King Gnuのカオティックなサウンドを生み出す常田大希のギタープレイに注目

 King Gnuやmillennium paradeのフロントマンとして活躍する常田大希による初のシグネチャー・ギター“Daiki Tsuneta Swinger”が、10月下旬より限定生産品として発売された。1969年にフェンダーが発表し、Talking Headsのティナ・ウェイマスやベン・クウェラーらも使用していたSwinger。その日本製モデルをベースに大幅なカスタマイズを施した"Daiki Tsuneta Swinger"は、24インチスケールとバスウッドを用いた軽量なボディによる快適な演奏性、メタルカバーのソープバータイプピックアップによる太く腰のあるサウンドが特徴で、完成以来常田のほぼ全てのレコーディングとステージで使用されている。

 「まさかフェンダーから自分の楽器が出るとは思ってもいなかったので、めちゃくちゃ嬉しいです。子供の頃の常田少年に教えてあげても信じないでしょう(笑)。小ぶりだけどハイパワーでチューニングの安定感と歪みのノリが抜群なギターに仕上がってます。珍しいSwingerのボディーとオリジナルのピックガード、それにシンプルかつ小洒落たカラーにも拘りました。サイズ感が小ぶりだから、男女ともに似合うと思うし、小洒落たカッティングしたり、ギャンギャンに歪ませたり、ぶん投げたり、部屋に飾ったり。この子は何をどうしてもかっこいいでしょう」

 フェンダーの公式サイト(※1)に、このようなコメントを寄せていた常田。これまでにも彼は、例えばAmerican Performer Mustangをフェンダーと共にカスタマイズしたり(「飛行艇」のレコーディングなどで使用)、アコギとエレキギターのトーンを融合したユニークなモデルAmerican Acoustasonic Telecasterをライブのアコースティックパートで使用したり、フェンダーとは縁深い。

「俺は、フェンダーって言ったらカート・コバーン(ニルヴァーナ)かな。フェンダーカッケーな!って思いました。ウッドストック(・フェスティバル)で言えばジミ・ヘンドリックスも使ってたけど、もっとリアルな感じでいくとカート。カートは変形のフェンダーギターをたくさん使っていたので、そこから直接的な影響をかなり受けました。レッチリのジョン・フルシアンテもStratocasterですし、好きなギタリストはフェンダーが多かったですね。」(※2)

 自宅の押し入れにしまってあったベースやギターを引っ張り出し、友人を誘ってバンドを始めたのが「ギターとの出会い」だったという彼は、「ウッドストックとかに出ていたようなサイケデリックロック……ジミ・ヘンドリックスやボブ・ディランが大好き」だったと、以前筆者が行ったインタビューでも答えてくれた(※3)。

  そんな彼が2013年に結成したKing Gnu(当時は前身となるプロジェクト、Srv.Vinci)は、「ブラックミュージックのリズムをベースに、まったく違う要素の上モノを乗せていく」というコンセプトのもと活動をスタート。以降、作品をリリースするたびに「ポップミュージックとしての大衆性」と「アートとしての実験性」の両軸を追求しながら唯一無二のサウンドスケープを展開していく。例えば2019年にリリースされた彼らの2ndアルバム『Sympa』を作っていた頃の常田は、Mr.Childrenやサザンオールスターズ、宇多田ヒカルといったメインストリームの音楽を研究しまくっていたそうだ。

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