モーニング娘。'21 佐藤優樹、ハロプロNo.1人気メンバー卒業の衝撃 不思議キャラ&エース的存在感で牽引

魅力的なキャラでハロプロNo.1人気メンバーへ

 “まーちゃん”こと佐藤優樹は2011年にモーニング娘。の第10期メンバーとして当時12歳で加入。同期には現モーニング娘。のサブリーダーである石田亜佑美や、卒業後に女優へ転身した飯窪春菜、工藤遥がいる。

 加入当初は、同じ年少メンバーの工藤と2人で「まーどぅー」コンビと呼ばれることが多かった。そして次第に、良く言えば天真爛漫、悪く言えば悪ガキ的なキャラ、さらにその人並み外れた言語センス(造語を使う、メンバーを他とは違うニックネームで呼ぶ)による不思議ちゃん的なキャラなどが目立ってくるようになる。

 佐藤のトークセンスは、ハロプロ内部だけではなく外部仕事でも発揮。たとえばラジオ番組『MBSヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)へは2018年の初登場から複数回出演しているが、そのたびにパーソナリティの明石家さんまや村上ショージがタジタジになっていた。

 その一方、佐藤の才能は音楽方面でも開花。ライブ歌唱時などでの表現力の豊かさがファンの間で高く評価されるようになる。一例を挙げると、モーニング娘。の2013年のシングル曲「わがまま 気のまま 愛のジョーク」では落ちサビの〈愛されたい!〉というフレーズを佐藤が担当しており、その歌い回しが実に魅力的なのだ。これはレコーディングされたCD音源の時点から、ライブ回数を重ねるごとにさらに進化を遂げていった。

モーニング娘。 『わがまま 気のまま 愛のジョーク』(Morning Musume。[Selfish,easy going,Jokes of love]) (MV)

 その他にもこういった佐藤の表現力が炸裂している場面は歌唱/ダンスを問わずいくつもあり、ファンの間では“エロシー”という形容詞で呼ばれている。このエロシーという言葉は、元々は佐藤が2017年のブログ(※2)で鈴木愛理のセクシーかつエロティックなパフォーマンスについて表現した造語だったのだが、それがいつしか佐藤自体のパフォーマンスを指す用語になっていった。

 佐藤のエロシー的なライブパフォーマンスをひとつ挙げると、モーニング娘。'17の秋ツアー『We are MORNING MUSUME。』での「気まぐれプリンセス」。曲の最初にステージの階段部分に座って歌い始める箇所や、曲終盤での〈いいじゃない ちょいエロ涙〉などが見どころだ。

アプカミ#90 モ娘。20周年企画、モ娘。’17、J=J、中島卓偉、ラベンダーライブ映像ほか 田中れいな(LoVendoЯ)、尾形春水(モーニング娘。'17) 10/27/2017

 キャラやトーク、ライブパフォーマンスなど複合的な理由により佐藤の人気は急上昇。ファン投票で順位が決まるイベント『ハロプロ楽曲大賞』の推しメン部門では、2015年から2020年までの6年間、常に1位を記録。指原莉乃などファンを公言する芸能人も多い。ウェブ番組『矢口真里の火曜The NIGHT』(ABEMA)の今年1月12日放送回では、MCの矢口がゲストの横山玲奈や北川莉央にグループのメンバー人気順を質問した際に「ダントツで佐藤さんです」と返答するなど、もはや佐藤のトップ人気は共通認識のようだ。

プラチナ期と同等のメンバー不動期間を経て

 そんな佐藤の卒業は、モーニング娘。というグループにとっても大きな出来事だ。卒業や加入を繰り返しながら進化していくという宿命を背負ったグループだが、今回の佐藤の卒業が予定通り2021年12月13日に行われた場合、これは2018年12月16日の飯窪春菜の卒業から約3年ぶりの卒業メンバーということになる。グループ内のメンバーチェンジという観点から見ても、2019年6月22日の15期メンバー3人の加入から約2年半ぶりの人事異動。

 久方ぶりのメンバーチェンジということでいえば、やはりプラチナ期のことを連想せざるをえない。2007年6月の藤本美貴脱退から、2009年12月の久住小春卒業までの2年半、そして2010年12月の亀井絵里・ジュンジュン・リンリン卒業までの3年半それぞれのメンバー不動期間にグループ内のパフォーマンスが研鑽されたことが主たる要因となって、後年にプラチナ期と呼ばれ再評価されたのはよく知られた話だ。

 10年前と現在の状況は、メンバー不動期間だけで見れば似通っているのだが、その実情は異なる部分がある。グループ全体のパフォーマンスが底上げされた面は現在にも認められており、その象徴的なステージといえるのが2018年および2019年の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』でのステージ。特に後者は同フェス最大キャパのGRASS STAGEでのパフォーマンスで、モーニング娘。史のいくつかあるピークのうちのひとつといって差し支えないだろう。

 だが2019年秋ツアー『KOKORO&KARADA』千秋楽、12月5日の国立代々木競技場第一体育館が現時点でのグループ最後の単独コンサートとなってしまっている。以降はコロナ禍の事情もあり、ライブ活動が困難な状況で、2年ぶりの単独コンサートが佐藤の卒業公演というのも皮肉な話だ。そもそも佐藤の体調的に、ライブにフル出演できるのかどうかという懸念点がある。その一方、久々にグループメンバー全員によるフルサイズのライブが観られるという期待もある(今年行われたハロプロコンサートは、いずれもメンバーシャッフルによるもの)。不安と期待が入り混じったこの武道館公演、モーニング娘。史そしてハロプロ史における際立った句読点となるのはまず間違いないだろう。

(※1)http://www.helloproject.com/news/13590/
(※2)https://ameblo.jp/morningmusume-10ki/entry-12236935862.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる