Vaundyとimase、2000年生まれの2大ヒットメーカーが備える共通項 バズを手繰り寄せる俯瞰の視点と嗅覚
Vaundyとimaseは共に2000年生まれ。両者ともデジタルリリースを主軸を置いたデジタルネイティブ世代だ。2人ともストリーミングでバズを起こした後に、畳みかけるように音源をリリースし、イベント出演やワンマンライブと、じつに鮮やかな展開を見せている。デビュー時に戦略的に音源を配信していたというVaundy(※1)、一方で“これがバズるのではないか”と予測を立てて楽曲を作っていたというimase(※2)。2人とも自己プロデュース能力に長けているだけでなく、ハイクオリティな楽曲を作り続けられるソングライターとしての手腕、加えて音楽シーンやリスナーの需要を察知する俯瞰的な視点が備わっているのだ。
両者とも音楽的ルーツがシームレスで、じつは若年層だけでなく幅広い層に響くメロディを作り出していることも強い。さらに“音楽”を多角的に捉え、映像やジャケットまで含んで作品と捉えているところも類似点だろう。つまり、音楽ありきの映像(MV)ではなく、映像とリンクすることを前提として楽曲を作っているのではないかと考察する。だからこそ、彼らの曲は、TikTokやYouTube ショート、Instagramのリール動画などに“ハマりがいい”のだ。
さらに楽曲の共通点をあげるとするならば、タイトなアレンジや、曲の冒頭4小節の間にその曲を象徴するようなフックがあることだろうか。imaseは、メロディと歌のファルセットの抜き方や、言葉の最後を少し音程をあげているように感じさせる微妙な揺らぎが強烈なフックになっている。また歌詞の言葉の配置が絶妙で、語感の余韻が残る言葉が必ず入っている。Vaundyの場合は、リズム、フレーズ、転調するハーモニー、声、歌など、フックのバリエーションがとても多い。さらに曲調に合わせて歌い方のアプローチを変えており、地声に近い声で高音を出せる音域、ファルセットの使い分けなど、ボーカル力の高さも窺える。
そして、2人とも洒脱なメロディと日本語をマッチさせるのが抜群にうまい。才能の共通点だ。言葉選びもそうだが、母音より子音にインパクトをつけたボーカルアプローチで、日本語に軽快さが加わっているのも同じ。この日本語の軽快さこそ、これから新しいシーンを作り上げていくアーティストならではの共通項で、日本語の楽曲がグローバルに進出する条件なのではないかと考える。
この11月から2024年1月まで続く、自身初のワンマンアリーナツアー『Vaundy one man live ARENA tour』が決定しているVaundy。韓国の配信サイト「Melon」の総合チャートにおいて、J-POP史上初のTOP100入りを果たした「NIGHT DANCER」が各国に広がり続けている中、早くも本年6曲目となるオリジナル楽曲「I say bye」を9月14日にデジタルリリースするimase。彼はLE SSERAFIMへ自身初の楽曲提供を行なったばかりだが、両者共にアーティスト/コンポーザーとして今後も日本の音楽シーンの中核を担っていくのではないだろうか。
※1:https://www.gqjapan.jp/culture/article/20210109-vaundy
※2:https://www.barks.jp/news/?id=1000214356
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