G-FREAK FACTORY 茂木洋晃、世の中に問う“選択とリスペクトの大切さ” 25周年に生まれた新しいモチベーションとは?

G-FREAK 茂木洋晃、選択とリスペクトの大切さ

 G-FREAK FACTORYから約2年ぶりの新作となるシングル『Dandy Lion』が届いた。茂木洋晃(Vo)が昨年末にソロデビュー曲「MASKER」を発表したこともあり、今作はG-FREAKとしては意外にも、“コロナ禍以降”を落とし込んだ初の音源となる(アルバム『VINTAGE』は2020年7月のリリースだが、制作はコロナ前)。注目の表題曲「Dandy Lion」は、キーボードとギターの温かなイントロからゆったり展開していくレゲエロックナンバー。懸命に生きてきた過去、少しでも前に進もうとする現在の想いを引き連れて、未来へと種を撒こうとする希望の歌だ。その反面、カップリング「STAY ON YOU」では今の社会に対する強烈な違和感と葛藤を吐き出しており、それらが1つになっているコントラストこそ、まさにG-FREAKの真骨頂。そして、そこから浮かび上がってくるのは懐疑や否定ではなく、自分の行動に責任を持ち、他者をリスペクトすることの大切さだ。

 結成25周年。群馬に腰を据えて“今”と徹底的に対峙し、ロックバンドとしての戦い方を磨き続けてきたG-FREAK FACTORY。『Dandy Lion』は、そんな彼らがパンクやレゲエと共振しながら反骨と団結を鳴らしてきたことの意味が、再び前面に押し出されたシングルだと思う。そんな同作について、茂木に話を聞いた。(編集部)

「俺らとライブを楽しみにしている人で作る新しいフェーズ」

ーーG-FREAK FACTORYとしての新曲はアルバム『VINTAGE』から2年ぶりです。茂木さんのソロ曲「MASKER」も経た今、G-FREAKでシングルを出そうと思ったのはどうしてだったんでしょうか。

茂木洋晃(以下、茂木):『VINTAGE』のツアーも延期に次ぐ延期でこんな時期まで来てしまったから、まずはツアーをやり切ることに注力したくて時間がかかってしまったんだよね。あとは曲がポンポン生まれてくるバンドではないから(笑)、作るモードに持っていくのにもやっぱり時間がかかった。ましてや俺たちは東京から離れた場所に活動拠点を置いてるから、バンドマンとしての意識って簡単に溶けてしまいがちで、ことあるごとに「まずは現実を見ようぜ」っていうマインドが先に来ちゃう。だけどG-FREAK FACTORYも25周年だし、コロナのせいにして今年何もリリースせず終わってしまうのはメンバー的にも嫌だなと。だから、ここでできなかったらたぶんもうできないんじゃないかと奮い立たせて、無理やりにでも曲に向かい始めたっていうのが本音かな。

ーー様々な要因で曲作りから離れていたバンドのモードを、1回チューニングし直したわけですね。

茂木:まあコロナで時間があった分、普段の過密スケジュールだとなかなかできないことや、1人の作業に没頭できたのは素直によかったけどね。でも、それを経てバンドで生み出す曲は、ビフォアコロナの“なんでもいいからぶん回せ”みたいなものとは違うなと思ってたし、一旦落ち着いて、しっかり考えてから出したいなっていうのも今までにない感覚だった。自分たちだけの問題というよりも、もっと巨大な世の中の問題に寄り添いながら対峙していくという、訳のわからないテーマについて考えていたからさ。しかも、だんだん時間が過ぎるほど妙な焦りと諦めで、自分たちのモチベーションが少しずつ薄れていくのが手に取るようにわかったので、「これはまずいな。できないぞ」っていう雰囲気にもなったんだよね。けど、コロナ禍で作った欠片みたいなデモ曲をパソコンから引っ張り出したところからもう1回スイッチが入って、決定的になったのはやっぱりリリックのイメージが湧いた瞬間かな。

ーーソロでのリリースを経たことで、「次のG-FREAKの曲をもっとこうしていきたい」っていうイメージはあったんですか。

茂木:「MASKER」をソロで出したことによって、G-FREAKではバンドじゃないとできないことをどんどん見つけ出したいなと思った。みんないいプレーヤーなので。逆にソロはもっとヒューマンな曲でいいし、そのあたりのコントラストを見せていこうと。だから今回「Dandy Lion」がシングルの表題になるとき、最初はちょっとためらったんだよね。曲のテンポ感としては、広い括りで「MASKER」と同じくらいの曲だったから。

ーー確かに。でも、さっき「リリックのイメージが湧いた瞬間に決定的になった」とおっしゃったように、G-FREAKで歌いたいことがしっかりハマったからこそ、表題曲として外せなかったのかなと思いました。

茂木:そうだね。コロナ禍でツアーをやってみて、ビフォアコロナのときはもっとエネルギーを現場に落としていくような曲をやりたい気持ちがあったんだけど、今はそうじゃないなと思って。お客さんはすごく冷静に曲を聴いているし、別に無理やりなエネルギーでこちら側に引き寄せる必要はないーーそうやってちょっと吹っ切れて、もっとテンポ遅くてもいいんじゃねえかっていう変化はあった。

 あとは「これは書けないな」とか「こう書いたら今はこういう風に捉えられるだろうな」っていうのは、コロナのせいでどうしてもあったね。そういう今までにないチャンネルがどんどん出てきたのは事実。最終的には、俺らだけじゃなくてライブを楽しみにしているお客さんもみんな居場所を取り上げられていたわけだから、そういう人たちと作っていく新しいフェーズの一歩目にしたいなと思って、できた曲かな。

