Hakubiの新たな挑戦 初の恋愛ソング「あいたがい」で大切にした“歌”を届けるということ

Hakubi「あいたがい」インタビュー

 片桐(Vo/Gt)、ヤスカワアル(Ba)、マツイユウキ(Dr)の3名からなる京都発のロックバンド・Hakubiが配信シングル「あいたがい」をリリースした。

 今作はプロデューサーにandrop・内澤崇仁を迎えた初の恋愛ソングで、Hakubiとしては新たな挑戦とも言える一曲。今までは激しいロックサウンドにこだわっていたが、一転して今作では歌を届けることに注力したという。そんな新しい一歩を踏み出したHakubiに、新曲についてはもちろんのこと、バンドのこれまでとこれから、そしてライブハウスの魅力についてたっぷりと語ってもらった。

 なお当日ドラムのマツイがあいにく欠席となってしまったため、取材は片桐とヤスカワの2人に行っている。(荻原梓)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

コロナ禍に直面した難しさも乗り越えて

ーーリアルサウンドでは初取材ということで、改めてバンド結成の経緯を教えてください。

片桐:元々私は高校生の頃に弾き語りでライブハウスに出させていただいたり、ツイキャスで深夜0時〜5時くらいまで配信をやっていたりして。その時にはすでに片桐という名前を使っていました。それから2016年に大学進学で京都へ行って、大学の軽音サークルで出会ったのがドラムのマツイです。その時はyonigeとかHump Backとか女性ボーカルバンドのコピーをしていたんですけど、ある時オリジナル曲をやろうという話になって。それで当時ベース担当の女の子が抜けることになったので、新しいベーシストを探していました。その時にマツイが偶然Twitterのタイムラインで見つけたのが(ヤスカワ)アルくん。彼が「久しぶりにバンドやりたいわ」ってツイートしているのを見て、深夜3時くらいにDMを送ったのが最初になります。

ヤスカワ:マツイとは喋ったこともなかったんですけど、片桐の活動を見て、なんかいい感じやなと思って。

片桐:いい感じ(笑)。

ヤスカワ:バンドは高校の時からオリジナル曲でやっていたんですけど、高校在学中に辞めちゃっていて。進学したところで「もう一回音楽やりたいな」って気持ちが強くなりましたね。

ーーその頃からこうしてメジャーレーベルに所属して活動するようなビジョンは持っていたんですか?

片桐:まったくなかったですね。オリジナルバンドを組むこと自体も「自分の曲なんて聴いてもらっていいのかな」という気持ちがあって、楽しみよりも人前に出ていいのかという不安の方が強かったです。当時は顔出しすることすら怖かったので、顔を出したのもメジャーデビューのタイミングでした。だから今こうしてメジャーレーベルでやらせてもらっているのは不思議な感覚です。

片桐

ーー結成後の活動は順調でしたか?

ヤスカワ:デビューまでは順調でしたね。特に困ることもなかったし、壁にぶち当たることもなく。ただ2020年中のデビューを目標としていたので、それがコロナで全部ずれてしまって。自分はこのバンドを始めた時が就職のタイミングでもあったので、最初からバンドを仕事にするという意識は持っていました。だから音楽でご飯を食べていくことを意識して行動してはいたんですけど、デビュー後はコロナ禍で難しい局面が多かったです。

片桐:年間100本くらいライブをしていたので、そのルーティーンがなくなって、自分が自分で居られる場所がなくなっちゃったのが結構キツくて。ライブはいろいろなことを吸収できる場でもあったし、ライブハウスで誰かから意見をもらったり、何かを考えることが多かったので。そういう人との出会いがなくなっちゃったのが辛かったですね。

ーーそんななかでもHakubiが大切にしてきたことはありますか?

片桐:人の痛みに寄り添えるような、強さと優しさを備えた音楽を作りたいなといつも思っています。あとは、絶対に嘘はつかないということ。自分に起こっていないことは想像できないので、自分の思っていることや心からの言葉を、そのまま歌詞に書くようにしています。

曲作り、活動…3人のバンド内の役割分担は?

ーー曲作りは歌詞が先ですか?

片桐:曲の書き方って色々あると思うんですけど、私はメロディに対して歌詞を書いていくのは苦手で、言葉が出てきた時にはすでにメロディに乗っかっている状態で出てきます。

ーー同時なんですね。

片桐:はい。好きなコード進行を弾きながら、日記みたいに口にしていった言葉が歌詞になっていて。それをメンバーに渡してバンドアレンジしていって、そこからアレンジャーさんにお願いして手を加えていただきます。最近は作ったデモを一旦「片桐のゴミ箱」に捨てていて。

ーーゴミ箱?

片桐:そのゴミ箱からメンバーやスタッフが拾い集めるんです。自分の中では違うと思っているものでも、実は拾ってみると「良い曲だった」と言ってくれることがあるので、とりあえずゴミを捨てるような気持ちでポンポンそこに投げています。

ヤスカワ:片桐が作る弾き語りのデモの段階では、どの曲をリリースするかは決まっていなくて。みんなでどの曲がいいか話し合うために、いまだにスタジオで合わせることが多いですね。

ヤスカワアル

片桐:最近はDTMで曲を仕上げることもできますけど、その場のテンションの方が感覚的に良くて。

ーー片桐さん以外の2人がメロディや歌詞に意見することはありますか?

片桐:メロディに関してはまったくないですね。

ヤスカワ:全体の構成とかアレンジの方向性とかについては言います。歌詞も任せてますね。

ーーそこは信頼していると。

ヤスカワ:そうですね。ちょっと前とかは片桐が歌詞で悩んでいると、レコーディングの時に穴抜け問題みたいなものを出されて「ここの歌詞考えて」って言われてました。でもさすがにそれはできひんなって。

片桐:意見してもらっても結局全部使わなかったしね(笑)。やっぱり自分で出さなきゃいけなかったっていう。

ヤスカワ:今はそういうこともなくなり、全部自分で考えているようです。

ーーそもそもHakubiってリーダーはいるんでしょうか?

片桐:リーダーはいないんです。でも割り振りみたいなものはあって。アルくんは色んなジャンルの音楽を聴くので、アレンジ面やこういう音色を使いたいっていうのは話してくれます。ドラムのマツイくんはライブが好きなので、ライブの構成やセットリストを考えてくれていて。曲作りとかライブの時のMCとか、全体的なHakubiの感覚の部分は私にあると思います。なのでいい具合に役割分担できているかなと。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる