KREVA、観客へ笑顔と感動届けた盛大なパーティ 三浦大知、久保田利伸、藤井隆らゲスト迎えた『908 FESTIVAL 2022』
毎年9月8日、クレバ(908)の日を何かしらの形で祝っているKREVAだが、今年はインスタライブに挑戦。物販の紹介や三浦大知をゲストに招いて過去のライブの思い出話を語り合ったりとファンには充実の内容で、KREVAの言葉の節々からは9月23日の『908 FESTIVAL 2022』、翌日のKICK THE CAN CREWの武道館ワンマンライブ(『KICK THE CAN CREW LIVE 2022「THE CAN」』東京公演)という2デイズへの並々ならぬ想いが滲んでいた。
まずはKREVAが2012年にスタートさせた毎年恒例の主催イベントである『908 FESTIVAL』。昨年開催される予定だったがコロナの影響で延期され今年の2月17、18、19日に有観客+オンライン配信という形で行われた『908 FESTIVAL 2021+1』が直近なので、実質今年2度目の開催ということになる。とはいえ、事前に発表されたラインナップは安心感とサプライズを織り交ぜたなんともKREVAらしい顔ぶれに。無論、期待は高まる。
台風15号の接近に伴ってあいにく天候には恵まれてはいなかったが、低気圧のもたらす気だるさなんて吹き飛ばすように、盛大な拍手に迎えられてKREVAが堂々の登場だ。
〈最近どう?/なんだかんだあるけど武道館なら皆勤賞〉
「クラフト feat. ZORN」のリリックを体現できる稀有な存在、それこそがKREVAである。そして「王者の休日 ~2019 Ver.~」へ。〈君のためにだけ生きられるよ〉としっとり歌い上げ、観客一人ひとりの胸に嘘偽りなくその言葉を届けることができる。それもまたKREVAなのだ。
その器の大きさに圧倒されているのもつかの間、「マイメン! 大知!」と三浦大知を呼び込んで共作曲「Fall in Love Again feat. 三浦大知」へ雪崩れ込み、スマートにバトンを繋ぐ。
それを受け取った三浦大知も負けず劣らずな勢いで「Blizzard」からフルスロットルだ。「Touch Me」「About You」「飛行船」と4曲を立て続けに披露。特に「飛行船」の激しくしなやかなダンスとそれでもブレずに響く歌唱はやはり生で観ると圧倒的だ。汗だくになり、息をあげながら「出てきたら上がってしまって、100%どころか162%」とMCで話すように、彼が全力でパフォーマンスしている姿からは言葉以上にKREVAとの信頼関係をうかがい知ることができた。
NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』主題歌でもおなじみの「燦燦」が会場を包み込み、『908 FES』出演時には恒例の三浦大知によるKREVAの楽曲のカバーへ。今回は「イッサイガッサイ」。夏が過ぎるのが惜しくなる一曲だ。終盤にはKREVA本人も再登場。正直ここで終わっても大満足で帰路につけそうだ。
だが、ここからさらに『908 FES』は盛り上がっていく。KREVAはしっとりと「くればいいのに」を歌い始め、サビに差し掛かると、椿鬼奴、後藤輝基(フットボールアワー)、藤井隆の3人が呼び込まれ歌を繋いでいく。これがまあ、長い! けどめちゃくちゃ楽しい。KREVAが言うには〈あなたがくればいいのに〉からエンディングまでの最長記録だそう。そしてここでKREVAによる<SLENDERIE RECORD(スレンダリー・レコード)>に所属するこの3名へのインタビューがスタート。笑いも交えつつ、真面目にこれまでの経緯などを聞いていくコーナーとなっていたのは意外だったが、続く3名それぞれのパフォーマンスを見て納得がいった。つまりKREVAはここに集まった観客と新たな音楽を出会わせたかったのだ。この3名は決してサプライズ枠でもお笑い枠でもなく、これまでの『908 FES』と同様の精神で招かれたミュージシャンたちである。というか、そもそも観ている人を楽しませるというお笑いと音楽のライブにおける共通点を感じながら、藤井隆の誰もが知るヒットソング「ナンダカンダ」まで純粋に楽しんだ。ちなみに藤井隆による最新作『Music Restaurant Royal Host』は、KREVAも触れていたようにジャケットから素晴らしいし、ケンモチヒデフミや砂原良徳、パソコン音楽クラブなど錚々たるミュージシャンも参加した力作となっているので、ぜひこの機会に聴いてみてほしい。
さて、藤井の去った後は、KREVAと彼が兄貴と呼び慕う久保田利伸がオンステージ。「M☆A☆G☆I☆C」(久保田利伸 meets KREVA)だ。久保田による衰え知らずの歌声とKREVAの切れ味の良いラップは何度聴いてもアガる。大ヒット曲「Missing」をMC中に少しだけ歌い、KREVAが次の曲をリクエスト。ここで観客の視線はこれまでサウンドを支えたバンド、白根佳尚(Dr)、大神田智彦(Ba)、柿崎洋一郎(Key)、近田潔人(Gt)、熊井吾郎(MPC/DJ)、SONOMI(Cho/Key)、からなるKREBandへ、とりわけ柿崎へと注がれる。そう、KREVAのリクエストは柿崎と久保田の共作曲「Cymbals」のオリジナルバージョンだ。少しためらっていたようにも見えた久保田だが、歌い出してしまえばすぐさま心を掴む歌へと集中する。頼れる兄貴だ。