SixTONES 松村北斗・ジェシー・森本慎太郎、ソロ曲で開花するシンガーとしての才能 豪華アーティストとのコラボが与える影響

SixTONES – ガラス花 (松村北斗) [PLAYLIST Day.10 Stage: Black]

 まず、松村のソロ楽曲「ガラス花」(初回盤Aに収録)について。上述したように、同曲の作詞作曲を手掛けたのは、10月に公開を控えた松村出演映画『キリエのうた』で主演を務めるアイナだ。この曲は、約6分間にわたる壮大にして深淵なバラードに仕上がっている。アイナのメロディメーカーとしてのセンスが遺憾なく発揮されていて、たおやかで開かれたメロディは一度聴いたら耳から離れない。また、切実な想いを丁寧に、時に情熱的に伝える松村の渾身の歌唱と相まって、深く胸を締め付けるようなエモーショナルな響きを放っている。まるでJ-POP史における往年のスタンダードナンバーのような普遍的な輝きを持つ名曲だ。アイナはX(旧Twitter)で同曲について、「儚いのに勇ましい歌声も  消えてしまいそうな息遣いも  松村さんの魂の震えが表現に滲んでいて  素晴らしかったです」と松村の歌唱を賞賛していたが、実際に音源を聴くと、その言葉の意味を豊かに実感できる。儚く、切なく、それでいて勇ましい。そうした多彩な表現力を誇る松村の歌唱に改めて痺れた。

SixTONES - Never Ending Love (ジェシー) [PLAYLIST Day.10 Stage: Red]

 続いて、ジェシーのソロ楽曲「Never Ending Love」(初回盤Aに収録)。この曲は、ジェシーにとって憧れの先輩であるKinKi Kidsの堂本剛が制作を手掛けたもの。リリース前のタイミングでジェシーは同曲について、「剛くんワールド全開で壮大な楽曲になりました。最初にピアノから入り、バラードかと思いきや、そこから色々物語が始まる良い意味で『変態』な楽曲になっています」とコメントしていた。「変態」というワードから、堂本の音楽的探究心を存分に炸裂させたミクスチャーナンバー、もしくは、彼のソロプロジェクトのような激渋のファンクネスを宿したナンバーを想像したが、実際には、歌を中心に据えた楽曲、言い換えれば、ジェシーのシンガーとしてのスキルと彼の持つ華を最大限に際立たせる楽曲だった。和のテイストを感じさせる憂いを帯びたメロディは、まさに堂本印と言ってよいだろう。ジェシーの歌い回しは、堂本への最大限のリスペクトを感じさせるもので、同時に、彼独特のセクシーさもしっかりと漂わせている。また、極限まで音数を差し引いた2番のラップパートから、力強い4つ打ちのリズムと共に少しずつ壮大な世界が広がっていく展開は圧巻で、ライブパフォーマンスでさらに化けるのではないかと思う。

SixTONES – Love is... (森本慎太郎) [PLAYLIST Day.10 Stage: Green]

 最後に、森本のソロ楽曲「Love is…」(初回盤Bに収録)について。この楽曲の制作を手掛けたのは、森本が高校生の時からファンであることを公言している平井大だ。まさに今回のコラボレーションは森本にとって念願のもので、また、平井の「Mr. Morimotoという素晴らしい才能と歌声を通じ改めて向き合うことができ光栄でした。ボクらの表現する "愛" を皆様に抱きしめていただけたら幸せです。」というX(旧Twitter)の投稿からは、平井から森本に対する熱いリスペクトが伝わってくる。実際の楽曲は、平井が「夏の終わりにピッタリな、sweetな曲になりました。」と紹介していたように、聴く者の心に優しく寄り添ってくれるような甘いミディアムナンバーとなっている。全編に伝わるポジティブなバイブス、丁寧に紡がれるたおやかなメロディ、そして、大切な人への深い想いを宿した“愛”の言葉たち。それら一つひとつの要素と、森本の温かく豊かな歌声の相性は抜群で、時おり挟み込まれるファルセットが美しいアクセントとして光っている。いつかライブで2人の共演が実現する日を心待ちにしている森本のファンは多いはずで、同曲は、平井のファンがSixTONESに興味を持つきっかけの一つにも成り得ると思う。

 今回3人が、J-POPシーンで活躍するミュージシャンとコラボレーションしたことは、今後の彼らの音楽活動にとって間違いなくポジティブな影響をもたらすはず。そして、ソロとしての活動だけでなく、グループとしての活動にも還元されていくだろう。そう強く確信させてくれるような素晴らしいソロ楽曲たちであった。

SixTONES、11thシングルはデビュー以来初のソロ曲収録へ 松村北斗・ジェシー・森本慎太郎と豪華制作陣との相性を考察

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