稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾『ワルイコあつまれ』が教えてくれる、世の中をもっと楽しんでいくための柔軟さ
10月29日に『ワルイコあつまれ』(NHK Eテレ)の2時間スペシャルが放送される。『ワルイコあつまれ』は、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾による教育バラエティ。2021年9月に事前告知が一切なく突然特番が始まるという、スタート時から一筋縄ではいかない番組だ。その後、2022年4月よりレギュラー化され、様々なゲストが登場した。なかでも、今回は2時間の拡大版。ゲストも明石家さんま、山本耕史、真矢ミキとスペシャルな顔ぶれとなっている。ゲストの3人が登場するコーナーはそれぞれ「子ども記者会見」(明石家さんま)、「タイムスリップトーク 慎吾ママの部屋」(山本耕史)、「ケミカルドラマ~闇に落ちる」(真矢ミキ)だ。
「子ども記者会見」とは稲垣が進行役となり、香取と小中学生の子どもたちが記者となってゲストに質問をぶつけていくもの。直近の放送では、平野レミがゲストとして登場し、「へんてこな料理が多いけどレシピはちゃんと考えているの?」「家でもずっとそのキャラで疲れないの?」など率直な疑問が次々と飛び出す。“大人のゲストに対して子どもが聞く(教えてもらう)”というシチュエーションではあるが、ときにはどちらが大人なのかわからなくなる場面も。例えば最愛の夫・和田誠に先立たれた平野が今でもずっと会いたくて仕方がないこと。もし生まれ変わったらまた結婚したいと願っていること。そして、今度は自分が先に天国に行くことで「どれだけ悲しかったかを味わってほしい。リベンジするの」と話すと、子どもから「やり返さなくてもいいんじゃない?」とツッコまれ、「大人だね、この子大人だね」と平野が思わず苦笑してしまうシーンがあった。
大人のほうが世の中の理不尽さに翻弄されてしまったり、大切なものが増えていくからこそ気持ちの整理がなかなかつかないこともある。逆に子どものほうが冷静で大人っぽい結論をまっすぐに導き出し、それに大人が教わるなんてこともある。大人同士ではなかなか真正面から突破できない話題について、ワル気なくストレートに意見を交わし合える、それが「子ども記者会見」の面白いところだ。そんなコーナーに、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)をはじめとする数々のバラエティ番組でゲストたちのトークを引き出す側に立ってきた明石家さんまが、逆に話を引き出される側になるというのだから楽しみでならない。子どもたちから思わぬ角度で投げられる直球の質問に、どう返していくのだろうか。
また、山本耕史が登場するのは、香取が慎吾ママとしてトークを繰り広げる「タイムスリップトーク 慎吾ママの部屋」。山本と香取といえば2004年放送の大河ドラマ『新選組!』(NHK総合)で共演して以来、盟友として親睦を深めてきた仲。2021年にはドラマ『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系)でも共演し、香取のYouTubeチャンネルでも対話した動画がアップされている。だが、今回は香取が慎吾ママ、そして山本が土方歳三として対面するというのだから興味深い。
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「タイムスリップトーク」と銘打っているように、ゲストは歴史上の人物になりきってトークをしていく。教科書や偉人伝とはまた違ったアプローチで、実際に生きた人として様々なエピソードを感じることができる。同時に、その“中の人”でもあるゲストと香取の根底にある関係性もにじみ出てくるところも見どころのひとつ。以前、三田佳子がクレオパトラとして出演したときは、香取たっての希望だったということが三田のブログで明かされている。1990年の新春スペシャルドラマ『マドンナは春風にのって』(NHK総合)で親子役として共演していた2人。ブログには当時の2ショット写真もアップされているのも、胸を熱くする。誰もが一度はタイムスリップしたら歴史上の人物に会ってみたいという夢を抱いたことがあると思うが、香取にとってこのコーナーそのものがある意味でタイムスリップして会いたかった人と再会できる場なのかもしれない。