宮本佳林、鞘師里保、和田彩花ら……活発化するハロプロOGたちの音楽活動
11月から12月にかけて、アンジュルムの笠原桃奈、Juice=Juiceの金澤朋子、そしてモーニング娘。'21の佐藤優樹といったハロー!プロジェクトメンバーの卒業ラッシュが続く。彼女たち以外にもこれまでグループを卒業したメンバーは多数おり、芸能活動を引退するもの、継続するものなど進路は各人によって様々だ。そんなハロプロメンバーのセカンドキャリアのなかでも、音楽方面での活躍が近年目立ってきている印象がある。
ハロプロを卒業してからも芸能活動を続ける場合、それぞれの身の振り方にはいくつかのパターンがある。まず、所属事務所であるアップフロントにとどまるのか、それとも退所して別の芸能事務所へ移籍するのか。アップフロントにとどまる場合、ハロプロOGメンバー専用のファンクラブ・M-line clubへ移籍することになる。M-lineはファンクラブであると同時に1つのカテゴリとも捉えることができ、第2のハロプロと考えることもできる。
2009年にM-line clubが設立されて以来、2011年のドリームモーニング娘。の結成や、2013年の田中れいな(ex.モーニング娘。)率いるLoVendoЯ、2016年の夏焼雅(ex.Berryz工房)率いるPINK CRES.の結成などいくつかのトピックはあったが、それらが革新的なアクションであったかと言われれば、なかなか難しいものがある。そんな状況が徐々に変わりつつあるのが近年の傾向で、そのきっかけの第1段階が道重さゆみ(ex.モーニング娘。)、および鈴木愛理(ex.℃-ute)らのM-line加入だ。そして第2段階と言える状況が、今年2021年に起こっているのだ。
満を持してデビューシングルをリリースする宮本佳林
2020年のJuice=Juice卒業を経てM-line club入りしたのが、同グループの絶対的エースだった宮本佳林。Juice=Juiceの卒業と同時にソロでデジタルシングル「未来のフィラメント」を配信リリースしていたが、それ以降はライブ中心の活動となっている。
そのライブとは、M-line clubのメンバーが出演する『M-line Special 2021~Make a Wish!~』(以下『MSMW』)。今年1月から12月開催予定のものまで含めると70公演以上という長丁場のホールコンサートツアーである。これこそが、現在のM-lineの盛り上がりの主たる要因と言えるだろう。
主要な参加メンバーは、前述の鈴木愛理、道重さゆみ、宮本佳林に加え、今年6月にPINK CRES.を解散した後はソロ活動に移行した夏焼雅など。彼女たちは、ハロプロ時代も各グループの人気メンバーの1人で、その人気が現在も持続した結果、M-lineの盛り上がりにつながっているという側面もある。また、『MSMW』では各人のオリジナル曲が歌われるのはもちろん、過去のハロプロ楽曲のカバー歌唱がセットリストに多いのも特徴。これは往年のファンであれば抗えない魅力であり、新規ファンにとっては聴いたことのない未知の楽曲として楽しむこともできる。
M-lineコンサートでは上記の主要参加メンバーのほか、公演によっては他のハロプロOGメンバー、そして現役ハロプロメンバーがゲスト参加する場合が多い。それにより、長いハロプロの歴史を熟知するファンにとって“エモい”瞬間が続出することになる。例えば、2021年3月6日の仙台GIGS公演では田中れいながゲスト参加。田中・鈴木・夏焼という“あぁ!”の第1期オリジナルメンバーが勢揃いし、「FIRST KISS」「正夢」といった2003年リリースの楽曲を18年後の成長した歌唱で聴けるという状況が実現した。
そんなM-lineの盛り上がりを背景にしつつ、宮本のメジャーデビューシングルの発売が12月1日に迫っている。トリプルA面の内の1曲「どうして僕らにはやる気がないのか(2021)」は、まだ宮本がJuice=Juiceに在籍していた2019年のソロライブで初披露された楽曲。作曲の田仲圭太はBiSHなどのWACK界隈への楽曲提供で知られる音楽制作チーム・SCRAMBLES所属のコンポーザー。それもうなずけるロックテイストな1曲であり、初披露から2年後に再レコーディングされたバージョンとして宮本の成長も感じ取ることができる。本作を皮切りに、宮本のさらなる飛躍に期待したい。