少女時代「Gee」、KARA「GO GO サマー!」……過去曲がTikTokで再ブーム 若者が“#韓国懐メロ”で踊る理由
最近TikTokで「#韓国懐メロ」というハッシュタグが人気上昇中だ。視聴回数は3億5000万回以上(8月10日現在)。2010年前後のK-POP楽曲に合わせたダンス動画が次々とアップされている。日々絶え間なく新曲がリリースされている中、あえて一昔前のK-POPで踊る10代、20代ーー個人的にも大変興味深い現象である。
「Gee」はもう懐メロ?!今の10代を踊らせる10年前のK-POP
中でもダントツで使われている曲は少女時代の「Gee」だ。TikTokフォロワー数39万人の姉妹「ゆりめり」もカバーを投稿し、音楽ストリーミングサービス「AWA(アワ)」が選んだプレイリスト「HOT SONG(7月)」の1曲目にも選ばれている。「Gee」は少女時代が名実ともに韓国のガールズグループの頂点に立ち、また日本でブレイクするきっかけにもなった代表曲である。カラフルなスキニーパンツを着て踊るMVも話題となり、K-POPアイドルとして初のYouTube再生回数1億回を記録。日本における「第一次K-POPブーム」の象徴でもあった。
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TikTokで「#韓国懐メロ」で検索すると「MR.TAXI」など少女時代の別楽曲や、同時期に活動していたKARAの「GO GO サマー!」、Wonder Girls「Nobody」のダンスカバーも目にする。当方、30代の古参K-POPファンとしては「すでに懐メロなの?!」と少々ショックを受けたものの、「Gee」のリリースは2009年(日本語版は2010年)。「GO GO サマー!」に関しても2011年と、10年以上の歳月が流れている。おそらく今の高校生や大学生にとっては幼い頃に聴いた“初めてのK-POP”なのだろう。そんな「懐メロ」と認めざるを得ない楽曲が今、日本で再ブレイクしている理由は何だろうか。
2010年代のK-POPが再び脚光を浴びる理由
BTSやBLACKPINK、NCTなどの活躍によりK-POP人気が持続しているというのは大前提として、SpotifyなどサブスクリプションサービスやYouTubeで簡単に過去の曲やMVにアクセスできるという点は大きい。前述した「Gee」や「Nobody」はK-POPを“ディグって”いくと必ず出会うレジェンドソングだ。今の“推し”を追っているうちに偶然辿り着いた人、TikTokを通じて初めて聴いた人もいるかもしれない。『PRODUCE 48』や『Nizi Project』など近年のオーディション番組で課題曲として使われたり、若手アーティストがカバーすることで改めて発見されるパターンもあるだろう。
そして2010年前後のK-POPは思わず口ずさんでしまう、真似して踊ってしまうキャッチーでポップな名曲が豊作だった時代でもあった。「Gee」「Nobody」もその良例だ。インパクトを重要視していた時代だったとも言えよう。一方、世界のスターとなったBTS、BLACKPINK、最先端のスタイルを追求するNCTなどを見ても、2021年のK-POPは世界の(特に欧米の)最新トレンドに乗った楽曲が多く、歌詞も親しみやすさよりメッセージ性を重視。必ずしも“誰もが歌えるキャッチーさ”を目指していない印象を受ける(BTSの「Dynamite」は全てを兼ね備えたモンスター曲ではあるが)。