森山直太朗、朝ドラ主題歌「アルデバラン」の仮タイトルは「ミジンコ」だった AIや上白石萌音らへの提供楽曲制作秘話を聞く

森山直太朗、AI「アルデバラン」制作秘話

 AI「アルデバラン」(NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』主題歌)、上白石萌音「懐かしい未来」(「第100回全国高校サッカー選手権大会」応援歌)、さらに木村拓哉「ローリングストーン」、鈴華ゆう子「カンパニュラ」、山崎育三郎「君に伝えたいこと」など、2020年以降、様々なアーティストへの楽曲提供が続いている森山直太朗。「歌い手の方の声に導かれるように曲を書くことが多いですね」という彼に、楽曲提供する際のこだわり、意識するポイントなどについて聞いた。(森朋之)

歌い手同士の関係性で話せるのはアドバンテージ

森山直太朗

ーーV6(井ノ原快彦、20th Century)、土岐麻子さん、SMAP、氣志團、石川さゆりさん、大竹しのぶさんなど、数々のアーティストに楽曲を提供されていますが、オファーを受けてから書くことが多いんですか?

森山直太朗(以下、森山):どうだろう? オファーをいただいてから書いたのは中孝介くんの「花」、「第73回NHK全国学校音楽コンクール」(中学生の部課題曲)の「虹」くらいかな。それ以外はそもそも関係性があった方、自分の感覚としては「友達に曲を書いた」という感じなんです。山崎育三郎くんもそうだし、木村拓哉さんも、何かの拍子に声をかけてもらって。ノリさん(木梨憲武)に提供した「まにまに」のときも、直電をいただいたのがきっかけなんですよ(笑)。

ーーなるほど(笑)。鈴華ゆう子さんの「カンパニュラ」は、鈴華さんとしっかりコミュニケーションを取ったうえで制作されたそうですね。

森山:はい。そうじゃないと筆が動かないタイプなので。事情聴取というか(笑)、いまどういう気分なのか、どんな原動力や衝動で音楽をやっているのか、何かしらの共感がないと書けない。あと、鈴華さんのスタッフのみなさんが、どういう姿勢でプロジェクトに関わっていらっしゃるのかもお聞きしました。僕が出来るのは曲を作ることだけで、それを表現して伝えていくのは、鈴華さんとスタッフのみなさんですからね。

ーー制作の時点では、どんな曲をイメージしていたんですか?

森山:鈴華さんが持っている、力強いんだけど、繊細で壊れてしまいそうな感じを表現できたらいいなと思ってましたね。あと、舞台の上で、みんなを信じて歌えるような曲にしたくて。僕も実演家だからわかるんだけど、舞台上の人間はどうしても視野が狭くなりがちで、技術に頼ってしまうことがあるんです。鈴華さんの歌の技術はもちろん申し分ないし、パワーでいけるところも彼女の良さだけど、表現はそれだけじゃないので。そのためには歌うという行為と同じくらいのエネルギーで演奏を聴き、感じることも大事だよね、みたいな話もしましたね。僕自身も舞台で歌っているから、“作曲家と歌い手”ではなくて、歌い手同士の関係性で話せるのは自分のアドバンテージなのかなと。

ーー直太朗さん自身はどうですか? ライブを観ていると、ステージ全体を俯瞰しているような印象もありますが。

森山:“俯瞰してる風”なだけで、実際はてんやわんやですよ(笑)。謙遜でもなんでもなく、ホントに主観だけになっちゃう。ステージに立っていると、「この人に“いい”と思ってほしい」「あの人に認められたい」という欲がどんどん出てきちゃうんです。

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