SixTONES、Little Glee Monster、BEYOOOOONDS、adieu、倖田來未……3月2日リリースの新譜5作をレビュー

adieu『穴空きの空』

 タイトル曲「穴空きの空」(作詞作曲:Kai Kubota)は、力強さと浮遊感が絶妙に混ざり合うメロディと〈傷だらけ 泥だらけの世界で生まれたラブソング〉というラインが結びついたミディアムチューン。切実な痛みを抱えながら、どこかにあるはずの光を感じさせるボーカルに心を打たれる。さらに「灯台より」(作詞作曲:Satoko Shibata)では天然のオルタナと呼ぶべきギターの響き、生きること、息すること、愛することの本質を射抜く詩が溶け合い、「旅立ち」(作詞作曲:Jiro Yanase)では、軽快なファンクネスをたたえたサウンドを乗りこなしながら、〈私になれたらそれから/日暮れには誰も知らない〉という創造的な詩に生き生きとした躍動を与える。才気あふれるクリエイターとの邂逅によりadieuは、自らの音楽世界を拡張し続けている。(森)

adieu [ 旅立ち ]

倖田來未『heart』

 倖田來未のニューアルバム『heart』は、全12曲を収録。うち5曲は「We’ll Be OK」「4 MORE」など、2021年より連続配信された既発曲に。新曲には、レゲトン〜ダンスホールのトラックで、デビュー当時より親交のあるAIとの初コラボ曲「GOOD TIME feat.AI」などが用意されている。また「Outta my control feat. ØZI」には、さなり、eillといった国内のフレッシュな才能と共演経験もある台湾出身の若手アーティスト・ØZIが客演参加。さらには、前述した既発曲が固まるアルバム後半に唯一織り交ぜられた「RED」を含めて、オントレンドなコンテンポラリーR&Bナンバーが冴え渡っている印象だ。20年以上のキャリアに裏打ちされた、圧倒的な記名性と存在感を誇る倖田の歌声が、こうしたアコースティックな色調との相性のよさを発揮している。この方向性の楽曲を、今後も拡充していってほしいものだ。(一条)

倖田來未-KODA KUMI-『We’ll Be OK』(Official Music Video)

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