aiko『Love Like Rock Limited vol.2』Zepp Hanedaレポ その場限りのステージを最大限に楽しむ極上エンターテインメント

aiko『Love Like Rock Limited vol.2』レポ

 aikoのファンクラブ「Baby Peenats」&モバイルサイト「team aiko」会員限定ライブ『Love Like Rock Limited vol.2』の最終公演が10月12日、Zepp Hanedaにて開催された。開演前からすでに手拍子が起き、会場はaikoの登場を今か今かと待ち侘びる空気で充満していた。

 開演すると、まずは「ゆあそん」からスタート。割れんばかりの拍手が起きる。aikoの魅力の一つであるしっとりとした雰囲気のサウンドによる、湿っ気たっぷりの歌唱を披露した。照明もその世界観に合わせて青や紫を基調としたもので進めていく。そこから「させないで」「ねがう夜」「くちびる」と続け、序盤はわりと落ち着いた、じっくりと空気を温めていくような流れを見せていった。最初から全速力というわけでなく、終盤へ向けての助走のような構成に、磨き上げられた熟年の技を見た気がする。

aiko(写真=岡田貴之)

 歌い終えるとaikoは「やばい、最終日や」と一言。そしてツアーロゴのタトゥーを入れたお馴染みのファンをフロアに見つけると、すぐさまMCの話題に取り込むという機転を利かせた。こうしたファンとの交流も彼女のライブの欠かせないポイントだ。

 小気味よくMCを挟んだ後、5曲目は「その目に映して」を披露。aikoはここでギアを一つ上げた。何年経ってもaikoの声量は衰えることがない。もちろん音程もブレない。むしろそのスキルは年々向上しているようにさえ思う。今回の公演もメインステージのほか、花道で繋がった小さなセンターステージがあり、ファンと近い位置で歌うことができる。aikoはビートに合わせてそのステージを縦横無尽に駆け回り、時に踊りながら、時に飛び跳ねながら、あるいは時に寝そべりながら、会場の空気をaiko一色に染め上げた。

 続いて「赤いランプ」「beat」「エナジー」とパワフル、かつポップな流れを見せる。日本の音楽シーンにとってaikoが歌い続けているということは、本当に貴重だ。デビュー以来トップランナーとして走り続けている彼女が、いまだに元気な姿を見せ続けることに、ファンはもちろんのこと、多くの若手ミュージシャンも勇気をもらっているのではないか。このロックでポップな激しいサウンドの上で、彼女が自由気ままに溌剌とふるまっている光景を見ていると、自然と元気をもらえる。

 ところでコロナ以降、ライブ会場は人数制限が行われているが、徐々に規制が緩和され、この日のZepp Hanedaは最大収容人数の80%を入れられるようになったという。aikoはMCでそれについて触れ、ファンの不安に寄り添う姿勢を見せる。

 MCは目まぐるしく移り変わり、最終的には次に歌う「夏恋のライフ」がCMソングに起用されているカルビーポテトチップスの話題へ。原料のじゃがいもが一袋あたり何個使われているかなど、豆知識を披露しつつ流れるように楽曲へと雪崩れ込む。歌と会話を織り交ぜて周りの人々を楽しませるこうした総合的なマイクパフォーマンスの力なら、彼女の右に出る者はいないだろう。終始笑いの絶えない時間が流れている。

aiko(写真=岡田貴之)

 そしてこの日一番印象的だったのが、次に披露した「雨踏むオーバーオール」と「アスパラ」の2曲だ。自らの声を自在に操り、歌詞にない歌詞をスキャット風に、まさに自由に歌い上げていた。aikoの歌唱力はまだまだ進化の途中だ。

 ここからはメドレー形式で歌った。「格好いいな」「リップ」「うん。」「マント」「戻れない明日」「夏が帰る」「遊園地」「Last」「犬になる」「カブトムシ」と名曲がずらり。aikoの作曲力は今さら言うまでもないが、改めてこうして流れで聴いてみると彼女のソングライティング能力に舌を巻く。久しぶりのメドレーだと言うが、これだけの名曲を持っているなら毎回メドレーでなるべく多くの楽曲を披露してほしいくらいだ。

 本編終盤は「クラスメイト」「花火」「列車」で圧巻のラストを飾った。見事な演奏陣との連携により、会場のボルテージは最高潮となり、拍手喝采となった。

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