桑田佳祐、東日本大震災から15年目に届けた東北地方への思い 「また会おうね、って言えることが我々の役目」

桑田佳祐、東北地方への思い

 3月11日に桑田佳祐が宮城のFMラジオ局Date fmにて放送された特別番組『Date fm Pass On The Message 〜桑田佳祐スペシャル〜』に出演。東日本大震災から15年となる節目の日にインタビューを届けた。

 桑田といえば自身が古希を迎えた2月26日に新曲のリリース、そして夏のツアーの開催を発表したばかり。情報発表と合わせて公開されたキャッチコピー“NEW 70’S ここからが始まりでしょ”は70歳を迎えたアーティストとは思えない新鮮さに満ちており、70歳を迎えてもなお消えることのない音楽に対する桑田の情熱と矜持が感じられた。そんな桑田が古希を迎えて以来初となるインタビューが宮城県のFMラジオであるDate FMの特別番組にて放送されたのである。

 なぜこの日に桑田のインタビューが仙台のFMラジオ局で放送されるのか。それは東日本大震災以降、桑田佳祐の活動には常に東北地方へ思いが貫かれていたからだ。震災発生間もなく自身の所属する芸能事務所・アミューズのタレントや俳優、アーティストたちと共に結成したチーム・アミューズ!!として、復興支援チャリティーソング「Let’s try again」をリリース。同年5月には桑田が仙台を訪れ、自身のレギュラーラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』をDate fmから放送。同年8月には被災地への想いを込めた「明日へのマーチ」を含むシングルをリリース。震災から半年となる2011年9月には宮城県・セキスイハイムスーパーアリーナにて『宮城ライブ 〜明日へのマーチ!!〜』を開催。このライブは震災後遺体安置所として使用されていた同会場で震災後初のコンサートとなり、その後の東北地方でのライブ・コンサート再開の足がかりとなった。以降、同会場はサザンオールスターズ、桑田佳祐ソロとしてもツアーの度に必ず公演を行う場所となった。翌年以降もリリースされる楽曲の中に、たびたび東北への想いをしたためていた。震災から5年となる2016年3月には、津波で流出した町の防災無線にかわって開局された女川さいがいFMにて公開収録を実施。女川町民を招待してのシークレットライブを敢行しその模様を全国にラジオで届けるなど、2011年以降の桑田佳祐の活動には一貫して東北地方、そして被災者への想いがあった。先日開催が発表された今夏のアリーナツアーにおいても、石川や大分など近年で自然災害の被害があった場所を巡ることに加えて、セキスイハイムスーパーアリーナをツアーファイナルの地に据えるなど、その思いは15年が経過した今なお変わることなく桑田を突き動かしている。

 『Date fm Pass On The Message 〜桑田佳祐スペシャル〜』のインタビューでは、冒頭からインタビュアーを務めたDJの井上崇より70歳を迎えた桑田への祝福が述べられると「おめでたくもなんともない」と桑田らしい謙遜からスタート。先日のソロ活動の発表について「なにかしてないと弱ってくばかりな気がして、自身を奮い立たせるようにとにかくブチ上げた」と話すと、話題は48年活動を続ける原動力について。サザンオールスターズとしてデビューした桑田ということもあり「メンバーと支え合ってきたこと」「ファンとスタッフの支えを持って奮い立たせている」と自身の活動の原動力は人との関わりであると述べ、周囲の人間あっての活動なのだと感謝の思いを口にした。

 3月11日放送の特別番組ということもあり、インタビューは2011年以降の桑田の被災地支援に関するトピックに。2010年の桑田自身の病による活動休止からの復帰に際し活動の大きな指針となったことを打ち明けつつ、チーム・アミューズ!!としてリリースした「Let's try again」は桑田の事務所アミューズの後輩アーティストである福山雅治やポルノグラフィティといった若いアーティストたちに背中を押してもらってこそ生まれたと話し、アーティストが普段していることは「気晴らし産業」だと桑田らしく表現。「人が困っている時に楽しいことを思い出す、嫌なことを忘れてもらうことが一番」というアーティストとしてのプライオリティを表出した。震災後間もなく、宮城県の閖上を訪問した桑田は、津波によってなにもなくなってしまった様を見て「誰もいない、なにもない状態では歌は響かないと感じた」と話し、人が集まるタイミング、相手がいる場所で歌を伝えたいという思いが震災から半年の9月に開催された『宮城ライブ 〜明日へのマーチ!!〜』に繋がったと当時を振り返った。

 継続して東北へ思いを寄せる活動について桑田は「全国のファン、イベンターに育てられたので恩返しがしたい」という思いを語り、その思いが先日発表された今夏の石川から始まり宮城で締めくくるツアー日程に現れたと話した。地方が過疎化する中でツアーでファンと出会い、再会できることにライブの良さを感じたと語り「ライブを見に来てくれた人にまた会おうね、って言えることが我々の役目」とライブに対する矜持を語った。

 また、9月に桑田が開催するツアー宮城公演千秋楽の翌日に開催される『東北未来芸術花火2026』で桑田の楽曲を使用したプログラムが計画されていること告げられると、桑田は宮城のイベントスタッフへの感謝を述べつつ、周囲のスタッフとのコミュニケーションの中に常に被災地への思いやプランがあることを明かす。ビジネスばかりではない思いを持ちながら仕事をしている人たちが桑田の活動の道筋を作り出してくれていると謙虚な思いを口にすると、番組の最後には放送を聞いているファンに向けて「また気休め産業として戻ってきたい」「秋に仙台で3daysのライブを開催する、東北のファンに会いに戻ってくることは私の浪漫であり生きがい」「浪漫を設定出来ることは私の幸せ」「みなさんも浪漫を持って免疫力をおとさないように」と桑田らしくも誠実な言葉で締めくくった。

 古希を迎えてもなお新曲をリリースするという姿勢やライブに対する思い、なによりも仙台をはじめとした被災地、ひいては日本という故郷に対する誠実な思いも感じられる、どの言葉も聞き漏らすことのできないインタビューだった。この放送が3月11日に放送されたこと、今なお桑田が東北を思いながら活動を続けていることに励まされたファンも多いのではないだろうか。9月には再び桑田がセキスイハイムスーパーアリーナを、そして東北を熱く盛り上げてくれる。

■ラジオ情報
Date FM『Date fm Pass On The Message 〜桑田佳祐スペシャル〜』
出演:桑田佳祐
DJ:井上崇
radiko:https://radiko.jp/#!/ts/DATEFM/20260311190000

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