Paradox Live、キャストの個性が火花散らす史上最大規模のステージ 小野賢章×諏訪部順一も初登場した2ndリアルライブレポ

Paradox Live、火花散らす2ndライブ

 近未来日本のHIP HOPカルチャーを舞台に、数多のチームがNo.1を目指してステージバトルに挑むーー。そんな物語を軸に、ボイスドラマと楽曲が収録されたCDシリーズや配信イベントに舞台、ノベライズなど、多種多様なメディアミックスを展開してきたプロジェクト『Paradox Live』(通称“パラライ”)が、史上最大規模となる2ndリアルライブ『Paradox Live Dope Show -2022.5.28 PACIFICO Yokohama National Convention Hall-』を5月28日にパシフィコ横浜で開催した。

 昨年3月にLINE CUBE SHIBUYAで行われた待望の初ライブから1年2カ月ぶりとなる今回は、昼夜2公演で合計9チーム、総勢26名のキャストが勢揃いするということで、チケットは両公演ともにソールドアウト。昨年“パラライ”に加わった新チームも参加して場内を賑わせた昼公演に続いて、2019年のプロジェクト始動時から活動する4チームが火花を散らし、伝説のカリスマチームが降臨した夜公演について本稿ではレポートする。

 登場するなり「お前らブチあがる準備できてんのか!」と、威勢よくトップバッターを飾ったのは、5人組ギャングユニットの悪漢奴等。ストリートな出で立ちからオラついたムードを全開に、最新曲「TURN IT UP!!!!!! -悪漢SOUL FEVER-」で歌う〈火事と喧嘩は漢の華〉というワード通りのイカツいパフォーマンスで、オーディエンスをハンズアップさせる。だが、The Cat's Whiskersの4人がチルな響きで大人な香りを振り向けば、場内の空気は一変。紳士的な佇まいから放たれる竹内良太(西門 直明役)の痺れるような低音に、花江夏樹(棗 リュウ役)のテクニカルなフロウ等には、“気高き孤高の実力派”という謳い文句にも納得せざるをえず、前回は叶わなかった4人の集結に客席も沸き返る。

BAE
BAE

 リリックに日本語、英語、韓国語を駆使する国際色豊かな新世代ユニットBAEは、梶原岳人(朱雀野 アレン役)と96猫(アン・フォークナー役)の二人での出演に。また、男の娘系ラッパーを演じる96猫は紗幕越しでステージに立ち、その動きやフォルムしか目に映らないことが、彼ら持ち前の艶っぽさや幻想感を逆に引き立たせる結果になっていた。そしてダウナー系ユニットのcozmezは、台詞も交えたドラマ仕立てで、双子ならではの絆を演出。ソフトからハードへと趣を変える柔軟なラップスタイルは、さすが前回のステージバトル優勝チームと言えるだろう。また、完全フリースタイルな動きで、昼夜の立ち位置が自然と真逆になるなど、ライブという“生モノ”ならではの醍醐味も感じさせてくれた。

cozmez
cozmez

 キャストには声優や俳優、歌い手など、幅広いフィールドから実力者を起用し、個性の多彩さと歌唱力には抜かりないのが“パラライ”の魅力。結果4チームがそれぞれの色を花開かせたうえに、マイクがリレーされるたび背後のLEDモニターに歌唱者の担当キャラクターが大映しになるという演出は、ライブステージならではだ。キャストの衣装も、もちろん演じるキャラクターに寄せたもの。近未来の物語とリアルタイムのステージがシンクロし、次元を超えて融合を果たすことで生まれる快感は、言葉では説明しがたい。

 MCでは花江がロボットボイスから竹内ボイスへの見事なメタモルフォーゼを披露したり、cozmezの小林裕介(矢戸乃上 珂波汰役)が「昨日は興奮冷めやらずで眠れなかった」と告白したりと、先ほどまでのバチバチぶりが嘘のような和気藹々としたムードに。その流れを引き継いで突入したシャッフルユニットのパートは、メンバーが登場するたびに歓声があがるスペシャルな時間となった。腕利きの3人がジャジーにぶつかり合うNew & Classicに、ポエトリーを受け渡す寺島惇太(闇堂 四季役)と豊永利行(矢戸乃上 那由汰役)が優しい空気を創り出す屋上のトモダチに続いては、同じクラブで働くCLUB CANDYの4人がパーティーチューンをブチ上げ。梶原と小林によるSUZAKU & KANATAも、密かに認め合う二人ならではの灼熱のラップバトルを叩きつけた。各チームの可愛い担当(?)が集ったLollipop*universeでは、豊永が「(自分が演じる)矢戸乃上 那由汰は、こんな振り付けやらねーよ!」とキュートなダンスを拒否する場面もありつつ、ボイスドラマでしか描かれていなかった物語をサプライズでパフォーマンスできたことに、キャストも皆、満足げ。さらに、4チームがそれぞれの個性をより研ぎ澄ませて持ち曲を披露し、まさにライブタイトル通りの“dope show”を繰り広げたところで、夜公演のクライマックスが訪れる。

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