10-FEET TAKUMA、映画『THE FIRST SLAM DUNK』楽曲制作から得た“自由なモード” 音楽だから表現できた願いも明かす

10-FEET TAKUMA『スラダン』曲制作を語る

『SLAM DUNK』に感化されて芽生えた“TAKUMA自身の願い”

ーー楽しみにしています。そしてラストの「深海魚」ですが、これが本当に美しくて素晴らしいバラードで。別れの歌でありつつ、“去っていった人が残してくれたもの”に想いを馳せるような曲ですけど、どのようにできたんでしょうか。

TAKUMA:さっき主題歌候補として作ったと言いましたけど、『SLAM DUNK』の話をもらったときにはすでに原型があった曲で、映画のあるシーンにインスパイアされて完成したんです。自分の経験に基づいている部分もあるので、ありのまま告白するように作った曲なんですけど…………コロナ禍になる少し前、僕にとってすごく大切な人を亡くしてしまって、そこから立ち直れへんくらいやられていた時期があったんですよね。ツアーをやっていても、「今日なんか声が出てなかったな」とか「元気なかったね」って言われがちな時期で。そういうきっかけで、逆に「いつもよりめっちゃ元気やな」「TAKUMAさん、なんかいいことあったんかな」と言われるように、平気な自分でい続けようという決意をしたんです。なんで? と言われても、うまく説明できないんですけど。そこから2年間ぐらいはクソ笑顔でクソ元気に、みたいなテーマを持って生きてたんですよね。

ーーそうだったんですね。

TAKUMA:そのことを『SLAM DUNK』を観ているときにふと思い出して。「深海魚」のメロディは下手したら15年くらい前に、京都の鴨川でギターを持って夜中に1人で歌っていたくらい、昔からあるものだったんですけど、ずっと曲にできずにいて。「いいメロディやけど、もうこれが曲になることはないんかな」と思っていたところで、『SLAM DUNK』の話をもらって。同期とかいろんな音を曲にできるようになった今なら完成させられるかもしれへんと思って、トライしてでき上がった曲ですね。15年前は15年前で、今は今で悲しい出来事がいっぱいあるけど、こんなに素晴らしい曲ができたんやからその想いを全部乗せたいなと思って歌いました。

ーーそれだけ長い間ストックしていた曲に対して、素直な気持ちになれたのはどうしてなんでしょうね?

TAKUMA:ほんまに『THE FIRST SLAM DUNK』が素晴らしい映画だったからに尽きると思います。心から感動したときって、普段は言えないこととか、いろんなことに対して素直になれる気がするんですよね。自分の気持ちを照れずに歌にできる状態にさせてもらえたんやなって。

10-FEET TAKUMA

ーーそれはわかる気がします。〈いつか子守唄の様な/愛しい思い出になるかな/そしたらあなたみたいに笑うわ〉というのも10-FEETらしい願いですよね。悲しみや苦しみにちゃんと向き合った上で乗り越えていく、「深海魚」はその一助になるような音楽なのかなと。

TAKUMA:やっぱり誰かを失うのは苦しいし辛いし、忘れたくないからこそ、恋しい気持ちにもなるんですよね。いつか時間が経って、そういう心の傷がだんだん癒えていったときに……でも癒えたからといって、辛かったことを忘れてしまうわけじゃなくて、悲しいんだけど愛おしくて、思い出すのが嫌じゃないものになって、自分の中の宝物みたいになってくれたらいいなって。小さい頃に聴いた子守唄って、母親が歌って眠りやすくしてくれるんやけど、「寝たら今日が終わってしまう」「目を閉じたら母親のことが見えなくなってしまう」という寂しさもあったんですよ。寝たくないんだけど、心が安らぐから愛を感じてスッと眠ることができる。それぐらい切ないけど、愛おしい存在になれたらいいなっていう歌やと思います。

ーーしかも今回のアルバムには〈夜〉という言葉がよく出てきますよね。いろんなことを考えてしまう夜という時間を、否定することなくそのまま歌うのがTAKUMAさんの優しさだなと。

