NEE くぅ×こむぎこ2000 対談 「不革命前夜」MV制作から紐解く“好奇心を刺激するものづくり”とは?

NEE くぅ×こむぎこ2000 対談

 キャッチーなメロディとプログレッシブな展開、そしてどこか「不気味さ」や「違和感」を内包するエキゾチックなアレンジによってシーンを賑わす男女4人組バンド、NEEのメジャーデビュー1stアルバム『NEE』がリリースされた。本作には、「アウトバーン」「不革命前夜」「歩く花」などこれまでの人気曲に加え、ライブ会場限定でリリースされていたため、現在は入手困難となっている「夜中の風船」、そして書き下ろしの新曲9曲が収録されるなど、彼らの“今”を余すことなく伝える贅沢な内容となっている。

 今回リアルサウンドでは、「不革命前夜」のミュージックビデオを担当したアニメーション作家・こむぎこ2000と、NEEのメインソングライティングを手がけるくぅ(Vo/Gt)による対談が実現。お互いの交流のきっかけや「不革命前夜」の制作エピソードについて語り合ってもらいつつ、両者のクリエイティビティの共通点を探った。(黒田隆憲)

不革命前夜 – NEE

「『不革命前夜』を映像化してくれるのは、こむぎこ2000しかいない」(くぅ)

ーーもともとは、どのようなきっかけでお二人の交流が始まったのですか?

くぅ:最初は僕からこむぎこに、TwitterのDMで連絡しました。コロナ禍になる前だったよね?

こむぎこ2000:そう。「不革命前夜」ミュージックビデオの話が出る前だったと思う。「いつかミュージックビデオを作ってほしい」みたいな連絡が来て、そこから数カ月連絡がないと思ったら、今度は「『不革命前夜』のミュージックビデオを作ってほしい」って急に音源が送られてきたんですよ(笑)。やり取りを遡ってみると、2019年の年末に初めて音源が送られてきていますね。それはまだ初期段階のデモで、そこから完成音源までにだいぶ雰囲気が変わっていって。

ーーその時はお互いに面識はあったんですか?

くぅ:リアルでは面識なくて、Twitter上でお互いにフォローし合っていたくらいでした。僕自身は以前からこむぎこのことが気になっていたんです。作風が好みだったし、世界観も刺さるというか……それでいつか僕らのミュージックビデオを手掛けてほしいと思っていて、「不革命前夜」を作っているときに「これを映像化してくれるのは、こむぎこ2000しかいない!」って。

こむぎこ2000:NEEの音楽は、僕が好きなアニメ『鉄コン筋クリート』の世界観をサウンドに置き換えると、こんな感じなんじゃないかなと思うものなんです。あと、くぅが1分くらいのデモ音源を、歌詞と一緒に連続でTwitterにアップしていたのもすごくいいなあと思って聴いてました。

くぅ:そうだったんだ、嬉しい。

くぅ

ーーお二人のやり取りは、例えば事務所やレーベルを介して行っていたわけではないのですね?

くぅ:全く介してなかったです。そもそも僕らもまだデビューが決まっていなかったし、こむぎこもフリーランスで活動しているので、もう友達感覚で頻繁にLINEで連絡を取っていました(笑)。電話もめっちゃしたよね?

こむぎこ2000:うん(笑)。

くぅ:毎日6時間くらい「俺、こういうアニメ好きなんだ」「この作品の、こういう展開が良くて……」とか話し込んだりしてました。

ーーそこではどんな作品が挙がっていたのですか?

くぅ:いろいろありますが、例えば新海誠監督や宮崎駿監督、庵野秀明監督の作品について。その時は僕もスケッチブックに絵を描いて、それをこむぎこに「どう?」って見せたりしてました。

こむぎこ2000:朝まで話してたこともあったよね。そうやって作った作品が今、1000万回再生を超えているのってすごく感慨深い。

ーー実際の制作はどのように進めていったのでしょうか。

こむぎこ2000:いただいた曲を何度も聴いているうちに、シーンが思い浮かぶんですよ。例えばこの「不革命前夜」の場合だったら、男の子が真ん中にいて、後ろからロボットがバーンと上がっていく映像が頭に浮かんできて。他にもいくつか断片的に浮かんできた映像を並べて、その間を繋げていくのが僕のアニメーションの制作方法ですね。

ーーそうやって頭に浮かぶ映像は、歌詞からインスパイアされることが多いのですか?

