光村龍哉はNICO活動終了後、何をしていた? 庄村聡泰が聞く、北海道移住や新バンド ZION始動について

庄村聡泰×光村龍哉対談

 元[Alexandros]ドラマーで、現在はスタイリストやライターとして活動する庄村聡泰が新たに、YouTubeチャンネル「クダマキシタマキ」をスタート。庄村が時にくだを巻きながら、それと同じくらい相手から舌を巻くようなエピソードも聞いてきたことから命名された。リアルサウンドでは対談の一部をテキストにて公開。また、リアルサウンドYouTubeチャンネルでは後日未公開映像も掲載する。

 第1回のゲストは光村龍哉(ZION/ex.NICO Touches the Walls)。10年以上の交流があり、ラーメンフリークでもある二人がプライベートでも通う店、ラーメン ゼンゼン(武蔵新城)にて収録された。NICOの活動終了後に光村が何をしていたのか、メンバーとの交流、そして禁断の『フジロック』飛び入りエピソードまで、2時間以上に渡った貴重な対談をお届けする。(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

動画はこちらからチェック!

クダマキシタマキ

NICO活動終了から北海道を拠点にするまで

庄村:……というわけで、みっちゃん、何してたん(笑)?

光村:NICO Touches the Walls(以下、NICO)の活動を終えてから、ずっと曲を作ってた。旅もしたし、日本だけじゃなくて、アリゾナとかいろいろなところに行ったよ。結局、ミュージシャンでありたいことは変わらなかったから、次なる準備をしつつ、バンドをやりたいとずっと思っていて。やっぱり自分が音楽を好きになった頃から、それがベーシックだから、バンドメンバーを1から集めて、ひたすら曲を作るしかないじゃん。だから2020年頭くらいからは、ずっと曲を作ってた。

庄村:じゃあ、2年くらい曲を作り溜めていたということ?

光村:そう。せっかくもう一回バンドを組むんだったら、NICO以上のものをやらなきゃいけないと思ったし、思いつく限りの準備をしようというのが最初にあったの。でも、締め切りを設けないとこっちも火がつかないじゃない? それで2020年の初夏にライブやろうと決めたんです。だけど、コロナで緊急事態宣言が出てキャンセルして。

庄村:それは俺が話聞いてたやつだっけ?

光村:そうそう。ただ、人前で歌わないとやっぱりなまるのよ。明らかに、見た目的にもちょっとずつ体が柔らかくなっていくのがわかる。それで全国各地で、そこにいる人と、Zenlyという位置情報共有アプリを使って、見つけて来てくれた人たちだけが見られるというゲリラライブをやって。だから、2020年の初頭は全国各地を楽しく旅していたんですよ。

庄村:しかも、普通の車よな?

光村:そう。自分の車で行った。

庄村:いわゆる、リアルギター侍的なことをやっとったわけですよ。

光村:おのずと体も締まってくるし、やって良かったなと思う。あと、俺ずっと『ポケモン GO』やってるから。渋谷とかでもそうだけど、レアなポケモンが街に出てくると、凄まじく人が集まってくるの。どうにかして自分をレアポケモンにするやり方はないかと調べていたら、Zenlyを見つけて。

庄村:じゃあ、いわばZenlyで告知をしていたというわけ?

光村:そうだね。Zenlyで俺のIDを入れてくれた人は、全員友達になって。あれって、本来は身近な友達と待ち合わせに使うようなアプリだから、そういう使い方をしている人は多分いなかった。最終的に、Zenlyの中で世界で一番友達がいる人になっちゃった(笑)。しかも、アプリを立ち上げているときにしか友達申請を許可できないの。だから、その時の俺のルーティーンとしては、例えばまず、今日は柏に行こうと車で向かう。車で移動している間に友達申請が届くから、申請を許可する作業をするという。

庄村:その間は運転はできないよね?

光村:できない。だから運転は友達に任せていたんだけど。ここだなと場所を決めて、すぐには歌い出さないわけ。しばらく申請承認ボタンを押す。30分から1時間くらい必要なんだよね。それで、やっと申請が止まったかなというタイミングで歌いだして、長い時は2時間とか3時間、ずっと歌ってたかな。

庄村:俺、その運転手に志願したこともあったよね。みっちゃんの歌を聴いて、それから飯食って、飲んで、どこか安い宿に泊まって……みたいな。俺も本当はやりたかった!

