『アイドリッシュセブン』5周年イベントの熱狂を再び 小野賢章ら豪華キャストがファンに届けた作品愛
2020年8月にアプリのリリースから5周年を迎えた『アイドリッシュセブン』(以下『アイナナ』)。記念イベントとして、今年1月23日、24日に横浜アリーナで『アイドリッシュセブン 5th Anniversary Event "/BEGINNINGNEXT”』が開催された。当初は有観客で、国内外でのライブビューイングも行われる予定だったが、緊急事態宣言の発令を受け、無観客でのライブ配信のみが実施されたこのイベント映像が、9月28日にリリースされたのだ。
DAY1には、小野賢章、増田俊樹、白井悠介、阿部敦、保志総一朗、広瀬裕也、木村昴、西山宏太朗、近藤隆が、DAY2には、白井に代わり代永翼、KENNが出演。両日ともに阿部を司会進行役に、『アイナナ』の5年間を振り返るトークを展開した。
DAY1では、白井が印象に残っていることとして、「何よりもストーリー!」と、冒頭でいきなりヒロインが「7人のアイドル候補者の中から4人を選べ」と事務所社長である父親に迫られるシーンの衝撃について挙げた。それを受けて阿部も、「アイドルものだからキラキラしているかと思ったら、スポ根に近かった」と答え、木村もそれに大いに納得する。
ストーリーの緻密さや、キャラクターの心情描写の細やかさを評価されることの多い『アイナナ』。アプリやアニメに触れている方はよくご存知だろうが、この作品は、ステージ上で歌い踊る姿を描いた「華やかなアイドルもの」ではない。むしろ、その裏にある、アイドル一人ひとりが歩んできた人生や葛藤、芸能界という特殊な世界にうずまく思惑や欲望に巻き込まれながらも、意思を持ってもがく姿を描いたヒューマンドラマなのである。
『アイナナ』が単純なアイドルものではないことを示す意味では、アプリの第3部で正式に登場したŹOOĻが特に象徴的だ。「アイドルは夢と希望を与えるもの」というイメージを真っ向から覆すように、IDOLiSH7らの前に、悪意を携えて現れる。だが、ヒールとして登場したŹOOĻのメンバーもまた、各々が人生と苦しみを背負ってきた者達だ。広瀬は、特別ストーリー『拮抗のクォーター』で明かされた彼らの過去について触れ、やるせない気持ちになったと明かす。それに対して、「IDOLiSH7、TRIGGER、Re:valeも出会うべき人に出会えなかったり、かけてもらうべき言葉をかけてもらえなければŹOOĻのようになっていたかもしれない」という阿部のコメントも非常に印象的だ。
人間は一面的な存在ではなく、完璧な善人もいなければ、絶対の悪人もいない。ŹOOĻを単なる悪役ではなく、「自分達にもあり得たかもしれない可能性」と思わせる、リアリティのこもった存在であることを改めて感じる一幕だった。
DAY2では特に印象深かったこととして、なんと代永、近藤、西山、木村の4人が『ダンスマカブル』を挙げた。『ダンスマカブル』は、空と地上に二分された世界で起こる抵抗の物語を描いた、4グループのメンバー総出演のドラマだ(※1)。
これまでにも『星巡りの観測者』(※2)など、壮大な世界観の劇中劇がいくつも公開されてきたが、その中でも、『ダンスマカブル』は初の全編フルボイス。劇中ではグループの垣根を越えたキャスティングがなされており、代永、近藤は、新しい関係性を演じられる楽しさを魅力として挙げた。木村も、当初他グループと対立するような関係にあったŹOOĻの狗丸トウマが、劇中ではIDOLiSH7の七瀬陸、和泉一織と仲間になれたことを「胸アツ」と感慨深く語る。
また、実際の性格とは全く違うキャラクターとしての姿が見られるのも、劇中劇の特徴だ。おしとやかで上品なイメージのŹOOĻ 棗巳波が、今作では荒っぽい口調のフーガの役を演じていたり、普段とは違った魅力が引き出されるのは大きな見どころと言える。意外な姿を見せる面々に対し、KENNが「どんなふうに役作りしたのかインタビューしたい」とコメントするなど、ストーリーだけでなく、舞台裏にも興味が湧く。