aiko、BUMP OF CHICKEN、椎名林檎、Mrs. GREEN APPLE、Nissy × SKY-HI、水曜日のカンパネラ……注目新作6作をレビュー

Mrs. GREEN APPLE「ライラック」

　繊細な構築美を感じさせるギターフレーズからはじまり、息を吸い込む音が聴こえた後、厚みのあるバンドサウンドが出現。さらに熱量高めのボーカル、煌びやかなシンセ音、華やかなストリングスなどが加わり、サビに入った瞬間、大らかな解放感が広がっていく。アニメ『忘却バッテリー』（テレビ東京系）のOPテーマであるMrs. GREEN APPLEの「ライラック」）は、最初から最後まで一瞬たりともリスナーの耳と心を離さないアッパーチューン。メロディ、アレンジ、サウンドメイクのすべてにおいては1ミリの隙もないプロダクションが実現していると思う。人生は確実に終わりに向かって進み続けるという大前提を踏まえながら、〈割に合わない疵も／認めてあげようぜ〉と呼びかけるリリックにも心を打たれる。（森）

Nissy × SKY-HI「Stormy」

　映画『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』主題歌としての書き下ろし新曲。『ブルーロック』（講談社）はサッカー漫画だがチームプレイや絆の話ではない、強烈なエゴ描写が評判を呼ぶ原作なので、同じチームのスター2人がソロとして共演するというのはお誂え向きの人選。トラックは淡々としたギターのカッティングのみ。派手なシンセや上ものを一切入れないのは、よほど“乗せる素材”に自信がないとできないことだ。肌触りのいいシルクのようなNissyの歌唱と、そこに鋭い引っ掻き傷を残していくSKY-HIのラップ。まるで違う意見を交わしているようで、マイクリレーのテンポがどんどん速くなり、最後には2人の声がぴたりとユニゾンになる。後半サビ手前のアゲっぷりが最高。（石井）

水曜日のカンパネラ「四天王」

　今年3月に日本武道館公演を成功させた水曜日のカンパネラ。アフロハウスの要素を取り入れたトラックが印象的な新曲「四天王」は4月17日にグランドオープンした原宿の商業施設・東急プラザ原宿「ハラカド」のオープニングムービーのタイアップソングでもあり、〈四天王って知ってんの？／交差点で交わるクリエイターの波動〉というラインに示されている通り、“クリエイターが集まり新しい文化を作っていく”という「ハラカド」のコンセプトにインスパイアされて制作されたという。特筆すべきは詩羽の声。加入当初は鋭利なボーカルが際立っていたが、活動を重ねるなかで幅広い表現を獲得。この曲では、柔らかく、リラックスした雰囲気の歌声をゆったりと響かせている。6月5日リリースの3rd EP『POP DELIVERY』にも期待したい。（森）