NEE くぅ×こむぎこ2000 対談 「不革命前夜」MV制作から紐解く“好奇心を刺激するものづくり”とは?

NEE くぅ×こむぎこ2000 対談

両者の作品に通ずる“キャッチーさ”と“不気味さ”のバランス

ーー現在こむぎこさんは、iPadで制作しているんですよね?

こむぎこ2000:はい。iPad Proだけでアニメを作っているというのが、僕の「売り」というか(笑)。「CLIP STUDIO PAINT」という漫画原稿制作ソフトがあるんですけど、それがあればiPadだけでもアニメーションが作れるし、何なら今はiPhoneでも作れてしまう。その気があれば、誰でも一人でアニメが作れる環境なんですよね。

くぅ:それって音楽でも同じことが言えますよね。僕は今、Logic Proという音楽制作ソフトを使って曲作りをしているのですが、ちょっと前までは曲作りやレコーディング用の機材を集めるだけでもお金がかかっていたわけじゃないですか。今はスマホにすらGarageBandが入っていて、それで曲が作れる時代ですからね。Twitterとか見ていても「GarageBandを使って曲を作ってみました」みたいな感じでみんな気軽に投稿したり、それがバズったりしていますし、近い将来、小学生でヒット曲を作るアーティストとかも生まれるかもしれない。

こむぎこ2000:確かに。

ーーくぅさんもこむぎこさんも、言語化できない感情を音楽やアニメで表現していると思うのですが、そこに何か共通点のようなものは感じますか?

くぅ:この前、一緒にご飯を食べた時にも話したんですけど、僕らの共通点って「小学生の夏休み感」だと思うんですよね。夏休み特有のワクワク感、好奇心や冒険心を刺激するような何かが、NEEの音楽性にも、こむぎこのアニメーションにもあるような気がしていて。

ーーワクワクするけど、いつか終わってしまう切なさも同時に含まれているのが夏休みという感じがしますね。

くぅ:まさにそうですね。それと、僕らの音楽はキャッチーな中にも「怖さ」や「不気味さ」「違和感」みたいな要素を入れていて。その方が、単に耳障りのいい音楽よりも逆に脳裏に焼きつくと思っているし、僕自身そういう音楽が好きなので、キャッチーな要素も入れつつそのバランスで世界観を作ろうとしているんですけど、こむぎこの絵の中にも「不気味さ」みたいな要素が多少はあるのかなと思います。

こむぎこ2000:ああ、それはあるかも。キャッチーだけど、どこか狂っている感じというか。そういうバランス感は大事にしていますね。どっちの要素も混在している。「ひっかかり」が欲しいとも思うし。

第一次世界 - NEE

ーー確かに、こむぎこさんの絵にはホラーっぽい不気味な要素があって、そこはNEEの音楽性にも通じるのかもしれない。

こむぎこ2000:それに、自分の作品には「ガラクタの寄せ集め感」があると思っていて。完成されていないラフな感じというか、「不革命前夜」に関しては作業時間の兼ね合いや、僕の好みもあってあえてラフな質感を残していたりするんです。僕、小学生の頃とかリサイクルショップを回ってジャンクパーツを買って、それを寄せ集めてゴジラとか作っていた時期があって。今自分が作っている作品も、その延長線上にあると思っているんですよね。

ーーお話を聞いていると、お二人の表現に共通するのは「退屈」なのかもしれないなと思いました。こむぎこさんがアニメを作り始めたのも「暇を極めすぎたから」と話していましたけど、「退屈」から逃れようとするわけでもなく、退屈な時間を退屈なまま表現すると、今こむぎこさんがおっしゃった「ガラクタの寄せ集め感」や、さっきくぅさんが話していた「小学生の夏休み感」になっていくのかなと。

こむぎこ2000:言われてみれば、納期が迫っているのにやる気が出なくて退屈に感じる瞬間とかがあって(笑)、それが作風にも表れているのかもしれない。『ビューティフル・ドリーマー』の、文化祭の前日が延々と繰り返されて徐々に退屈になっていく感じとかも好きですし、退廃的な世界観も嫌いじゃない。

ーー今は、それに共感する人も多いと思うんですよね。

くぅ:コロナ禍ですしね。もしかしたらみんな退屈な時間を過ごしているのかもしれない。

ーーこむぎこさんは現在、自主制作でアニメを作っていますが、例えば複数人でプロジェクトを組んで長編アニメを作ってみたいという気持ちもありますか?