光村:本当はもうちょっとやれたらよかったんだけど、「人を集めるのはどうなの? やめなさい」って母ちゃんから言われて(笑)。しょうがないかと思って、四国を回ったタイミングくらいで、一旦やめて。

庄村:あの時の映像、YouTubeに上がってるんだよね。

光村:お客さんには、勝手に撮っていいですよということにして。俺が音楽をやっているということは、そういう人たちに伝えてもらうほうがいいかなと思って、そうしたんだけど。

庄村:また、めちゃくちゃいいんだよね。

光村:恥ずかしくて見てない(笑)。自分のライブ映像とか見られない。自分で撮って自分で発信する人も多いけど、そういうのは恥ずかしくて嫌なのよ。だから、勝手に撮ってというスタンスで。

庄村:で、それを経て、北海道に拠点を移したというか。

光村:いろいろあったのよ。ラッキーが重なったのもあるし、やっぱり楽しいことしかやりたくないから。さっき、2020年初夏にライブをやろうとしていたのがなくなったと言ったけど、なぜ俺らがライブを先にやろうとしていたかというと、作った曲をライブで完成させたかったの。NICOの時もそうだったんだけど、曲を作ってレコーディングして、でもライブをやっていく中で、アレンジとか尺が変わるじゃん。

庄村:ちょっと待って。あなたたちは尺とアレンジを変えすぎでしょ(笑)。[Alexandros]も結構変えていたバンドではありましたけど。

光村:(笑)。だから先にライブでやって、尺が決まったらレコーディングするという順番で活動しようとしていたの。でもライブができなくなったから、泣く泣く先にレコーディングをしよう、と。ただ、その時、空前の焚き火ブームが来てたんだよね。それで、焚き火しながらレコーディングできないかと思って。

庄村:焚き火のパチパチ音も入れるんだ? それは見たい、聴きたいわ。

光村:そうでしょ? よく大学のサークルとかの合宿で、キャンプ地でキャンプしながら練習するみたいなのを聞いたことがあったから、それだ! と。そうしたら一山貸切、1日借りても30,000円というのが出てきたの。しかも、その時GoToトラベルキャンペーンが使えて、めちゃ安じゃん! と思って行ったわけ。真夏に行ったんだけど、日が暮れていって裸電球をつけたら凄まじい数の昆虫たち、しかも都内では見たことのないサイズのものがバンバン来て。これはレコーディングどころじゃないと。焚き火だけして帰ってきた(笑)。だったら、田舎の古民家を自分たちで改装して、スタジオ化するのも楽しそうだよねと言って、まず都内近郊で物件を探して。ここだと思っていたところが、運悪く先に入られちゃったりしてダメだと思った時に、ZIONのメンバーのけいちゃん(櫛野啓介/Gt)が北海道出身なんだけど、地元の友達が紹介してくれたすごくいい物件があると。それで、北海道に行くことになったの。物件を見に行ったら築40年くらいなんだけど、けいちゃん曰く「ここは改装したらいける」と。よし、じゃあそこ買おうってことになって、そこをスタジオにしてレコーディングをし始めたのが北海道に行ったきっかけ。

庄村:なかなか狂ってるなと思うのが、自分たちで改装したんだよね? 壁のぶち抜きとかも?

光村:そうそう。全部自分たちでやったよ。ただ柱を折るのはマジで気をつけたほうがいい。北海道の木造建築って、厳しい寒さに耐えられるように、南側にしか窓がなかったりとか、結構考えられた作りなの。俺らの場合はもともとワンフロアに4部屋あったのを1部屋の40畳くらいのスタジオにしたんだけど、どう考えてもダサイ、邪魔な柱があって。

庄村:渋谷QUATTROみたいな?

光村:渋谷 eggmanとかね。それで2本ぐらいはラッキーで折れたの。でももう1本折ったら、家がミシっとなったから、これはダメだと。刃が途中まで入った状態で、板で補強して。地元の役場の人とかから建築したときの図面をもらって、アドバイスをもらったから自分たちでいろいろできた部分もあるんだけど。

庄村:なるほどね。で、これだけ発信していいトピックスがあったわけよ。にもかかわらず、みっちゃんはNICO在籍時から、個人のSNSアカウントを一切持たない人だったよね?

光村:Facebookをやっているくらいだけど、あれは本当にプライベートのつながりだし。他のSNSもアカウントを持ってはいるけどやってない。

庄村:なんでまた?

光村:忙しいから(笑)。いや、やりたいことがいっぱいあるんだよ。Twitterなり、Instagram、Facebookもそうなんだけど、やっぱりあそこって、1つの社会じゃん。その社会に俺はそんなにコミットできないなと。だから、俺はもう見る専門だと思って。

庄村:これから開設する可能性はあるの?

