望月琉叶、5人のボカロPとの5カ月連続配信企画を通した活動の展望 「演歌もボカロも日本の文化を背負って広めていきたい」

望月琉叶、活動の展望を語る

初めて素の自分を出します

――以前、YouTubeで堀江貴文さんの『<ホリエモンの美女トーク!~ホリビジョッ!!~>』に出演された際「演歌を世界に広めていきたい」とお話しされていましたよね。すごいスピードで『レコ大』の新人賞も受賞されたし、さらに演歌界の若きホープとして活躍されていくのかと思ったら……今回5人のボカロPと「5カ月連続配信企画」をすると聞いて、びっくりしました。

望月:先ほども話に出ましたけど、もともとボカロが好きだったんですよね。中学校の頃に嫌なこととかがあってカラオケに引きこもり……引きこもるというか(笑)、フリータイムで歌いまくっていたんです。嫌なことがあったのも忘れるような感じでボカロにはいろいろお世話になったんですね。去年『レコ大』の新人賞も取ったから、今ならわがままを言ってもいいかなと思って。自分が密かにやりたかったことを提案したら、それが実現したという感じですかね。タイミングも良かったと思います。

――演歌とボカロで、それぞれどんなところに魅力を感じていますか?

望月:演歌は艶やかで、大人っぽくて、歌う上では繊細でいろんなテクニックが必要なんですよね。ロングトーンや、ビブラートとかこぶしを効かせると、皆さん反応してくださって。私の父が74歳になるんですけど、親戚も高齢なので演歌を歌うとすごく喜んでくれて、大人の人がみんな喜んでくれるんだ。すごいな演歌は」と思いました。一方ボカロだと人間に歌えないような曲が多いんですよ。めちゃくちゃ早口だったり、異常に伸ばしたり、トーンが高すぎたり、逆に低すぎたりとか。それをみんなの前で歌うと「すごくない!?」「どうやってるの!?」って、まるで壮大なマジックをした後のように喜んでくれる。異次元なことをしているというか、みんなが喜んでくれるのがボカロの魅力ですね。

――ニコニコ動画やYouTubeで、dorikoさんの「ロミオとシンデレラ」に挑戦されていましたけど、反響や手応えはどうでしたか?

望月:演歌歌手、アイドル、グラビアの顔しか知らない人達がほとんどなので、ボカロを歌うことにびっくりされていて。「新しいルカチを知れた」と言ってくれたのがすごく嬉しかったです。

――賞賛の声しかなかったですね。

望月:そうでしたね! 「演歌やめちゃうの?」みたいな声もないし、「頑張れ」と言ってくださる方ばかりだったので、嬉しかったです。

――企画の話題に戻すと、今回タッグを組まれるボカロPの方々は望月さんが提案されたんですか?

望月:自分から「この人にお願いしたいです」と言ったり、逆にボカロPさんを教えていただいて「こんな人がいたんですね! 一緒にやってみたいです」という流れでお願いした方もいるし、様々な経緯で5名の方と組ませていただくことになりました。

――歌う内容や曲調については、望月さんが希望を出されることはありました?

望月:まだ一曲しかレコーディングできていないんですけど、今回jon-YAKITORYさんが書いてくださった「MONSTER」の歌詞に関しては「表舞台に立っている自分と、元々の“陰キャ”な自分との葛藤みたいなものを歌にしてほしい」というアイデアを出して。本当にその通りの歌詞ができ上がって、すごく素敵な曲になったと思います。

望月琉叶 『MONSTER』MV

――内面を見せるような曲を歌おうと思われたのは、どうしてだったんですか?

望月:演歌って失恋を表現した歌が多いんですけど、私自身は失恋をしたことがないから、演歌を歌う時って演じている感覚なんですね。誰かとお付き合いしたこともないし、そもそも恋愛をした経験がほとんどないので、自分の身に起きたことに置き換えてみるんです。例えばファンの人に「君のことをずっと応援してるから、君しか見てないから」と言われたのに、数年後にいなくなってるみたいな(笑)。違う推しの子と楽しそうに話したり、別のアイドルグループに行っちゃたりとか、そういうのも失恋の一種ですよね? 失恋曲の場合は、その気持ちを思い浮かべながら歌っていて、素の自分っていうより、演者の自分が歌ってる感じなんです。だけど「MONSTER」では初めて素の自分を出します。みんなにも望月琉叶を知ってほしいし、共感してもらえる部分はあるんじゃないかなと思います。社会人の方でも仕事をしている時の自分と、家に帰って気を抜いてる時の自分がある。そういう日常に生まれるギャップについて葛藤している歌なので、聴いた方にも共感してほしいなと思っています。

――“望月琉叶”の仮面を外すのって、覚悟がないとできないというか。

望月:覚悟ですよね、これは(笑)。今まで表しか見せてこなかったので、裏の部分を見せてしまったか! みたいな感じで、ちょっとヒヤヒヤしながらも楽しみです。

――「MONSTER」のレコーディングを通して、印象に残ってることはありますか?

