て

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

THE YELLOW MONKEYのドーム公演を観た

 THE YELLOW MONKEYの東京ドーム公演『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 "SHINE ON"』を観た。THE YELLOW MONKEYのライブ開催は約3年半ぶり、早期の喉頭がんの治療を経た吉井和哉にとって2年半ぶりのパフォーマンスであり、いわばTHE YELLOW MONKEYの復活を告げる祝祭感溢れる公演だった。セットリストは往年の名曲から最新曲まで、まさにオールタイムベスト。1曲目の「バラ色の日々」から会場中で大合唱、最後まであっという間に終わってしまった。

 結成から35周年。そもそもこのキャリアで東京ドームに5万人集められることがすごすぎる。完璧なスタイルキープでロックスターとしてのビジュアルの輝きは衰え知らず。平均年齢58歳のバンド、むしろ渋カッコよさが年々増していて恐ろしい。

 もちろん「SPARK」や「太陽が燃えている」、「JAM」のような代表曲のパフォーマンスは凄まじかった。ただ何がすごいって「天道虫」や「ALRIGHT」のような再始動後の楽曲がちゃんと根付いていて、ライブのハイライトの一つになっていること。長期キャリアを築くバンドにとって、過去に劣らない現在の姿を長年のファンに示すことは容易ではない。しかし、そこを更新しようと新曲を出し、それを実現しているのがTHE YELLOW MONKEYのすごさ。「ホテルニュートリノ」「SHINE ON」などもライブを重ねて行く中でさらに成長していくだろうし、それらが収録された10枚目のアルバム『Sparkle X』もまもなく発売される。常に現役感があって、その姿勢にこそ大きな感動があった。

 ライブの途中には吉井和哉の治療を追ったドキュメンタリー映像が挟まれ、その流れからの「人生の終わり (FOR GRANDMOTHER)」は全観客の胸を打っただろうが、個人的には「ALRIGHT」の〈何よりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ/命はいつか絶えるだろう だけど 最高の出会いが〉という歌詞を高らかに歌う姿が、吉井個人の、そしてバンドそのもののヒストリーを表しているようで胸が熱くなった。

 年齢を重ねていく中で、大事なものが増えていく回数より、無くしていく回数が多くなっているように感じるこの頃。当たり前にあったものが急になくなって後悔することが増え、ライブも「またいつか観にいこう」が一生実現できなくなってしまうことも実際にあった。もちろんTHE YELLOW MONKEYはこれからも長く続いていくバンドだ。だが、それでも観れる時に観にいくのは大事。行けば絶対楽しいし。改めて、そう思わせてくれる最高のライブだった。

 後日詳細なライブレポートはリアルサウンドで掲載される。それもぜひ楽しみにしていただきたい。

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