光村:多少、気持ちに余裕ができたら。

庄村:俺は、そもそも発信の場が皆無の状態だから、SNSのアカウントを持っていた方がいい人で。とは言え、平沢進みたいに、毎日この時間に面白い文言をあげるとか、考えたことはあるけど俺には無理だと思ってる。

光村:いやぁ、ムリムリ。だって、書き込むだけならいいよ。でもそれに反応があるわけで。それを見てたら電池もたないって。『ポケモン GO』はめちゃくちゃ電池食うのよ(笑)。

庄村:それで、SNSも持たず、諸々が整って、ようやく先日のZION始動につながっていく。とは言え、すでにZIONの名前でライブをやっていたよね。

光村:札幌で一足先にね。単純に新しくバンドを組んでライブもやるけどSNSを一切やらずにいたら、どうなるだろうという興味もあった。俺の中でSNSは「曲を聴いた人が素直に自分の感想や思いみたいなものを発散する場所」だから、俺らがわざわざ先陣切ってやるもんじゃないと思っていて。曲を聴いた人に自由に意見を言ってもらう方が、俺は性に合ってる気がしてる。

庄村:なるほど。6月6日に東京でライブをやるじゃない? 北海道が拠点で、しかも札幌でもないのに。それはなぜ?

光村:俺は元々北海道の人間ではなく、千葉、浦安の人間で。今も北海道と東京を行き来する生活をしているから、東京を選んだだけなんだけど。でも、そもそもあんまり東京でやりたくなかったんだよね。これは、さっきのアリゾナに行った話に繋がるけど、自分のやりたい音楽は何だろうと考えたときに、昨今の東京のシーンを見ていると、ロックバンドがいることにちょっと違和感があるのよ。なんか古い気もするし。東京でロックをやっていくという時に、首都高の渋滞みたいな、情報が錯綜した曲ばっかり書かなきゃいけない気がして。そういう音楽は今はあまりやりたくないと。逆にアリゾナは、なんにもないまっすぐの道を、3時間とか4時間とか車で走らなきゃ目的地にも着かなくて、ずっとラジオを聴いてたんだけどお気に入りのFM局を見つけたの。

庄村:アメリカって死ぬほどあるよね、FM。

光村:死ぬほどあるんだけど、田舎だから電波が入るのは4つか5つくらい。そのお気に入りのFMでは、Vampire Weekendとか、Arctic Monkeysもそうだし、The Rolling Stones、トム・ペティ、The Beatles……そういう新旧のロックをいろいろかけていて。でも一貫して誰かが選んでるというアイデンティティがあった。

庄村:結局、ベースはブルースが好きか否かという。

光村:そうそう。それでいろいろ調べたら、そのFM局の選曲テーマが、ワールドクラスロックだと分かった。景色と、そこで選曲されているものがめちゃくちゃマッチしていて。こういう曲を作りたいし、このラジオ局に選曲されるような曲を書きたいなと思ったときに、これは東京じゃないと思ったんだよね。で、結果的にラッキーが重なって拠点が北海道になったんだけど、北海道の十勝平野がめちゃくちゃアリゾナの雰囲気に近いの。

庄村:やっぱり、そのオーバーラップもあったんだ。

光村:土地を彩るのが音楽だとしたら、きっと北海道のリスナーは俺が今やろうとしていることを理解してくれるはずだと。だから最初から東京じゃなくて、札幌でライブをやろうと思った。札幌は結構都会だし、実際どこまで伝わっているのかわからないけど、札幌でのライブ終わりの高速で自分たちの曲をかけていると、考えてることはそんなに間違えていないなと。正直、東京でZIONのやっている音楽がはまるかどうかはわからないけど、試しにやってみようという感じで。

庄村:みっちゃんは、ある意味、俺よりめちゃめちゃルーツミュージックに詳しい人で。自分が思い描くルーツみたいなものの理想に一番近いところが十勝平野だったという話なんだろうなぁ、きっと。そういう意味だと、俺は曲の好みはシティボーイで、都会的なものが好きです。だから、いまだに理想郷は歌舞伎町だもん(笑)。東京って、埃とゲロとドブネズミ、ゴキブリとかにまみれ狂ってるし、空がめちゃくちゃ曇ってるし、ありとあらゆる人間の悲喜こもごもで埋もれているんだけど、やっぱり上を見上げると、ネオンが綺麗だったり。あれには何かを感じてしまう。その辺の好みの違いは、もろにあるよね。



関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる