「青春の1ページに刻まれるように!」 LET ME KNOW、堂々たる輝きとバンドのロマンを響かせた東名阪ツアーファイナル

6月3日にリリースしたアルバム『Still Romance』を携えて、LET ME KNOWが東名阪をまわったワンマンツアー。そのファイナル・東京公演が、7月9日、渋谷 CLUB QUATTROで行われた。バンドにとって重要な節目となるライブで、LET ME KNOWの3人は満員のフロアを前にソリッドな演奏と多彩な楽曲で自分たちの存在価値をまざまざと見せつけてみせた。筆者が彼らのライブを観たのは1月に品川ステラボールで開催された『LET ME KNOW ONEMAN LIVE - SCENE_2526 -』以来だったのだが、このわずか半年ほどの間にも彼らが加速度的な進化を遂げていることがはっきりと伝わってきた。特にフロントマン・Matty(Vo)。ライダースジャケットを着てステージの真ん中に立った彼は、オーディエンスの視線を一身に浴びながら、ロックスターのような風格を帯びて堂々たる輝きを放っていた。



ライトスタンドやラジカセ、オープンリールのテープデッキ、小さなブラウン管テレビなど、バンドのコンセプトである“Nostalgic Modern”を象徴するようなアイテムが並ぶステージに、荘厳なSEとともに登場したMatty、Kehn(Gt)、Lyo(Dr)の3人。固唾を呑んで見守るオーディエンスに向けて、いきなりパワフルなビートと華やかなシンセサウンドが鳴り響く。ライブの幕開けを飾る1曲目は「Lovely Ør Lonely」。とたんに歓声を上げ、サビでタオルを回すフロアの様子が、この瞬間がいかに待ち望まれていたかを物語る。サングラスをかけたMattyは、その様子を見て興奮を抑え切れないとでも言うように咆哮を上げる。その所作がオーディエンスの熱狂をますます高めていく。

Mattyの「いけますか?」という呼びかけとともに「LAD浪漫's」「初なfeeling」と楽曲を畳み掛けるLET ME KNOW。フロアでは手拍子が広がり、クアトロの一体感は早くも最高潮に達した。「真夜中のタクシー」では流れる夜景のような洗練されたサウンドの中、切なさを帯びたMattyのボーカルが情感たっぷりに響く。サングラスを取り、スタンドからマイクを取った彼は、お立ち台に足をかけて盛り上がるフロアを見渡しながら金髪をかき上げる。そんな仕草も今のMattyにはよく似合う。メンバーによるセッションを経て「Law of Luv」へ。Mattyは“もっともっと”と言わんばかりに手を広げてバンドを煽る。KehnとLyoの2人とサポートベーシスト・太田あさひもそんなMattyと時折アイコンタクトを交わしながら、阿吽の呼吸でグルーヴを高めていく。フロントマンを中心にグッと熱を高めていく感じが、当たり前だがとてもバンドらしいロマンを感じさせる。

「Svveet Pea」のムーディなサウンドがオーディエンスを心地よく酔わせると、一転して赤いライトのなか、Kehnによる鋭利なポストパンクサウンドが鳴り響く。Mattyの求めに応じてハンドクラップが巻き起こり、「阿保みたい」の甘酸っぱいメロディが広がる。曲間の繋ぎも含めてノンストップで曲を披露していく構成だが、そのなかでも楽曲ごとの色の違いがしっかりと活きてライブをドラマティックに彩っていく。と、ここで「新曲やります」とMatty。アッパーなリズムとともに軽やかに披露されたのは最新アルバム収録曲「第六感より」だ。ひときわキャッチーなこの曲のサウンドが、クアトロを埋め尽くしたオーディエンスの手を気持ちよく揺らしていった。ここでLyoによる圧巻のドラムソロを挟み(そのソロの間もMattyはLyoを煽りまくっていた)、「みんなのパワーを分けてくれ!」とMatty。その声に一段と大きな歓声が起きるなか、LET ME KNOWのレパートリーにおいてもとりわけパワフルなロックチューン「1800」が始まる。Mattyのボーカルもさらにギアを上げて、バンド全体、会場全体のボルテージを引き上げていく。「準備OK? 次、Bメロでクラップちょうだい!」。そんな言葉にフロアはもちろん全力で応える。〈Hey Lady lady〉では大合唱。Kehnのギターソロも悲鳴のような歓声を呼び込む。完全にひとつになったクアトロは、そのままライブ後半戦へと突き進んでいった。


