SixTONESはなぜクリエイター魂をくすぐる? 最新シングル『共鳴』から感じる、6人の“音楽を届ける力”

SixTONES『共鳴』を聴いて

 3月2日発売のSixTONESの最新シングル曲「共鳴」を聴いて、改めて、なんて“音楽を届ける力”が強い6人なんだ、と感動すら覚えた。この楽曲は現在放送中のテレビアニメ『半妖の夜叉姫』弐の章(読売テレビ・日本テレビ系)1月クールのオープニングテーマとしてすでに多くの人の耳に届き、彼らの音楽性の高さ、幅広さを改めて世の中に知らしめている。これまでの作品もそうだったが、彼らの新作はいつも予測不能の楽しみと驚きに満ちている。今回もそうだ。冒頭から複雑なメロディが炸裂し、ロックやジャズ、ヒップホップなどの様々な要素が交錯するミクスチャーサウンドが疾走感を生み、放熱している。

SixTONES – 共鳴 [YouTube ver.]

 リズム隊の太いビートが全体に厚みを与え、特に Sakurai Rockのベースがうなりをあげながら推進力を生み、時に“歌う”ように6人の歌に絡んでいく。サビはどこまでも人懐っこくて、人気アニメの主題歌という“使命”を意識しているかのようだ。歌詞も、アニメを連想させるような言葉が散りばめられ、〈ギリギリに立ってんだって 分かってるのに それでも選んでしまった 夢と誇り〉と、SixTONESとしての意思表明にも取れる、仲間と一緒に困難に立ち向かっていくという絆ソング、“共鳴”ソングになっている。ハードなサウンドの中で、前述した親近感のあるサビが光を感じさせてくれ、そのコントラストが一度聴くと耳に残る“フック”になっている。そういう意味で鮮やかな楽曲だ。

 SixTONESの強さは、いい意味で貪欲に様々な音楽を“食らい”、徹底的にオリジナリティを追求していくその姿勢だが、やはりその音楽を届ける6人の歌の強さが彼らの最大の武器だ。メインでボーカルを担うジェシーと京本大我の安定感、6人それぞれの音域、声質をうまく生かした歌割りでドラマティックさを作り、田中樹の“絶対的”なラップが強烈な色となり、しかしそれがひとつになって抜群のアンサンブルを作り上げている。その歌の厚さが、言葉に説得力を纏わせ、だからこそどんな音楽にも挑戦でき、攻めて、どんどん自分達の音楽を進化させていくことができる。

 これまでも1stアルバム『1ST』にはラウドチューンやチルなヒップホップ、今年1月に発売された2ndアルバム『CITY』にもダーティなEDMを意識した楽曲や全編英語詞曲、そしてシティポップまで、これまでのジャニーズアーティストとは一線を画す、異端な楽曲達が並んでいるが、やはり歌の力が際立っている。感度が高い音楽ファンも魅了できるその音楽は、音楽シーンの中で常に注目を集める存在になった。

 この「共鳴」という楽曲からSixTONESの音楽が気になり始めた、というリスナーもいるかもしれない。今回のシングルを聴いただけでも、その音楽性の豊かさ、意外性などを感じることができるはずだ。カップリング曲は、それぞれ「共鳴」と全く違う音楽が楽しめるからだ。ジャンルに一切囚われることなく、自分達の好きな音楽を追求しようという6人の音楽愛を感じることができるはずだ。

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