こむぎこ2000:確かに長編を作ろうと思うと、一人だと限界がある。中には数年がかりで長編作を作っている人もいますけど、僕はムリだと思うので(笑)。いつか長編は作りたいですし、そこはやっぱり人の手は借りたい。例えばどこかから誘いがあって、スタジオを借りて制作するのか、それとも『エヴァンゲリオン』みたいに自己出資で自由に制作するか。その辺はまだ自分でもどうしたらいいのか考え中ですね。

くぅ:僕自身はこれからも、ミュージックビデオやアートワークなど、気になったクリエイターとこれからもフットワーク軽くコラボレーションしたいと思っていますね。とにかくクリエイターが好きですし、彼らとお話したり、一緒に仕事をしたりするのが楽しくて仕方ない。音源をミックスするときも、スタジオのコントロールルームで、エンジニアさんの横に座ってずっと作業の様子を見させてもらったりしていたし、「歩く花」という曲のミュージックビデオを制作した時も、監督さんを家に招いて朝まで一緒に作業したりしましたからね(笑)。

こむぎこ2000:へえ!

くぅ:ものを作るのが昔から好きだったんです。プラモデルとか小さい頃から一人で黙々と作っていたし、今は自分の作品をこうやってクリエイターと一緒に力を合わせて完成させていくことがすごく楽しくて。しかも自分の勉強にもなるんですよ。音楽以外の分野のクリエイターの仕事を間近で見る機会ってなかなかないじゃないですか。そこでの経験は、間違いなく自分自身の曲作りにもフィードバックされると思いますし。

ーー今後、二人でやってみたいことなどありますか?

くぅ:こむぎことはこれからも、友達としても仲良くしていきたいです。

こむぎこ2000:そりゃそうだよ!(笑)。それに、またどこかで一緒に仕事したいよね。

くぅ:そうだね。いつかこむぎこが長編アニメーションを作ることになったら、NEEがサントラを作りたいな。

こむぎこ2000:ふふふ、いいね。

アウトバーン - NEE

■リリース情報
NEE 1st Full Album『NEE』
2021年9月1日(水)リリース
・初回限定盤【CD+DVD】¥4,620(税込)
・通常盤【CD】¥2,970(税込)

<CD収録曲>
01. 全校朝会
02. 第一次世界
03. アウトバーン
04. 下僕な僕チン
05. You are はっぴー
06. 九鬼
07. ボキは最強
08. 夜中の風船
09. 本当は泣きそうです。
10. 因果オウホウ
11. ぱくちー
12. 不革命前夜
13. ビリビリのーん
14. こたる
15. 歩く花
16. 帰りの会

<DVD収録内容>
「よくばりDVD HAPPYセット」(ほぼ全編“副音声”付き)
●極寒の中おこなわれた「九鬼」Music Video撮影のNEEに密着
●NEE 1st TOUR「鬼ぎりTOUR」メジャーデビューを発表したライブの様子も収録
●今までのMusic Video「歩く花」「下僕な僕チン」「万事思通」「不革命前夜」「aLaLe」「九鬼」を円盤化
●くぅ(Vo)ディレクションによる「夜中の風船」MVを限定収録

<購入者特典>
▼「ハサミコメ!」(クリアファイル・A4サイズ)
タワーレコード全国各店/タワーレコード オンライン
▼「サシコメ!」(アナザージャケット兼ポストカード)
・HMV全国各店/HMV&BOOKS online
・TSUTAYA RECORDS 全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング
・楽天ブックス
・セブンネットショッピング
・ビクターオンラインストア
▼「メガジャケ」
Amazon.co.jp

■ツアー情報
NEE 2nd TOUR『熱烈スタンプラリー2021』
公演詳細・申込みはこちら:https://neeofficial.jp/contents/440433
●2021年9月21日(火)福岡・INSA
OPEN 18:00 / START 18:30
●2021年9月23日(木・祝)広島・Cave-Be
OPEN 17:00 / START 17:30
●2021年9月25日(土)大阪・Music Club JANUS
OPEN 17:30 / START 18:00
●2021年9月26日(日)名古屋・APOLLO BASE
OPEN 17:00 / START 17:30
●2021年10月3日(日)渋谷・SHIBUYA CLUB QUATTRO
OPEN 17:15 / START 18:00
<追加公演>
詳細はこちら:https://neeofficial.jp/contents/450255
●2021年11月5日(金)大阪・umeda TRAD
OPEN 18:00 / START 18:30
●2021年11月12日(金)東京・恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 17:30 / START 18:30
<チケット最速先行受付>
1st Full Album『NEE』封入チラシに記載のシリアルナンバーにて応募
受付期間:2021年8月31日(火)18:00~9月12日(日)23:59

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