chelmico、歌にダンスに一体となって楽しんだ時間 『一緒に踊ろうよTOUR』ファイナル公演

chelmico『一緒に踊ろうよTOUR』ファイナル

 RachelとMamikoによるラップユニット・chelmicoが、ワンマンツアー『一緒に踊ろうよTOUR』のファイナル公演を12月22日、東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催した。このツアーは彼女たちが10月4日にリリースした5曲入りニューEP『I just wanna dance with you- period』を携え、全国10都市で開催されたもの。EX THEATER ROPPONGIは今年7月、ふたりが「友だち」となって10年を記念する「着席スタイル」のイベント『ともだち10周年ライブ』の会場にもなったが、今回は「ダンス」をコンセプトに制作されたニューEPにちなみ、きらびやかなミラーボールが回転するディスコ仕様の空間に様変わり。EP収録曲はもちろん、chelmicoのレパートリーの中でもとりわけダンサブルな楽曲がずらりと並び、かけつけた満員のオーディエンスの腰を揺らし続けた。

 まずはステージにDJの%C(パーシー)が登場。ターンテーブルをスピンすると、ディスコティックなトラックが会場に鳴り響く。遅れてMamikoとRachelが、ステージ左端から小走りで現れるとフロアからは大きな歓声が。まずは2020年リリースの3rdアルバム『maze』から、その名も「Disco (Bad dance doesn't matter)」でスタートした。歯切れ良い2人の掛け合いラップを披露し、サビではハモリやユニゾン、ファルセットなどを巧みに使い分けながら2人が振付を踊ると、オーディエンスもそれに合わせて踊り出す。続く「Switch」は、2019年リリースの2ndアルバム『Fishing』に収録されたパーティーチューン。〈ラララララララ今日も パパパパーティーしよう ベイベー〉という、思わず声に出したくなるほどキャッチーなサビに、フロアからは自然発生的にウェーブが巻き起こる。RachelとMamikoはステージ狭しと縦横無尽に歩きながら、目が眩むような高速ラップを繰り広げる。

 「MC Rachelだよ」「MC Mamikoだよ」「chelmicoだよ!」という定番の挨拶に続き、%Cがサンプラーを使ってMCをするお約束のやり取りが始まると、会場はさらに和やかなムードに。「今日は会場が広いから、(ステージの)あっちこっちに行かないとみんなの顔が見えないよ!」とRachelが嬉しい悲鳴を上げ、「今日、寒かったよね? 寒かったけど、今から私たちが『夏』にします!」とMamikoが宣言。そして披露されたのは、結成2曲目に作った曲のアップデートバージョンであり、今年7月にリリースされたサマーチューン「JUNEJULY♡2023」だ。もともとchelmicoは夏にちなんだ楽曲を数多く持っているが、MamikoとRachelそれぞれの「誕生月」を合体させたタイトルのこの曲は、ヘヴィなブレイクビーツとその上を駆け抜ける弾丸のようなラップのコントラストが印象的だ。

 「みんな、3億円欲しいよねー?」とRachelが呼びかけ披露された「三億円」は、〈いつになったら終わるのこの日々/落ち着いたらビキニ身につけてワイキキビーチにでも行きたいけど/どんなところかはよく知らない〉と、長引く不況や格差社会を皮肉ったリリックが強烈。それを、中毒性のあるビートに乗せユーモアたっぷりに届けるところがchelmicoらしい。続く「O・La」は灼熱のラテンビートと情熱的なメロディが、会場の温度を一気にヒートアップさせる。

「ヘイヘイヘイ、みんなタオル持ってますか? 持ってなかったら拳を上げて!」

 そうMamikoが呼びかけた「Player」では、サビで一斉にタオルを回すオーディエンスの姿が圧巻。さらに掛け合いコーラスを全員で歌い、一体感を高めていく。続いて地響きのようなベースラインと涼しげなサビのメロディのギャップが鮮やかな「Highlight」を歌った後、12月6日にリリースされたばかりの新曲「Question」を初披露。「初めてみんなの前でやる曲だけど、一緒にコール&レスポンスしようよ」と2人が提案し、まあまあ難易度高めな掛け合いを全員でチャレンジ。その達成感と、みんなで声を合わせる高揚感で会場はさらに一つになった。

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