King Gnu、2021年に重ねた進化は次なるフェーズへ 『ミステリと言う勿れ』主題歌「カメレオン」から広がる新しい景色

King Gnu「カメレオン」から広がる新しい景色

 畳みかけられるリリースに、圧巻のツアー。昨年後半、というかラスト3カ月のKing Gnuの攻勢は振り返ってみても凄まじいものがあった。3月の配信シングル「泡」のリリース以降、常田大希率いるmillennium paradeが活性化していたこともあって、King Gnuとしてのアクションは一旦ギアを落としているように見えたが、おそらく水面下ではクリエイティブな活動が繰り広げられていたのだろう。10月の「BOY」配信リリースを皮切りに展開した一連の動きは、ダムが決壊したような勢いと迫力だった。

King Gnu – 泡

 アニメ『王様ランキング』(フジテレビ系)のオープニングテーマとして書き下ろされ、それまでの彼らの楽曲とは明らかに違うサウンドとリズム感でイメージを鮮やかに塗り替えてみせた「BOY」。音楽番組での「子どもKing Gnu」によるパフォーマンスも話題となったが、そんな遊び心も含め、それこそ「Teenager Forever」にも通じるある種の無邪気さと向こう見ずな感覚をさらにアップデートさせたこの曲は、「白日」「飛行艇」「三文小説」などとはまた違ったベクトルで、バンドのポピュラリティを証明してみせた。早くもライブで代表曲と言っていい存在感を放っていることからも、その意味を実感することができるだろう。

King Gnu – BOY

 そのライブも凄かった。10月29日のゼビオアリーナ仙台から7会場全14公演という規模で展開したアリーナツアー『King Gnu Live Tour 2021 AW』。筆者はさいたまスーパーアリーナ公演と国立代々木競技場第一体育館でのファイナル公演を観たが、どちらもとんでもないロックショーだった。先述の「BOY」や「泡」のような新曲があるとはいえ、演奏される楽曲も、全体の構成としても、前回のツアーから大きな変化があるわけではない。だが、ステージから放たれるエネルギーにはっきりとした違いがあった。ドラム、ベース、ギター、鍵盤、歌。一つひとつの音がずっしりと重く、くっきりとした輪郭を持ち、強い説得力をもって響いてきた。ロックバンドとしての正常進化といえばそれまでだが、それをこのスピード感で、そしてこの正確さで、当たり前のように成し遂げてしまうKing Gnuというバンドの凄みを実感したのだ。

 そんな半端じゃないツアーは、楽曲制作と並行して行われていた。ツアー真っ只中の12月1日には、カップリングに「F.O.O.L」を収録したシングル『BOY』が1年ぶりのCD作品としてリリースされ、12月10日には「一途」が配信リリースされた。『劇場版 呪術廻戦 0』の主題歌として書き下ろされた「一途」は、実は一連の新曲たちとは異なる性質をもった楽曲である。

King Gnu – 一途

 イントロの強烈なカッティングギター、緊張感のあるドラム、一直線でゴールまでひた走るスプリント競技のような楽曲構成。ロックバンドの骨と肉そのものを見せつけるようなタイトでソリッドな「一途」は、常田大希というアーティストのコアに宿るパンク性を改めて見せつけるものだ。それが国民的な注目を集める『呪術廻戦』シリーズの映画主題歌となり(歌詞の内容的にも同作と完全なシンクロを見せ)、後述のようにエポックメイキングなチャートアクションを見せたことが持つ価値は、バンドとロックの未来という、少々大袈裟な視点で捉えても計り知れないものがあると思う。

 12月29日には、同じく『劇場版 呪術廻戦 0』のエンディングテーマであるバラード「逆夢」も収録されたシングル『一途/逆夢』がCDリリースされ、オリコン週間シングルチャートでバンド初となる1位を獲得した。前述したように常田のロック性・パンク性を爆発させた「一途」。対して、井口理のボーカルを最大限に引き出す美しいメロディと、器楽的と言ってもいいアレンジのスケール感が光る「逆夢」。両極に振れたシングルの在り方は、King Gnuというバンドを象徴しているようにも思える。もちろん『呪術廻戦』というファクターがあったとはいえ、そんなシングルがしっかりと認知され、チャートでも結果を出したことは、おそらくメンバーにとっても手応えを感じるものだっただろう。3rdアルバム『CEREMONY』の季節を終えて、次なるフェーズへと突入していく中での狼煙、あるいは起爆剤としても、後に重要なターニングポイントとして振り返られるはずだ。

King Gnu – 逆夢

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