新たな音楽文化が生まれる可能性も 作詞家 zoppが音楽監修、メタバース×首里城復興プロジェクト「DIJI SHURI XR」の狙い

「DIJI SHURI XR」の狙い

メタバースならではの新しいルールや音楽文化を創る重要性

──zoppさんにお聞きしたいのですが、本プロジェクトで音楽がどう使われ、どんなコンセプトを持って制作を手がける予定なのでしょうか?

zopp:今まで築き上げてきた日本の音楽文化を守っていくためにも、今回のプロジェクトで制作する音楽は著作権フリーにできたらいいなと思っています。音楽を語る上で大切なことの一つは著作権ですが、権利関係の線引きが非常に曖昧なものになっています。昔はCDのセールスに応じた印税が入ってくるのがセオリーでしたが、NFTが台頭してきた今の時代では、たった一人のために音楽を作り、それこそ数百万円を稼ぐことも可能なわけです。

 そんな時代において、いわばNFTを所有する数人のために既存の著作権を当てはめても意味がないのではと感じています。かつてのように、ファンからいかに課金してもらうかを考えるのではなく、本当にアーティストの音楽が好きな人同士が集まるコミュニティのなかで、経済圏を生み出すことができればいいわけなんです。

 例えば大ブレイク中のAdoもコミュニティをすごく大事にしていますし、今後より一層コミュニティの重要性が問われてくる。その流れがあるからこそ、メタバースやWeb3の技術をうまく活用し、一部の既得権益者が潤うモデルではない、新しい音楽文化や業界を作っていくことが非常に重要だと思っています。そのためにも、既存の著作権にとらわれないメタバースならではのルールができれば、もっと音楽業界の活性化に寄与するのではないでしょうか。

春山:まさにzoppさんが言うように、REALITYではファンコミュニティをすごく意識しています。先ほど挙げたHACHIもファンへのメッセージや接し方を大事にしていて、ファンの熱量を高め、ファンと共に成長していく姿勢を根幹に据えています。

 REALITYのようなメタバースプラットフォームは、今後どんどん増えていくと思いますが、単に“箱”だけ作ってもそこに入ってくるユーザーがいなければ成り立ちません。大切になるのは、趣味や嗜好性で繋がり合う良質なコミュニティがあるかどうかだと考えています。我々は4年間REALITYの事業を運営していますが、コミュニティの大切さをあらためて実感しているような状況です。

zopp:今世界的に人気のあるBTSのキーワードは「ファンダム」。どれだけファンを楽しませられるか、ファンを熱狂させられるコンテンツを提供できるかだと思います。

 日本には自己表現が苦手だと言われる人が多い一方、身バレしたくない、容姿をけなされたくないけど自己表現がしたいと思う人もいて。アバターやVTuberが流行ったのは、そういった方達の受け皿になれたからかなと思います。

 実は自分だけの殻にこもっているだけで、喋ることや歌うことにものすごく長けている人もいるはずなんです。これからメタバースが広まっていくことで、見た目を気にせずに一芸を披露できる場が増え、もっといろんな表現者が生まれてくるのではと期待していますね。

春山:zoppさんの話を聞いていて、REALITYのビジョンである「なりたい自分で、生きていく。」がまさに言い得て妙だと感じました。自分を投影できる存在として3Dアバターをメタバース上で動かし、バーチャルの中でアイデンティティを持つことができるのは、SNSにお気に入りの2Dやアイコンを設置していた今までの世界から、また一歩前進したように思っています。

──最後にDIJI SHURIにおける今後の展開について教えてください。

山元:まずはクラウドファンディングで資金を集め、首里城をメタバース空間で完成させること。そして、ステップ2ではスポンサー企業を募り、さらにDIJI SHURI XRでできる体験コンテンツを拡充したいと考えています。

 REALITYは1000万人のインプレッションが期待できるアプリで、一定の広告宣伝効果を訴求していけば、ある程度の協賛企業が集まるのではと予想しています。その一方で、地域住民の方ももっと巻き込めるようにしていきたい。

 2022年は沖縄本土復帰から50年、首里城復興元年ということで、地域を盛り上げていくには絶好のタイミングだと思うので、地域住民にプロジェクトの魅力が伝わるように尽力していきます。

 そして、最終的なステップ3では首里を街歩きする際に、現地でXR体験ができるアプリをリリースしたいですね。メタバースでの体験を通して、実際に現地へ足を運び、首里観光を楽しんでもらう。このような流れが作れるように、これからも着実にプロジェクトを推進していこうと考えています。

zopp:音楽としては沖縄らしい島唄的なものをベースにしつつデジタルな要素をもった楽曲を作ろうと思いますが、「ひとつのものである必要はない」と考えています。ひとつ曲を作って、REALITY内のクリエイターが自由にアレンジできるよう、無料でパラデータを配布する企画なんかも面白いんじゃないかと。コンテスト形式にして、複数の音楽を作るのもいいかもしれませんね。

 先ほどもお伝えしたように著作権はフリーで、ネットカルチャーらしい自由な企画にしていく予定です。ビジネスは後からついてくるくらいの中長期的な視点を持ちながら、首里城復興の音楽監修に携わっていきますので、ぜひ楽しみにしていてください!

※1:https://realsound.jp/2022/07/post-1088771.html

DIJI SHURI XRプロジェクト詳細:https://fanbeats.jp/projects/277
プロジェクトHP:https://www.support-shurijo.org/

「REALITY」メタバース構築の提供に関する詳細はこちら:https://corp.gree.net/jp/ja/news/press/2022/1018-01.html
クラウドファンディングに関する情報はこちら:https://www.oto-nari.jp/post/news-press-2022-1018

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