TAKUMA:僕はすごく夜型で、いろいろ考えてうまく眠れなかったり、急に目が覚めてしまうことが多い人やから。必要以上に被害妄想に陥って悩んだりとか、何かを決意したりするときも夜が多いんです。そういう人って僕以外にもいるんじゃないかと思うし、同じような人と音楽で心を重ねたいから、よく〈夜〉という言葉が出てくるんやと思います。「元気出しや」と言うよりは、「俺もそうやで」と言われる方が元気になるときがあると思うので、そういう想いが込もっていますね。

ーー最後に、今年は10-FEETの25周年イヤーで、初めてのホールツアーや『京都大作戦』の成功、太陽が丘ワンマン、映画『THE FIRST SLAM DUNK』と、さまざまなことを駆け抜けてきたと思いますが、来年1年間かけて廻る全国ツアー『10-FEET “コリンズ” TOUR 2023』(全55本)はどういうものにしたいですか。

TAKUMA:20本以上のロングツアーやと、体もメンタルも疲れてくるし、この年齢になるとさらに非日常な感じがするんですよね。命削ってやるって言うと大袈裟な気もするけど、ツアーってそれだけの熱量が必要やし、そこに生命力を注ぎ込んでいかないとやる意味がないというか。一生懸命いいライブをやるのは当たり前な上で、それが自分にとっていい経験となり、来てくれる人にとってもいいツアーになることをただ願ってますね。無責任に聞こえるかもしれへんけど、やっぱりライブって蓋を開けてみないとわからないから。全力でやるからしんどいけど、またやりたいと思えるツアーになるように取り組むし、それが醍醐味やと思ってるし、今までのツアーも全部そうやったから。どんなツアーになるか、“来てください”というよりは「よかったらみんなで一緒に観に行きません?」みたいな気持ちです。

10-FEET - シエラのように
10-FEET – 9thアルバム「コリンズ」特典DVD「京都大作戦2022~今年こそ全フェス開祭!~」トレーラー
10-FEET コリンズ
10-FEET『コリンズ』

■リリース情報
10-FEET
9thアルバム『コリンズ』
2022年12月14日(水)発売

・完全生産限定盤(2CD+DVD+GOODS)5,940円(税込)
※十字折デジパック、透明スリーブケース付き豪華仕様
※10-FEET 25周年ロゴ 赤いリストバンド封入

・初回生産限定盤(CD+DVD)4,070円(税込)
※デジパック仕様

・通常盤A(CD)2,970円(税込)
・通常盤B(2CD)3,850円(税込)

【収録内容】
《Disc1》
01. SLAM
02. 第ゼロ感
03. 和
04. ハローフィクサー
05. まだ戻れないよ
06. aRIVAL
07. ブラインドマン
08. 123456789101112
09. アオ
10. 炎
11. 彗星
12. アリア
13. おしえて
14. シエラのように
15. 深海魚

《Disc2『THE FIRST SLAM DUNK』劇中音楽 (10-FEET Original ver.) 》
完全生産限定盤、通常盤B共通
01. 暁の砂時計
02. Alert of oz
03. Slash Snake
04. BLIZZARD GUNNER
05. Double crutch ZERO

10-FEET – 9thアルバム「コリンズ」Disc2全曲トレーラー

《DVD「京都大作戦2022~今年こそ全フェス開祭!~」》
完全生産限定盤、初回生産限定盤共通
<DAY1> VIBES BY VIBES / aRIVAL +オフショット映像
<DAY2> アオ / 火とリズム / シエラのように +オフショット映像
<DAY3> ライオン +オフショット映像
<DAY4> Fin / ハローフィクサー / back to the sunset /CHERRY BLOSSOM +オフショット映像

《GOODS》
完全生産限定盤のみ
10-FEET 25周年ロゴ 赤いリストバンド

【封入特典】
『10-FEET "コリンズ" TOUR 2023 FINAL SERIES』最速CD封入先行(抽選)シリアルコード
※受付期間=2022年12月13日(火)12:00~2022年12月19日(月)23:59
※申込可能数=シリアルコード1件につき1公演のみ、最大5枚まで

10-FEET オフィシャルサイト

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