売れる曲か、かっこいい曲かの二択で戦うーーBlue Mashが「若者白書」で証明する“青春”を歌い続ける覚悟

3月にメジャーデビューを果たし、その後4,000人以上を動員した新宿でのフリーライブを経て、全国11都市のツアー『この街を出て』を完遂――曲を作るという意味でもライブをやるという意味でも根本的にやっていることは変わらないが、このバンドに対する期待と注目は確実に高まり続けている。大阪発の4人組、Blue Mashだ。そんな彼らがツアー中にレコーディングした楽曲「若者白書」が、7月1日に配信リリースされた。すでにライブでも観客の心を鷲掴みにしている新たなアンセムである。
Blue Mashにとってはバンドの核といっていいテーマを真正面から見つめ、年齢や世代を超えた“青春”のありかたを叫ぶこの曲は、若者だけではなく、あらゆる人に突き刺さるまっすぐな思いを乗せて、Blue Mashというバンドをさらに大きなフィールドへと引っ張り上げていくはず。目標として掲げている日本武道館への道のりは、彼らの足元から未来に向けて、確かに続いている。今回、優斗(Vo/Gt)に話を聞いた。(小川智宏)
先輩バンドや友人たちから得た“名曲に必要な要素”
――「若者白書」はメジャーデビュー後初のツアーとなった『この街を出て』の最中にできたんですよね。
優斗:そうです。そもそもこんな言葉、脳内にはなかったし。たぶん1ミリもツアー前にはできてなかった。初日が終わってから「どうしようかな」って考えたと思います。
――きっかけはどういうものだったんですか。
優斗:いろいろあるんですけど、一番最初は「ミドルテンポの名曲を作りたい」という思いから始まりました。4月末に『ARABAKI ROCK FEST.26』に出たんですけど、その前々日がツアー3本目の仙台で、鉄風東京とペルシカリアっていう同い年のバンドと対バンだったんです。で、その間が1日オフだったので、ボーカルだけで遊んで、めっちゃ楽しかったんですよ。前の日もしこたま飲んでて、次の日もライブやのにその日も酒飲んで……あの頃よりは全員年食ったけど、意外とあまり変わってないなって思ったんです。
――うん。
優斗:で、次の日『ARABAKI』に出て、レジェンドみたいなバンドをたくさん見たときに、「ミドルテンポの名曲は絶対にいるな」って思ったんです。メロがよくて、歌詞がよくて、160から180のテンポの中で、自分の声の一番おいしいとこを出せるメロディというのは絶対に強いなっていうことを感じて、そこからスタートしました。
――つまり、昔みたいな感覚を思い出した一方で、先輩バンドを観て「こういう曲が必要だな」と思ったことが重なって生まれたのが「若者白書」ということ?
優斗:そうです。それで、歌詞を全部書いて、「タイトルはどうする?」ってなったときに、僕の中では「絶対に『若者白書』やな」って。全部の歌詞を総括したときに、そういう言葉が出てきたっていう感じです。

――曲を作っていく中で、どういうことを考えながら書いていたんですか?
優斗:とにかくシンプルなもの。Blue Mashが前回のアルバムでやってたことはTHE・ギターロック。ギターロックって青春パンクよりは緻密に計算されているというか、歌うギターとメロディがあって、Aメロ、Bメロ、Cメロ、サビが全部あって、それをちゃんと3分半に詰め込むっていうものだと思うんですけど、それが「死にたくなったら会いにきて」だったんです。でもそれって、野外フェスの音が悪い環境でもお客さんに届くかって考えると、要素が多いなと思ったんです。そこを減らすのがまず大前提やなと思って、1回全部の楽器を自分で打ち込んで録音して、メンバーに送ったんです。
――曲を書くときは、そういう「この曲が必要だ」っていうところから出発するんですか?
優斗:そう、「こういう曲が今書きたいな」っていう漠然としたイメージ。実は今、書く予定の曲のリストが10個ぐらいあるんです。そういうのは常にあります。そうじゃないといろいろな曲が一緒になっちゃうと思うんで。ちょっと変わっていると思いますけど、そうやってイメージをめっちゃ膨らませるっていうのは結構いいなと思っていて。「ライブのこのへんでやりたい」とか「このフェスのこの会場でやったらおもろいな」とか「こういうMV撮りたいな」とか「こういうジャケットにしたいな」みたいな。そういうのから作っていくことが多いですね。
――それはBlue Mashというか、優斗というソングライターの大きな武器かも知れないですね。
優斗:そうかもしれない。
――ライブを観ていて思ったのは、感情が先走っていく瞬間ってもちろんあるんだけど、だからといってとっちらかりすぎないというか。全体を俯瞰で見る視点が常にあるような感じがしたんです。
優斗:なるほど。その節はあるかもしれません。よくないところでもあるんですけど、コンポーザー的な視点があるのかもしれない。
――でもそれが、この「若者白書」ではすごくいい形で出ている気がする。
優斗:まあシンプルに聴きやすいし、僕は結構満足してますね、今回は。
――歌詞の内容についてはどうですか。
優斗:歌詞は僕、めちゃくちゃ書くんですよ。“この1曲”にするために、死ぬほど歌詞を書く。
――何パターンも書くっていうこと?
優斗:じゃなくて、ひたすら、散文詩みたいにたくさん言葉を書いて、弾き語りしながらもう1回考えて、みたいな。今回も歌詞はめっちゃ大変だった。書きたいことは頭の中にあったんですよ。新宿でフリーライブをやったときに、MCで「心が若いやつが若者だ」って言ったんですけど、それを見返してめっちゃいいなと思ってそれを膨らませていったんですけど。
――フリーライブのときにそういう言葉が出てきたのはどうしてだったんでしょう?
優斗:どうしてだろう。でも、うちのチームは結構おじさんも多くて……これ、笑うところなんですけど(笑)。50とか40後半とか、うちの親父と同じくらいの歳だけど、朝まで一緒に飲んでくれたりとかするんですよ。すごいな、意味わからへんな、と思うんです。自分より30個下のやつのバンドに必死になって、寝る間も惜しんで物事をやるっていうのが、たとえ仕事だとしてもとんでもないことだなって。僕やったらそんなの無理やなと思う。それってたぶん心が若いんだろうな、夢を見てるって言うことだな、と思うんです。ビクターのチームのおじさんたちがそうだったんで、その会社のお金でやらせてもらっているフリーライブっていうことを念頭に置いたら、そういう言葉が出てきたって感じ。でもそれを「お金出してくれてありがとうございます!」って言ったら浅はかやから、もっといい言い方はないかなっていうところで、当日出てきたのがその言葉やったんです。
――でも、自分がもし10代だったら、若さに対して「年齢じゃないんだ」とか「心が若いってことなんだ」っていう発想は出てこないと思うんです。だから、優斗さん自身が歳を取ってきたということもすごく影響しているような気がする。
優斗:確かに。
――そういう意味でも、今だからこそ書けた曲なんだと思いますよ。
優斗:そうですね。それに、普通に曲としてクオリティ高いなって思っているので。それは前作以上に突き詰められたなというか。シンプルなことしかできないからシンプルなことをやってるわけじゃなくて、いろいろしっかりとやった上でこれを選んでる感じが、すごく清々しいなって思ってます。



