望月:歌の中で表現の波をつけたかったんですよね。だから歌い方をコロコロ変えていたり、〈笑っちゃうぜ〉の箇所は本当に笑いながら歌っていたり。演歌は割と聴かせ続けるから、語っているような歌は、あまりやったことなかったんです。なので新しい挑戦になったし、とても新鮮な気持ちです。

――楽曲提供と編曲をされたjon-YAKITORYさんは、Adoさんとのコラボ曲「シカバネーゼ」が大ヒットしたことでも知られている、人気ボカロPです。

望月:前から曲は知っていたんですよ。jon-YAKITORYさんの魅力は、やっぱり聴いていてスッキリするところですね。歌詞も曲もすごくダイレクトで、分かりやすくて大好きです。

――「MONSTER」のレコーディングが終わったばかりとのことですが、これから5カ月連続リリースに向けての手応えはどうですか?

望月:めちゃくちゃすごいのができたぞって思ってます。多くは語らないですけど、すごいです!

――とにかく続報を待ってほしいと。

望月:幕は上がったばかりだよ! これから行くぜ! みたいな感じです。

――ちなみに望月さんって、プレイヤー目線はもちろんですけど、先ほど触れたツイキャスの企画や今回の思い切ったボカロ企画のように、プロデュース力が長けているなと思っていまして。

望月:ネットの影響が大きいですね。昔からアウトドア派じゃないんですよ。“陰キャ”っていうか、インドア(笑)。小学生の頃からパソコンとかスマホと向き合っていたし、SNSとかでコスプレイヤーさんや、すごいメイクをしている人を見て「すごいなあ!」と思ってチェックしたり、例えばダンスでいうとK-POPを見て「わ、すごいな! 人間とは思えない動きじゃん!」みたいな。(キーボードを打つ感じで)「感動、感動」みたいな。あとはL’Arc〜en〜Cielさんが好きで! hydeさんはすごいバキバキに綺麗なメイクをして、あんなに歌いながらギターも弾いてすごいな! と。視覚から入るものと、聴覚から入るものとどっちも魅力的。ミラクルじゃん! っていう。最強のコラボレーション、レボリューション! そんな感じで、いろんなアーティストさんを見ていたんです。それでいろんなアイデアが浮かぶのかもしれません。

――美川憲一さんの「柳ヶ瀬ブルース」を聴いて演歌に目覚めた話がありましたけど、パブリックイメージで言うと、そういう和のイメージが強いと思うんですよ。でも、実際はL’Arc〜en〜Cielとか、好きなジャンルの幅がすごく広い。

望月:そうですね。実はジャズも好きだったりして。ジャズはビル・エヴァンスっていうピアニストが好きなんです。小学生の時、ジャズにハマって「ジャズを弾きたいな」と突然思い立って、1人でヤマハへ行ったんですよ。そこでお店の人に「ビ、ビル・エヴァンス」と言ったら、「え? どうしたの? ビル・エヴァンスが弾きたいの?」「ビル・エヴァンスが弾きたい」「楽譜? ここにはないよ」「どうすればいい?」「え? アメリカから輸入!」と言われて輸入してもらって。

――ギャル店員じゃないですよね?

望月:じゃないです(笑)。多分びっくりしたんだと思うんですよ。小学校低学年のちびっ子がいきなりお店に来て、店員さんを見上げながら「ジャズを弾きたい」って言ったから。しかも親とじゃなくて、お年玉を持って1人で行ったんですよ。輸入するから、めっちゃ高かったんです。持って行ったお金をほぼ全額払って、そこで楽譜を手に入れて弾くようになりました。だからジャジーな感じも好きだし、幅広くいろんなものが好きです。

――小学校低学年の子が、急に思い立ってジャズの楽譜を輸入までして手に入れるって聞いたことがないです。好きなもののジャンルも幅広いし、興味を持ったことにアクセスする行動力もありますよね。

望月:確かにそうですね。親に言わないで、勝手にお店に行っちゃったり、オーディションとかも受けていました。

――何のオーディションですか?

