BE:FIRST、YUKI、小沢健二とスチャダラパー、Lucky Kilimanjaro、go!go!vanillas、LiSA……注目新作6作をレビュー
Lucky Kilimanjaro「実感」
バンド結成10周年、継続させる情熱をテーマに書き下ろした新曲。憂いを帯びたメロディで〈100年の春〉〈100年の愛〉に思いを馳せる、スケールの大きなダンスミュージックだ。BPMの速い曲は小気味よくテンポに乗るものという常識があるが、ボーカルの熊木幸丸(Vo)はあえてビートとズラして歌い始め、歌い終わりもだらっと伸ばし気味にしている様子。ジャストで揃わないアンバランス感、何かが不安定にズレていく違和感が、むしろこの曲最大の魅力になっている。〈さよならする日も/新しい恋に焦がれたい〉と歌うラスト手前も、歌詞の内容とは真逆のヨレヨレな歌い方で、ぞっとするほど惹き込まれてしまう。AIには出せない人間の魅力。その見本のような一曲だ。(石井)
go!go!vanillas「平安」
ロンドンの名門、メトロポリス・スタジオで録音した新曲。go!go!vanillasはアイリッシュやケルト音楽を取り入れて軽快に踊るロックバンドというイメージがあったので、跳ねるビートも前のめりなリフも出てこない楽曲がまず意外に感じる。しっとりした和風情緒のメロディとファルセットを多用した唱法は大人の魅力に溢れている。がちゃがちゃと音を重ねない楽器の使い方も現代的で、たとえば歌い出しはバスドラのキックとベースの控え目なユニゾン、浮遊感あるギターが入ってくるBメロでも、ベースは全音符のみ、ドラムもまだバスドラのキックのみだ。ここまで徹底した“タメ”があるから、曲の最後にこれでもかとヒートアップするリズムが強烈なカタルシスをもたらす。(石井)
LiSA「拝啓、わたしへ」
中日ビル開業記念イメージソングとなる新曲。作詞作曲はLiSAが尊敬するシンガーソングライター 高橋優が担当。鍵盤やバイオリン、トランペットなどが代わる代わる飛び出す愛らしいポップソングに仕上がった。よく読めば〈雨の中を/歩いてる トラックの水飛沫を浴びる/濡れながら 指などさされながら〉と一番の歌詞はかなり満身創痍だが、曲調の明るさ、あとはLiSAの声自体に宿る前向きなエネルギーが勝っていて、ネガティブ要素をまったく感じさせない内容である。また、普段のシングルは歌唱力を発揮すべくどこまでも高音域に駆け上がる曲が多いのだが、上がったあとにすぐ下がる、意外と中低音を大事にするメロディ展開に高橋の作家性を強く感じる。(石井)
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