加山雄三、浅井健一、TOSHI-LOWからスヌープ・ドッグまで……意外な料理好きミュージシャンの“丁寧なレシピ”

 歌手・俳優の加山雄三が10月12日、初の料理エッセイ『食べた人が笑顔になる それが最高の喜び 幸せの料理帖』をKADOKAWAより出版した。加山の秘蔵レシピや料理にまつわるエピソードが多数掲載された同書籍は発売後、SNSなどで話題を集めている。

 加山と言えば、その圧倒的な存在感とスター性からくるイメージとは裏腹に、実は家族や友人・知人にこだわりの料理をふるまうなど、料理好きの一面を持つことでも知られている。そんな加山の料理エッセイ出版をきっかけに「料理」という観点から音楽シーンを眺めてみると、音楽性やステージ上でのイメージに反して、実は料理好き/料理が得意という意外な男性ミュージシャンが多いことに思い至る。

 例えば、「ベンジー」の愛称でも親しまれている浅井健一。彼はコロナ禍をきっかけに、「BenzieSmileCooking」と題した料理動画を自身の公式Instagramに投稿。新型コロナウイルスの蔓延でどこにも出かけられず、社会に暗い空気が漂う中で、浅井の近況や想いを綴った文章とともに投稿された料理動画はファンの心を掴み、大きな話題となった。

 
 
 
 
 
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 この動画からは、普段から料理をしているであろう浅井の手際の良さと「今手元にあるもので料理をして、食事を楽しむ」というこだわりが伝わってくる。浅井にとって料理は身近なものだからこそ、朝食を準備する日常の風景を切り取った心安らぐような楽曲「I Stand Kitchen」(2021年)が生まれたのだろう。

 そして、サニーデイ・サービスの曽我部恵一も、ことカレーに関しては並々ならぬこだわりを持つミュージシャンである。学生時代にカレーを作り始め、自身の手がけるカレー屋を出店するほど大のカレー好きな一面を持つ曽我部は、日頃から家族にもカレーを作ってふるまうという。スパイスを合わせた本格的なカレーも作るそうだが、特に子ども向けに作る際は、給食のカレーを参考に、2種類のカレールーを合わせてカスタマイズしたカレーを作っているらしい。しかも、そのカレーを作るときは、野菜や肉のうまみを引き出すために、前日の夜から仕込み始めるというこだわりっぷり(※1)。そのような曽我部とカレーにまつわるエピソードは、たびたびメディアのインタビューで語られているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 意外性という意味で言えば、Dragon Ashのドラマーである櫻井誠や、BRAHMANのボーカルを務めるTOSHI-LOWの手料理も挙げたいところ。子どもの頃から料理をしていたという櫻井は、2011年と2012年に『桜井食堂』と題した料理本を出版(『桜井食堂―誰でも作れる、ほんとうに失敗のない家族ごはん』『桜井食堂 パスタ編 絶対失敗しない、ほんとうにおいしいパスタ』)。現在もInstagramに「#桜井食堂」のハッシュタグをつけて自身が作った料理の写真を投稿しており、直近では中国の本格的なレシピをイメージした麻婆豆腐を投稿してファンの話題を集めていた。

 
 
 
 
 
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 また、TOSHI-LOWは2019年5月に、息子のために作り続けた弁当エピソードを書籍化した『鬼弁 ~強面パンクロッカーの弁当奮闘記~』を出版。カールマカロニを主食代わりにギュッと詰め込んだ弁当やパンダのキャラ弁など、「子どもが食べたくなる」という視点から工夫の凝らされた弁当レシピの数々には、家族への深い愛情を感じることができる。ただ、手の込んだレシピだけでなく、ときにはそうめんやつけ麺を弁当にしたり、吉野家の牛丼の肉の部分や飲み屋の付け合わせのおかずをそのまま大胆に弁当に詰め込んだりと、子育てに対して良い意味で力の抜けた一面も披露。TOSHI-LOWの風貌からは想像できない料理男子というギャップと、子育てや家事に対する達観した考え方に、TOSHI-LOWへの好感度がさらに高まる一冊となっている。

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