松任谷由実、ベストアルバム『ユーミン万歳!』が2週連続チャート首位 50周年の機会に試みた大胆なアップデート
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-10-24/
2022年10月24日付オリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのは、発売2週目となる松任谷由実『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』で、今週の推定売上枚数は67,698枚だった。初週の売上枚数は約19万枚だったので、その勢いを残して売上を伸ばし、すでに累計25万枚に達していることになる。さすがの貫禄というべきか。ほか、トップ10圏内の初登場作品としては、2位岩田剛典『The Chocolate Box』(37,645枚)、3位Stray Kids『Maxident:Mini Album』(30,484枚)、5位04 Limited Sazabys『Harvest』(16,321枚)、6位天月‐あまつき‐『星霜ロマンスポット』(15,014枚)、7位「うたの☆プリンスさまっ♪HE★VENSドラマCD『HE★VENS LOVE AFFAIR』」(11,150枚)、9位Red Hot Chili Peppers『Return of the Dream Canteen』(8,812枚)、10位宮本佳林『ヒトリトイロ』(7,983枚)となった。
今回ピックアップするのは首位の『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』(以下、『ユーミン万歳!』)。松任谷由実はベスト盤をすでに多数リリースしていて、公式サイトによればその数10枚(バージョン違いや限定発売もふくむ)。『ユーミン万歳!』の収録曲数は51曲とこれまでで最大で、うち1曲は本作のための新曲だ。
選曲は、今年の春に民放ラジオ99局で開催された「ユーミンリクエストWEEK」に寄せられたリスナーのリクエスト、及びそこに添えられたエピソードにもとづいて厳選されたという。本人の思い入れやアーティスティックなこだわりというよりは、多くのファンとともにある「ユーミン」像を浮かび上がらせるような企画になっているということか。実際、付属するブックレットにはリスナーから寄せられた選りすぐりのエピソードが詰め込まれていて、まるで「読むラジオ」のような趣がある。
GOH HOTODAによるリミックスとリマスタリングで、いっそうメリハリがきいたサウンドも良い。リミックスが行われたのは50曲中30曲ほど、さらに10曲は音源の差し替えやエディットまで行われたといい、実際楽曲によってはまったく印象が変わっているものもある。やや埋もれがちだったドラム(特にキック)の輪郭がはっきりしていたり、ベースもメロディラインを浮かび上がらせつつ低域が自然に強調されていたり、グルーヴィな曲がいっそうグルーヴィになっているのがうれしい。ほか、Apple Musicでは空間オーディオ技術のドルビーアトモス対応ミックスが配信されており、50周年の機会にこれでもかと技術的なアップデートが行われている(その具体的なプロセスや狙いについては、松任谷正隆とGOH HOTODAが登壇した試聴会で詳しく語られている)。