ELLEGARDEN、Dragon Ash、氣志團……トリビュートアルバムに見るアーティストからの愛

 “アーティストに愛されるバンド”と聞いたとき、どんなバンドを思い浮かべるだろうか。「影響を受けた」と名前がよく挙がっている、対バンイベントによく呼ばれている──そのバンドを思い浮かべる要因は色々と考えられるが、さまざまなアーティストが楽曲をカバーするトリビュートアルバムが制作されるのも、1つの指標になるのではないかと思う。そこで、近年リリースされたバンドのトリビュートアルバムを取り上げてみたい。

 直近では、11月29日にELLEGARDENのトリビュートアルバム『OFF THE WALL -ELLEGARDEN TRIBUTE-』がCDとして発売される。もともと昨年11月にAmazon Musicで独占配信され、今年2月に主要各配信サイトでリリースされた『ELLEGARDEN TRIBUTE』をCD化したものだ。

 アルバムには、ELLEGARDENに影響を受けたという7組の若手アーティストが参加している。Vaundy、マカロニえんぴつ、Saucy Dogなど、いずれも今の音楽シーンを賑わせているアーティストばかりだ。ELLEGARDENがいかに多くの人に愛され、次世代のアーティストを生み出す重要な存在になっているのが分かるだろう。

 今年2月には、Dragon Ashのトリビュートアルバム『25 - A Tribute To Dragon Ash -』がリリースされた。本作はバンドの25周年アニバーサリーイヤーを記念して制作されたものであり、これまでにリリースされたオリジナルアルバム全13作品から1曲ずつを選曲。13組のアーティストが楽曲をカバーしている。

 『ELLEGARDEN TRIBUTE』は若手アーティストが中心だったのに対し、こちらはストレイテナーや10-FEETなど、Dragon Ashがライブや楽曲で共演してきた、彼らと親交の深いアーティストが名を連ねている。いわば“戦友”とも呼べるアーティスト達からの、Dragon Ashへの愛が垣間見える作品になっている。

 昨年3月には、氣志團のトリビュートアルバム『All Night Carnival』がリリースされた。11組のアーティストが参加しており、ももいろクローバーZ、湘南乃風、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)など、氣志團が主催する音楽フェス『氣志團万博』によく出演しているアーティストの名前が目立つ。

氣志團「One Night Carnival」トリビュートアルバム「All Night Carnival」を3分で駆け抜けるティザー映像

 この作品の特徴は、収録曲がすべて氣志團の代表曲「One Night Carnival」であることだ。連続して聴くことでよりアレンジの違いを感じられ、アーティストごとの個性が色濃く出ていることが分かる。湘南乃風なら“オラオラ系”、鬼龍院なら少し優しげなイメージだろうか。歌い方や雰囲気から、同じ楽曲なのに主人公像さえも違って見えてくるから面白い。『氣志團万博』を思わせるラインナップ、同一曲のカバーという点も踏まえ、氣志團らしいお祭り感の漂うアルバムだ。

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