望月:歌のオーディションです。最初に受けたのは高校生かな? 親に言わず、しれっと自分の履歴書を事務所に送ったりして、思い立ったら行動する方だと思います。友達に「歌手になれるよ」と言われて「じゃあ、応募する」みたいな。いわゆる“フッ軽”なんですかね(笑)。

――いや、その身軽さはすごいですね。今日お会いするまで、望月さんっておしとやかなイメージがあったんですよ。「わたくしは〜でございます」みたいな(笑)。ただ、中身は意外とアグレッシブというか。

望月:よく「ギャップがすごいね」って言われます。お家に帰ったら、お布団がお友達です。お布団にくるまって「もう誰も探さないでください!」と言うような感じです。

――突然ですけど、自分のことを漢字1文字で表すとしたら何ですか?

望月:……「寝」ですかね。

――その心は何ですか?

望月:実は、あまり言ってないんですけど、毎日めちゃくちゃ夢を見るんですよ。寝てる間にインスピレーションが湧くことも多いんです。10月にさいたまスーパーアリーナの『超パーティー2022』に出るんですけど、今からめっちゃ緊張していて、寝てる間にもその夢を見るんです。自分が『超パーティー』のステージに立って、お客さんも会場に入っていて、ステージの右へ行ったり左へ行ったり「どう見せると良いんだろう」とか夢の中でシミュレーションしてる。たまに夢の中で急にお客さんがいなくなって、ばって起きたりするんですけど。そうやって夢の中で想像力が膨らんだり、アイデアが生まれたりするので、寝ることが自分を表しているなと。

――「これは夢だ」って気づく時もあります?

望月:たまにありますけど、ほとんどは分からないです。夢の中でケータリングもパクパク食べてるし。

――夢の中でちょこまか動いてますね(笑)。

望月:ふふふ。寝ることが全ての原動力になってるかなと思います。すみません、「踊る」とか「飛躍」とかじゃなくて(笑)。

――いえいえ、面白いです。夢を頻繁に見るなら、夢占いをしたくならないですか?

望月:めっちゃしますよ。でも大体悪い夢なんですよ。まあ見るのは、そうだな……トイレに入ったら水が湧き上がってきて「うわー!」ってなる夢とか。コーンスープを持ち歩いてて、それをひっくり返したり、あと橋から落ちて川で溺れる夢とか、そういうのばっかりなんですね。

――水ばっかり!

望月:そうなんです! 何回も溺れてる。

――それで、どんな占いの結果が出るんですか。

望月:「あなたはこの先に災難が待ち受けているので、今から心の準備をしましょう」とか「被害妄想があります」とか「家族がすごい目に遭います」とか、そういうのばっかりで「あれ? おかしいな」みたいな。やめてほしいですよね、本当に! いい夢を見たいのに(笑)。

――(笑)。もっと、そういう面白い一面が見つかってほしいですよ。

望月:「MONSTER」の歌詞にもあるんですけど、歌っている時の自分は、演じているというか「イエーイ! みんなぁ〜!」って感じなんですけど、本当の自分が考えているのは将来は樹木葬でいいやとか、そういうことで。

――キラキラしている表の自分と、ひっそりしたい裏の自分がいると。

望月:「ずっと家の中で寝ていたいな」とか、雨が降ってる日だったら窓辺で雨音を聞きながら村上春樹の本を読みたいなとか「誰も探さないください」とか、そういう感じなんですよ(笑)。でも母親から「頑張ってね」「歌ってる姿が好きだよ」と言われたり、友達から「テレビ観たよ」と言われたら「あ、頑張らなきゃな」と思ってスイッチが切り替わって「っしゃあー!」みたいになるんです。とにかくオンとオフの差がすごすぎる。でも、もともとは陰なんですよ(笑)。

――望月さんの場合、陰の穴を掘っていったら、陽が出てきそうな感じがしますけどね(笑)。

望月:アハハハ、そんなことないですよ(笑)。

――歌手の望月琉叶としては、これからの展望をどう考えていますか。

望月:主軸は演歌歌手なので、演歌をできる限り広めていって、1人でも多くの方に「いいな」と言ってもらいたいのはあります。ただ、せっかく今回の企画もあるので、演歌もボカロもどちらも海外へ持っていって、世界の人にどちらも好きになってもらって、最終的には日本の文化を背負って広めていきたいなって思います。

――自分を媒介にして、日本の文化や音楽を発信していきたい。

望月:はい。民族ハッピー組では8カ国36公演をやっているので、ソロでもグローバルな活動ができたらいいなって思います。

■リリース情報
「MONSTER」
発売:2022年10月15日(金)
https://lnk.to/MONSTER1015

MV
https://youtu.be/NawpumlOMnk

【5ケ月連続配信企画】望月琉叶X5人のボカロP 特設サイト
https://columbia.jp/mochizukiluca/vocalo-p/

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