クレナズム、I Mean UsやQLERらとのコラボ活発 国内外に広げる“シューゲイザー×J-POP”の魅力

クレナズム、アジアに広げる魅力

 2018年、福岡の大学の同級生で結成し、現在もメンバー全員が福岡在住の4人組バンド、クレナズム。“シューゲイザーとJ-POPの融合”を掲げながらもバンドサウンドに固執することなく、多彩なサウンドを展開。TikTokやYouTube等のSNSで多くのバズを生んでいるバンドだ。

 2024年、クレナズムは積極的にアジア展開を行う。5月26日から行われている『クレナズム 春のバリよかワンマンツアー 2024 ~ハートがうごく5周年~』の追加公演として発表された台北 樂悠悠之口(The UU Mouth)公演は2daysのチケットが数分で完売。台湾での人気を印象付けたことが記憶に新しいが、6月7日には台湾インディーミュージックシーンで絶大な人気を誇るドリームポップバンド、I Mean Usとのコラボ楽曲「木村 楓」がグローバルリリースされる。

 クレナズムが以前から敬愛していたというI Mean Usとの共作曲「木村 楓」の作曲の中心を担ったのはR&Bやエレクトロをルーツに持つクレナズムのドラムのしゅうた。1曲を通して貫かれるタメの効いたリズムが中毒性のあるグルーヴ感を醸成し、そこに〈君〉がいなくなった喪失感に苛まれる中、〈君〉の余韻と記憶に浸る〈私〉の情景が乗せられる。クレナズムのボーカル・萌映が何度も歌う〈ゆらゆらゆらゆら〉というフレーズが聴き手を楽曲の世界にするすると引きずり込む求心力を放ちながら、後半ではI Mean Usが誇る章羣(Chun Zhang)と梁丹郡(Mandark Liang)の男女ツインボーカルが透き通るような歌声を重ね、圧倒的な切なさを加える。ドリーミーでメランコリックでノスタルジックな唯一無二の輝きを放つ楽曲だ。タイトルの「木村 楓」はクレナズムのメンバーが昔好きだった人の名前を組み合わせた架空の人物だそうで、聴き手の心に残るそれぞれの「木村 楓」との強い共振を生む楽曲でもあるだろう。

クレナズム I Mean Us 『木村 楓』culenasm I Mean Us『Kaede kimura』(Official Music Video)

 また、台湾だけでなくタイでもクレナズムは広がっている。かねてからアジアの音楽に関心を持つクレナズムのメンバーがさまざまな楽曲をディグっていたところ、タイのポップシーンにおける最高峰の音楽アワード『TOTY MUSIC AWARDS 2023/24』の最優秀男性アーティストにノミネートされたこともあるシンガーソングライター・QLERに出会い、コンタクトを取ったところ、すぐに返信があったという。QLERは日本のアーティストが好きでクレナズムのことも知っていたことが判明し、この4月、QLERの大ヒット曲「Blur」をクレナズムが日本語の訳詞を付けた上でカバーし、クレナズムの「夕凪詠草」をQLERが「ไว้พบกันใหม่ (yunagieiso)」というタイトルでカバーすることからコラボレーションがスタートした。

 「Blur」は「木村 楓」のアレンジを手がけ、SIRUPやTani Yuukiの楽曲を手がけたことでも知られるT.O.Mをプロデューサーに迎え、メロウなシティポップ調の仕上がりに。萌映の透明感溢れる歌声が〈君〉に対するどうしようもない喪失感を高めると同時に、切なさを浮かび上がらせるような繊細な演奏力が際立つ楽曲だ。今後QLER feat.クレナズム名義の楽曲がタイからリリースされ、クレナズム feat. QLER名義の楽曲がグローバルリリースされることも決定しており、国境を越えたこのコラボはさらに盛り上がることだろう。

 日本での活動としては、8月9日に公開される櫻坂46の藤吉夏鈴主演映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』に主題歌「リベリオン」を提供、さらに同作の劇中音楽も17曲制作したことが発表されている。

 2024年下半期、国内外でクレナズムの名前を見る機会が増えていきそうだ。

クレナズム×l Mean Us「木村 楓」ジャケット
クレナズム×l Mean Us「木村 楓」

■リリース情報
クレナズム「木村 楓」
配信リンク:https://orcd.co/kimura_kaede

■公式サイト
https://www.culenasm.com/

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