「改めまして、LET ME KNOWです。学校で勉強しているだけじゃ味わえない特別な時間ってあると思うんです。今日がみんなにとってそんな日になるように、俺たち最後まで音楽やっていきます」。そう宣言したMattyが4カウントして「Goodbye Daily」へ。「1800」で生まれた一体感はさらに濃いものになる。聴いているだけで胸がキュッとするようなこの曲のメロディはやはり素晴らしい。続く「Boring Days」ではイントロからオーディエンスの拳が突き上げられ、場内の空気がさらに熱くなる。歌い終えたMattyがバンドのサウンドを背に叫ぶ――「今日が皆さんの青春の1ページに刻まれるように!」。シンプルな言葉だが、だからこそストレートに届いてくる。どちらかといえば淡々と楽曲を繰り出していくようなライブだが、そこにはバンドとしてここまで積み上げてきた思いがしっかりと乗っかっているのだ。

「もう恋人には戻れない」の切ない情景がここまでのアップリフティングなムードとは違う空気を連れてくると、続けてバラード「Remember Summer Love」へ。丁寧に歌い上げるMattyの声に、オーディエンスはじっくりと耳を傾けている。アルバム『Still Romance』を聴いていてもそうだったが、クールで鋭い楽曲たちのなかに、どこか懐かしい手触りのこの曲があるというのはLET ME KNOWにとって大きな武器だ。Kehnの弾くエモーショナルなギターの響きも、どっしりと曲全体を支えるLyoのドラムも、とても優しく会場を包み込んだ。その優しさをさらに膨らませるように「100円キッス」へ。ライブも終盤に入り、普通ならわかりやすく盛り上がる曲を持ってきたいところで、この3連打である。ここでバンドの表現力を最大限に発揮するような曲たちを並べてみせたというのは、彼らの自信の表れなのかもしれない。実際、繊細に声の表情をコントロールしながらメロディをなぞるMattyのボーカルも、一つひとつの音に丁寧にニュアンスをつけながら奏でられるサウンドも、このバンドが持つさらなるポテンシャルを我々に教えてくれている。

「どうかな、楽しんでるかな?」とMatty。「次の曲は俺が不安で不安で仕方なかった夜に書いた曲です。みんなにもそんな夜があると思います。そんな夜にちょっとでも寄り添えたらなっていう気持ちを込めて」という言葉から「Sentimental Night Dive」が披露される。再び手拍子が会場を覆い、クライマックスを生み出していく。最後は「偽愛とハイボール」。アウトロでパッとフロアの明かりがつき、笑顔のオーディエンスを照らし出す。「どうだ、楽しい時間になったか? 次ライブやる時はまたみんなで楽しもうぜ」。Mattyのその言葉を合図に曲が締めくくられると、最後は3人で肩を組んで挨拶。Mattyはもちろん、KehnとLyoも自分の言葉でオーディエンスに感謝を伝えると、大きな拍手が彼らを包み込んだ。この日、バンドは秋に全国6都市と韓国・ソウルを巡るツアー『LET ME KNOW LIVE TOUR 2026 -Re: Still Romance -』を開催することも発表。LET ME KNOWの旅はまだまだ続く。そのツアーでアルバムの曲たちがどんなふうに新たな輝きを見せるのか、今から楽しみにしておきたい。



























