猛暑日続出 夏の野外フェスにおける熱中症、海外での対策は?

夏の野外フェスの熱中症、海外での対策は?

 ただ、根本的な話として日本ほど熱中症が発生する国はそう多くない。これには気温と湿度の関係に加えて、生活習慣も大きく影響している。日本より蒸し暑い赤道直下の国々では「日中は涼しいところで過ごし、なるべく働かない」という習慣があり、小まめな水分補給を徹底教育されているという(※5)。炎天下での野外作業やイベントが当たり前で、かつ水分補給に制限がかけられることもある日本では、熱中症は「社会の病」なのかもしれない。

 夏フェスでの熱中症対策は今後もイベントを開催するための重要課題である。しかし散水や全身氷冷といった方法には観客側に抵抗感があったり、トイレを回避するため水分摂取量を減らしてしまったり、場所取りのため日なたから動かなかったり、会場の規約から飲料の持ち込みを制限せざるを得なかったり、長時間労働の疲れがとれないまま慣れない炎天下に繰り出して体調を崩してしまったり……と問題は山積みだ。客席前方の入れ替え制やドリンク販売の強化、日陰の確保にトイレの増設といった対策はもとより、通勤通学でも熱中症に倒れる人が相次ぐ現状、野外フェスは開催時期自体にも見直しが必要な時代が来たのかもしれない。

※1:https://edition.cnn.com/2013/09/01/us/new-york-music-festival-canceled/index.html
※2:https://www.bristolpost.co.uk/news/bristol-news/hundreds-treated-heat-exhaustion-glastonbury-128559
※3:https://www.refinery29.com/en-us/2023/07/11476327/music-festivals-wellness-hydration-self-care
※4:https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2022/06/post-1277_1.php
※5:https://trip-s.world/malaysia-heatstroke

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる