新たな音楽文化が生まれる可能性も 作詞家 zoppが音楽監修、メタバース×首里城復興プロジェクト「DIJI SHURI XR」の狙い

「DIJI SHURI XR」の狙い

急遽決まった作詞家zoppによる音楽監修

山元:zoppさんにお声がけしたのは、実はクラウドファンディングのサイトを公開する前日で(笑)。本当に急なお願いにも関わらず、快諾いただけたのは嬉しかったです。

zopp:高校時代、アメリカの郊外の方に留学していたこともあり、ローカルは自分の中で遠くない存在でした。ずっと音楽をやっていて面白いなと感じるのは、実際に物を届けなくてもいろんな地方の人が楽曲について知っていたり、その曲が好きで歌ってくれていたりすることです。形がないものだからこそ自然と広がっていくのが、音楽の一番の魅力だと思っています。

 また、これからの日本は、観光が強い国になっていくと思っていて、観光地を巡る体験のなかで歩いたり移動したりするときに音楽は欠かせないものだと考えています。そこにITというテクノロジーが融合することで、シュリンクしていた音楽産業を再び発展させる可能性があるのではないでしょうか。

 これは私ごとですが、実は沖縄の伊江島でリゾート事業をやっている友人がいて。「復興を手伝ってほしい」という相談を受けていたんですが、コロナ禍でなかなか立ち行かなくなってしまって。そんななかで首里城復興の話をいただいたので、沖縄振興の延長線上として捉えることができ、「自分ができることならやらせてください」と二つ返事でほるんさんに伝えたんです。

──zoppさんはメタバースを用いて首里城を復興させることについて、何か難しさなどは感じていましたか。

zopp:それはなかったですね。というのも、僕が担当しているラジオ番組で、clusterやVRChatを使った企画をすでにやっていたからです。当初、VRは映画で見ていたような世界が実現できるテクノロジーとして興味はありましたが、仕事に忙殺されていて、個人としてはあえてそこに注力していなかったんです。

 でも、VRで活躍するアーティストの方から連絡をもらい、何か一緒にやろうと言われたのを機に、バーチャルのコンテンツを企画するようになりました。現在は、VRChat内にオフィスを開設したり、番組を通じてVRミュージックフェスを定期的に開催したりしています。イベントには前回1200人くらいのユーザーが視聴してくれたんですよ。

 僕が思うに、メタバースはユーザーが外に出ていくきっかけになるものだと考えています。その楽しさを味わってもらうのに音楽は欠かせないものであり、今回のプロジェクトでは沖縄らしさを意識しつつ、令和感をまとった音楽を作りたいなと思っています。

──今回のプロジェクトのような「音楽×メタバース」や「メタバース×地方創生」が世間的にも注目されています。お三方が思っている所感や今後の可能性についてお聞きしたいです。

山元:音楽はジャンルによって、年齢層が分断されていると感じていて。イタリアでオーケストラの指揮を振っていたときにも「この先20〜30年後にも、今いる観客は本当に来てくれるのか?」と疑問を抱いていました。

 それに比べ、メタバースは場所や年齢を選ばず、さらには臨場感もすごい。また、リアルのコンサートとも違う楽しみ方が可能で、例えばフィジカルの会場ではピアニストの手さばきは間近で観ることができませんが、メタバース上ではそれが可能になる。

 演者の一挙手一投足やプロとしての振る舞いを、バーチャルならではの没入感を生かすことで、リアルでは味わえない感動体験を創出できます。音楽×メタバースは親和性が高いので、今後もっと発展していくのではと考えています。

zopp:クラシックや歌舞伎は、特に若者には敷居が高く、長時間じっとしていなければいけないなど、堅苦しく感じてしまいがちです。でもメタバースが普及すれば、目の前で演者を観ることができるので、それらの魅力を知ってもらう機会になるのではないでしょうか。

 また、推しのアーティストが海外ツアーを開催するときも、メタバースなら場所も時間も選ばずに参加できますし、リアルライブのチケットがソールドアウトしてしまっても、バーチャルで参加できる。なのでメタバースは、音楽の楽しみ方の幅を広げる役割を果たしてくれるものだと感じています。

春山:TikTokやInstagramなどのSNSでは歌うことが当たり前になってきていますが、それがREALITYでは顔出しせずにアバターの姿で歌えるSNSとなっており、さらに我々はVTuber事務所も抱えていて、バーチャルシンガー「HACHI」のようなプロも出てきています。

 そんななか、例えば首里城にマイクスタンドをおけば、そこで歌う人がかなり出てくるかもしれません。それはリアルでは絶対に味わえないことであり、非常に面白い体験になるのではと思っています。

──音楽×メタバースは本当に様々な可能性がありますね! 一方で、地方創生や観光の未来についてはどのようにお考えですか?

山元:首里城復興のプロジェクトで感じたのは、高校生の飲み込みの早さとITリテラシーの高さです。ワークショップを開催した際に、疑問が生じたときはTwitterのDMでフォロワーに聞いたり、インスタライブで意見を集めたりと大人では考えもつかない行動をしていて正直すごく驚きました。

 先ほどzoppさんが、これから日本は観光が強くなっていくとおっしゃっていましたが、海外のインバウンド需要も取り込んでいけるかが肝になると思っています。そういう意味で「メタバース旅行」が実現できれば、既存のものとは違う新たな観光資源が生まれるでしょう。

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