こむぎこ2000:僕の場合は音からイメージすることが多いです。特にNEEの曲はサウンドや展開に特徴があるので、それを映像化していく感じ。色味に関しては、例えばジブリ作品や『フリクリ』、『鉄コン筋クリート』や『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』など好きなアニメ作品の影響をごちゃ混ぜにした感じ。ただし「不革命前夜」のミュージックビデオは楽曲に影響されて、いつもよりも濃いめの色合いになった気がしますね。彩度を上げるなどして、ちょっと過激にしています。

こむぎこ2000

「新海誠に憧れたから今のスタイルがあるのかもしれない」(こむぎこ2000)

ーーストーリー展開はどのように思いついたのですか?

こむぎこ2000:最初は男の子と女の子、それから招き猫の集団みたいなキャラが思い浮かびました。で、絵コンテを作り進めていくうちに、被り物をつけた犬とクマみたいな登場人物が加わって。彼らは最初「敵キャラ」なんだけど後から寝返るという展開も、最初にくぅに渡したVコンテにはいなくて、作画しながら思い付きました。

ーー曲に絵を合わせていくうちに、どんどんストーリーが展開していくというか。

こむぎこ2000:そうなんです。NEEの楽曲は展開が複雑なので、ストーリーも二転三転した方がいいのかなと思ったんですよね。見終わった時に、映画を1本観た気分が味わえるようにしたいという気持ちはありました。

ーーくぅさんからは「こんな世界観で」みたいなリクエストをこむぎこさんに送るなどもしましたか?

くぅ:いや、アニメに関しては完全にこむぎこにお任せしました。特に曲の説明などもせず、とにかくまず聴いてもらって、それで感じたこむぎこのイメージ通りにやってほしいと思ったので。

ーー配信してみて、手応えはどのように感じていますか?

くぅ:NEEのファンは「こんな感じで出してくるんだ!」と驚いてくれましたね。こむぎこのファンの人たちも見てくれて、投稿した瞬間これまで以上に大きなリアクションがあったと思いますし、その勢いがずっと続きました。

ーーところで、お二人が物づくりに興味を持つようになったきっかけは?

くぅ:僕は実家が広島なんですけど、母親が地元のカフェでやっていたジャズのライブに連れて行ってくれたのが最初の音楽体験でした。そのバンドはパーカッションとピアノとウッドベースという編成だったのですが、それを観たときに「音楽ってカッコいいな」「楽器を演奏してみたいな」と衝撃を受けたんですよね。中学二年生の頃です。

 まずはドラムからスタートして、そのうちギターにも興味が湧いていきました。高校に進学する頃にはバンド活動もしたくなって、周りにいた友人たちに無理やり楽器を持たせて半ば強引にコピーバンドを結成しました(笑)。初心者ばかりだったので、DOES「曇天」やMONGOL800「小さな恋のうた」など、わりと簡単にコピーできそうな楽曲から始めましたね。

こむぎこ2000:僕は高校生のときに新海誠監督の映画『君の名は。』を公開初日に観たんですけど、その帰りにスケッチブックと絵の技法書を買って、そこから絵を描き始めました。当時通っていた高校が、実質ほとんど夏休みみたいな毎日だったんですよ(笑)。でも、夏休みもずっと続くと退屈になってくるんです。入学してから3カ月くらいで暇を極めてしまい、「何かしないとなあ」と漠然と考えていたときに『君の名は。』を観て食らったというか。「そういえば俺、子供の頃は絵が好きだったな」「中学の時とか賞をとったりしてたし、行けるんじゃないかな」って。

ーーその時からイラストレーターではなく、アニメーション作家になろうと思っていたのですね。

こむぎこ2000:そうですね。当時はアニメーターとディレクターの違いも関係性もわからず、とにかく「アニメを作りたい」「新海誠みたいになりたい」と。実は新海監督って、パソコンを駆使して『ほしのこえ』という短編アニメを自主制作しているんですよ。脚本から監督、演出、作画などほとんど一人で手掛けていて、そういう監督にまず憧れたから今の自分のスタイルがあるのかもしれないですね。もし最初にジブリ作品を観て「宮崎駿みたいになりたい」と思っていたら、また違った道に進んでいた可能性はあります。宮崎監督はアニメーターとしての下積みがあった上で、監督になったわけですから。

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