猛暑日続出 夏の野外フェスにおける熱中症、海外での対策は?

夏の野外フェスの熱中症、海外での対策は?

 8月19日、20日開催の『SUMMER SONIC 2023』で多数の熱中症患者が発生したことは多くの議論を呼んだ。熱中症への警戒が高まる中、著名なイベントでの出来事ということに加えて、ZOZOマリンスタジアムのグラウンドでは水・お茶以外の飲み物の持ち込みが禁止されていたため、「スポーツドリンクや塩飴が没収された」という参加者の証言も一部SNSなどで物議を醸した。ただし持込禁止は事前に告知されていたことであり、人工芝のスタジアム全般に定められたルールで『SUMMER SONIC』に限ったことではないため運営だけに責任を求めることは難しい。

 国内外から多数のアーティストが参加したこともあり、『SUMMER SONIC』での熱中症騒動は海外メディアでも大きく報道されている。そこで海外野外フェスの熱中症事情について調べてみたところ、意外にもあまり事例がヒットしなかった。というのも海外のフェスでは、熱中症以上に薬物の蔓延が問題視されているらしいのだ(※1)。それは確かに切迫した問題であろう。

 もちろん熱中症による事故もないわけではない。世界最大規模のフェスのひとつ、英『Glastonbury Festival』では2017年に数百人が熱中症を起こし、他の症状も含めて59件もの緊急出動があったという(※2)。アーティストが熱中症に倒れたニュースも時折見つけられるように、夏フェスの熱中症問題は日本以外でも発生している。

 それでは、海の向こうの音楽好きたちはどのような熱中症対策を行っているのか。中国では「フェスの時にはキュウリを持参する」というライフハックが話題となっていた。これはキュウリが水分と電解質を含み、かつ持ち歩きやすい食品だから……といった理由のようだが、キュウリ1本で摂取できる水分量はヤクルト1.5本分くらいなので水を飲んだ方が良いだろう。

 英語圏のウェルネス系サイトの記事を見ると、日本でもよく聞かれる水分補給などの基本的対策に加えて「トレーニングや睡眠、ヨガ等で体調を整えておくこと」が重要とされている(※3)。また、日本ではあまり聞かれないが「尿の色を観察して脱水状態をチェックする」というものもよく見つけられた。

 このほか、海外フェスでは観客に向かって水を撒くこともある。しかしこれを日本でやるには観客側の許容が争点になるだろう。さらに海外では熱中症患者への応急処置として「全身を氷風呂に浸ける」という方法がかなりの効果をあげているのだが、日本では心臓への負担に対する懸念から忌避されている(※4)。

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