モーニング娘。OG 佐藤優樹がソロデビュー 二度の転機を経てたどり着いた唯一無二のパフォーマンス
モーニング娘。OGの佐藤優樹が、ソロアーティストとしてのデビューシングル『Ding Dong / ロマンティックなんてガラじゃない』を3月29日にリリースする。グループ所属時には、天真爛漫なキャラクターとステージでの圧倒的なカリスマ性で、多くのファンの心をつかんでいた彼女。今回、改めて佐藤優樹の経歴を振り返りながら、卒業後も続く彼女の人気の理由を探ってみたい。
北海道出身で、1999年5月7日生まれの佐藤優樹。ファンから「まーちゃん」の愛称で親しまれている彼女は、2011年に行われた『モーニング娘。10期メンバー『元気印』オーディション』に合格。飯窪春菜、石田亜佑美、工藤遥とともに、新たなリーダーへと就任した新垣里沙の率いるモーニング娘。の10期メンバーとして加入した。佐藤がモーニング娘。のオーディションを受けたのは、他メンバーの応募動機と比べても珍しく、父親がきっかけだった。勉強が苦手だった佐藤の様子を見て、父親は「この子は音楽の分野で育てよう」と決心。音楽的なことが学べればと、佐藤の父親がモーニング娘。のオーディションに応募したのだという(※1)。
オーディションを受けながらも、モーニング娘。やつんく♂のことをよく知らなかったという佐藤。それでも彼女が合格したのは、つんく♂が彼女のポテンシャルに大きな期待を寄せたからだった。つんく♂は2011年当時、ブログの中で以下のように書き記している。「北海道の佐藤優樹はダンスや歌のレベルはまだ他の3名より劣りますが、本人もまだ気がついていないビジュアルの原石であると言う点、そして、このオーディションの期間内に相当のレベルアップを感じたので合格としました。(※2)」
デビュー直後の佐藤は、その明るく自由で、不思議なキャラクターに注目される機会の方が多かった。実際、ハロー!プロジェクトのYouTubeチャンネル『tiny tiny』で佐藤が語ったところによると、デビュー直後から5年ほどはモーニング娘。の活動を「習い事」の延長にあるものと捉えていたらしい。そのため、同期の工藤とともにマネージャーにいたずらをするなど、子どもらしい無邪気な行動でよく怒られていたそうだ。
しかし、そんな佐藤にも2016年に大きな意識の変化が訪れる。その頃、つんく♂がメディアで語っていたモーニング娘。への想いなどに触れる中で、佐藤は「(活動を)お仕事としてやっていかなきゃ」と感じ、プロ意識に火がついた。「何でもできるようになりたい。芸能人っていろんなことできないと、カッコよくない」と思うようになり、スタッフへのいたずらなどを一切やめて、パフォーマンスと真摯に向き合うようになったという。そこにはライバルとして意識しつつも大きな影響を受け、卒業を決断した鞘師里保の後ろ姿を追いかけていこうという決意もあったのかもしれない。
パフォーマンスへの向き合い方については、佐藤のブログやインタビュー記事を見ていると、彼女のさまざまな思考の跡を垣間見ることができる。例えば、楽曲の解釈。佐藤は独自のロジックツリーによる歌詞分析スタイルで楽曲の世界観への理解を深めながら、幼い頃から培ってきた音楽的な素養を活かして、インストゥルメンタルからも彼女が尊敬してやまないつんく♂をはじめとした作曲者の思考を読み解こうとしていた(※3)。
その努力の跡はいつしか、ステージでの表情や歌い方の機微、ダンスの合間で見せる彼女ならではの動きから、佐藤の表現への挑戦姿勢として垣間見えるようになった。