G-FREAK FACTORY Dandy Lion (OFFICIAL VIDEO)

ーー〈バラバラになるまで繰り返すのはなぜ〉とか、一見変わらない世の中へのフラストレーションを歌っている曲なのかと思ったんですけど、聴き進めていくと、過去をちゃんと連れていきながら、未来に希望を種蒔きするような曲だなと思いました。

茂木:たんぽぽの綿毛ってぎりぎりの状態で手を繋いでいて、仮に1人でも握力のないやつがいたら、一気に全体のバランスが崩れて飛んでいってしまうでしょ。だけど風に飛ばされたら、どこか知らない新しい土地で種が育って、宿命のように黄色い花を咲かせるよね。一方で、百獣の王みたいな強いイメージがあるライオンだって実は弱くて、たんぽぽの綿毛みたいに手を繋いで生きてるわけだよ。それが1ワードになっているのがダンデライオンだなと思って、造語のようにして「Dandy Lion」っていい響きだなと思ったところから、一気に筆が進んでいった。

ーー今年の夏フェスの開催状況を見ていても感じますけど、我慢の年だった2021年を経て、2022年は少しでも前に進もうという機運がライブシーンにおいても強いですよね。たんぽぽがじっと咲いているだけじゃなくて、種を飛ばすことまで歌にしたのはそういう現実とのリンクも感じました。

茂木:そう言ってくれてありがとう。なるべく明るい曲を作ろうっていう意識はあったし、本当にそういう意図で書いてたから伝わったらいいなと思う。

「全てに対して疑いから入る世の中には、寂しいなって思う」

ーー綿毛が繋がっているところから種が飛んでいく様子って、家族の元で育って、成長して遠い地で一人暮らしをするようになる人間の自然な営みそのものな気もして。そういう意識はありましたか?

茂木:俺は今、そういう営みの単位にすごく興味があるんだよね。家族やコミュニティごとに何が幸せなのかは違っていて、その中の一人ひとりにとっても幸せの価値観は微妙に違う。例えばこの前、(『第104回全国高校野球選手権大会』で)仙台育英が優勝して、初めて優勝旗が東北にわたることになったけど、東北全体の喜び、宮城県の喜び、仙台育英の喜び、仙台育英野球部の喜びって、一つひとつ全部違うものだと思うんだよね。俺はずっと不特定多数の人々の幸せについて考えてきたんだけど、コロナでコミュニティというものが色濃くなってきたときに、「小さな単位での幸せってこうだよな」「自分の幸せってこうだよな」とか、だんだん1つの答えが出るようになってきた感覚があって。

ーーなるほど。

茂木:12球団あるプロ野球チームも、数年に1回日本代表のユニフォームをみんなで着て、一緒に肩を組んで応援し合う瞬間は、チーム同士のいがみ合いもなくなるわけだよね。俺は巨人(読売ジャイアンツ)が好きじゃないけど、味方になると坂本(勇人)がとたんに頼もしいショートに思えるわけで。大袈裟でもなく、そういうことを繰り返していったら世界平和になるんじゃないかなと思った。しかも、野球の場合は相手国を倒すために日本代表という単位で団結しようっていうことだけど、標的なしでそれができたらもっと最高だなとも考えたんだよね。

ーーそれで根源的な幸せ、生活という基準になったと。

茂木:そう。経済的に豊かじゃなくてもリッチになれるし、逆にたくさんお金を持っていてもプアな人もいっぱいいる。じゃあ一体それって何だろうと思ったら、自分にとっての幸せの単位さえ間違えなければ、人間はきっとリッチになれるんだなとコロナ禍で思ったんだよね。それはビフォアコロナから持っていなきゃいけないマインドだったと思うんだけど、俺たちはいつの間にか空っぽになって、流されてきたと思うから。

ーー幸せの尺度については自分も考えさせられました。いわゆる男女平等も、女性に男性と同じ物差しを当てて平等を謳っても、無意味なものになってしまいますからね。

茂木:そうだね。男性が女性を、女性が男性をリスペクトしていないと、それは男尊女卑や女尊男卑になってしまう。そうじゃなくて、男性は女性がいなかったら絶対に生きていけないし、女性の方が賢いなって思うこともある。だけど肉体的なエネルギーやパワーはどうしても男性の方が勝ってるわけで、その違いをリスペクトし合おうよっていう話だよね。もっと言えば老若男女みんな平等だけど、この角度から見たら男性の方がよく見えるし、また別の角度から見たら女性の方がよく見えたりもする。1個の角度から見たことだけじゃなくて、いろんな視点からフォーカスして認め合おうって思う。

ーーまさにそうですね。

茂木:コロナワクチンだって、打って副作用が出た人も、打たずに重症化した人も、自分の意志で決めたのなら全部リスペクトだと思うよ。誰もケツ拭いてくれないわけだから、自分の責任で決めたのなら誰もそれに文句は言えない。だからこそ、選択できるだけの知識と能力を持って、ちゃんと自分の行動を信じないといけないわけだけど……とにかく今は全てに対して疑いから入る世の中だからさ、そこはどうしても寂しいなって思う。

 いろんなデバイスや情報源が発達して、ただ目の前の情報を信じるだけだともう生きられないんだよってことがわかっちゃったから、みんな苦しくなって疑うんだよね。でも、もう疑うのもやめにして、ちゃんと責任を持って自分の意志で選んで、お互いをリスペクトし合えるようになりたい。そうじゃないと次へ進めないと思うから。今回はG-FREAKが持っているチャンネルの1つとして、そういうことへの反骨を書いておけたらいいなっていう想いもあったかな。

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