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URU×TAKUYA、海外アーティストとのクリエイティブ アジア圏のマーケットの可能性と実情を語る
蒔いてきた種からちょっとずつ芽が出れば
ーーなるほど。お二人にとって、アジア圏の音楽マーケットの魅力とは?
TAKUYA:これは“僕の場合は”ですけど、10代の頃から思い描いていた「売れたい」「デカいところでやりたい」みたいなことは、JUDY AND MARYで全部コンプリートしたんです。自分が飽きないためにも知らないことをやるしかないし、そのためには海外でいろいろやらないと。欧米に憧れてた時期もあったけど、今はアジアのなかに自分の立ち位置があるのかなと。
URU:中国、台湾だけじゃなくて、東南アジアのミュージシャンのレベルもすごく高いですからね。みんなすごく純粋に音楽に向き合っているし、演奏もどんどん上達していて。インドネシア、フィリピン、タイもそうだけど、どこに行っても「すごいな」という若い人がいるし。
TAKUYA:確かに「インドネシアのミュージシャンは上手い」ってよく聞きますね。
URU:韓国は少し特殊で、制作はほぼ自宅でやってるみたいですね。ギターも自分の部屋で録ってるし、スタジオを使う必要がない。
TAKUYA:中国も台湾もそうだけど、生音のレコーディングの経験があまりにも少ないよね。
URU:大きいスタジオがどんどん減ってるからね。僕らは生音をスタジオで経験している世代だけど、それを知っていると知らないでは全然違うので。
TAKUYA:言い方は良くないけど“なんちゃって”でやってるというか。今のところはそれが面白いんだけど、ずっと“なんちゃって”のままっていうのもどうなのかなと。まあ、そのうち変わってくるとは思うけどね。K-POPに関しては、ちゃんと低音を使えているのがいいですね。日本の音楽は低音がぜんぜん出てないんですよ。小さいスピーカーで作ってる人が多いから、そうなるんだと思うけど。
URU:わかる。ラージモニターで鳴らすと、「下がぜんぜん出てない」ってこともあるから。そもそもスピーカーで鳴らさないで、イヤホンだけで作ってる人も多そうだし。
TAKUYA:だから突発性難聴が増えるんだよね。騒音問題もあるんだろうけど、台湾の若い人たちは、マンションでもっとデカい音鳴らして作ってますよ。もちろん国によって違うんだけど、他の国がA3サイズで作ってるのに、日本だけB4サイズというか。そういう作り方は、世界中で日本だけじゃない?
URU:そうかもしれない。日本で制作していると、水道が全開になってない感じがするんですよ。「もっと出して!」って(笑)。もちろん電圧の違いもあるんですけど。
TAKUYA:電圧が100Vなのは、日本くらいですからね。アメリカは120Vなんですがテネシー州は130Vくらいの高めの州なのでアンプでギターを鳴らすとすごいドライブしますよ。そういえばBABYMETALがRed Hot Chili Peppersのアメリカ東海岸ツアーに帯同したときにマイアミで観たんだけど、Red Hot Chili Peppersの音響システムを使ったBABYMETALはめちゃくちゃ音が良かった。
URU:だから海外で評価されてるのかもね。
TAKUYA:もちろんレッチリもいい音だったけどね。
ーー日本の若いクリエイター、これから音楽業界を目指す人も、海外の状況を知った方がよさそうですね。
TAKUYA:どうでしょう? 日本でずっとやりたいんだったら、それでいいだろうし。日本の若いクリエイターにも才能がある人はいるだろうけど、J-POPの枠のなかでしか仕事してないというか……。それ以外はゲームかアニメの2択で、そのジャンルの達人が増えてる印象かな。もし海外でやりたいとしても、言葉の問題は大きいと思います。日本人は圧倒的に英語ができない人が多いので。
ーーTAKUYAさん、URUさんは今後もアジアを拠点にして活動を続ける予定ですか?
TAKUYA:そうしたいですけど、コロナの状況もあるから。まだちょっとわからないですね。
URU:うん。「リモートでいい」ということになれば、向こうに行く必要もないだろうし。
TAKUYA:先のことは不確定なんだけど、さっきの「助成金が下りるからTAKUYAにギター弾いてほしい」みたいな話もあるだろうし、これまでに蒔いてきた種からちょっとずつ芽が出ればいいなと。台湾のJerryCと共作したり、他にもコライトした曲がいろいろあるので、それも今後リリースしていきたいと思っています。あとはAARONのアジアツアーに帯同する予定もあるので、それも楽しみですね。
URU:Doulという女性アーティストをプロデュースしてるんですが、彼女は海外志向なんですよ。そのプロジェクトを進めつつ、中国、台湾、韓国、インドネシアなどで作ってきたコネクションを途絶えさせないようにしたいです。
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