1stアルバム『NEW ROMANCER』インタビュー
理芽×笹川真生、音楽の中で共鳴しあう互いの人間性 出会い~二人三脚で歩んだ変化と成長の日々
(花譜とのコラボ曲は)「ほとんど悪ふざけのような感じ」
ーー他に挙げるとしたらどの曲ですか?
理芽:「ラヴソング」も好みですけど、自分が歌っていて好きなのは「さみしいひと」です。今まではバンド調の曲や激しめの曲も多かったと思うんですけど、「さみしいひと」はリズムもテンポもよくて、タイトルの割には全然さみしく感じられないような雰囲気も気に入っています。
笹川:この曲は、ちょっと悪ノリをした曲ですね。聴いている分には普通に感じると思うんですけど、実はメロディで聴いているときの譜割りと、文字で歌詞を読んだときの譜割りが違っていたりするので、ぜひ歌詞カードをみながら聴いてくれると嬉しいです。
あと、“印象深い”という意味では、「食虫植物」も忘れられないですね。今回収録されている14曲のうち、実は「食虫植物」だけは、理芽ちゃんと会う前からずっとあった曲だったんです。「ユーエンミー」を作る2年ほど前に、もともとは自分の曲として作った曲なんですけど、そのとき、「自分で歌うのは何か違うな」と思って、ずっと放っておいた曲で。理芽ちゃんとやるようになってしばらくして思い出して、最後まで仕上げて歌ってもらったら、「ああ、これでよかったんだ」と思ったのを覚えています。その後、運よくたくさんの方に聴いていただける曲になって――。「歌ってよかったね」とすごく思った曲でした。
理芽:「食虫植物」は、公開したばかりの頃は特別反響の多い曲だったわけではないのですが、それが次第にたくさんの方に聴いてもらえるようになっていって、自分のことではないような、すごく不思議な感覚でした。この曲は、理芽としての印象もガラッと変わるような雰囲気の曲だったので、歌うときは、可愛らしさを意識して、普段の理芽ではないような雰囲気を表わした曲にもなったと思っています。
――これまで花譜さんの「まほう feat. 理芽」や、V.W.P の「魔女(真)」などでもコラボレーションをしてきた、同じ事務所の花譜さんを迎えた「魔的 feat. 花譜」はどうですか?
理芽:今までは、花譜ちゃんの曲を作っているカンザキイオリさんの曲を2人で一緒に歌っていましたけど、今回は真生さんが作ってくれた初めての2人の曲だったので、いつもとはニュアンスが少し違っていて。その中で、いつも2人で歌っているときの楽しさは忘れずに歌うことを大切にしていきました。
笹川:この曲は、お祭りみたいな曲にしたいと思って作っていきました。特に最後のサビの部分は、ほとんど悪ふざけのような感じです(笑)。2人の歌声のハーモニーもすごくよくて、作家として嬉しい経験になりました。
――ラスト曲の「十九月」についても教えてください。
笹川:自分の場合、普段自分の曲を作るときと、理芽ちゃんの曲を作るときとでは、使う脳が結構違っていたりするんですけど、この曲に関しては、普段自分の曲を作っているときに近い脳で作っていて、バーッと一気に書いたのを覚えています。いつも曲を作る際は、最初にワンコーラス仕上げてそれを送って、判断を仰いでから制作に入っていくんですけど、この曲はワンコーラスのデモができて、それを送って返信が返ってくるまでにフル尺もできてしまって。普段の僕の曲との切り分けがあまりない唯一の曲だと思います。
――この曲は理芽さんのボーカルが語りのようになっていて、とても難しいそうですね。
理芽:これは一番苦労した曲でした。
笹川:ずっと文句しか言っていなかったんですよ(笑)。
理芽:それは内緒にしてください(笑)! あたしは語りのようになるとどうしても方言や訛りが出てしまいますし、この曲はとにかく難しすぎて、最初のうちは真生さんが作ってくれた通りに歌おうとしても、なかなか上手くできませんでした。でも、そこからしばらく慣れはじめた頃に、「自分の歌いやすい形で歌ってみよう」と思って進めていった曲でした。
“ニューロマンス”=テクノロジーを介した好きの多様性
――これまでお話を聞いた楽曲もそうですが、笹川さんが作る理芽さんの楽曲は、時には人に見せたくないような感情までを描いていたりと、とても複雑な感情が詰まった楽曲が多いイメージです。ここには、何か込められている思いのようなものがあるんでしょうか?
笹川:やっぱり、私自身の性格がそうだからという部分も関係していると思いますが……でも、理芽ちゃんもきっとそうだと思うんです。そもそも人には、大なり小なり、みんなぐちゃぐちゃなところがあると思いますし、理芽ちゃんの曲に関しても、不思議とこうなってしまった、という感覚でした。今回収録されている曲たちは「こんなふうに作ろう」という話し合いをしてできた曲ではないので、自然にこういう曲ができていったような感覚です。
理芽:実際、あたし自身も、綺麗な部分だけを持っているような人間ではないですし、真生さんからもらった曲に共感する部分もすごくあって、それを歌うことによって、シンガーとしてもより自分の魅力を引き出してもらえたような感覚があります。なので、真生さんの曲は自分にすごく合っているんじゃないかな、と思っています。
――笹川さんにとっては、理芽さんとの制作作業は、どんな場所になっているのでしょう?
笹川:今では、日頃の羽を伸ばせる、気持ちのいい遊び場のような場所になっているような気がします。僕が曲を作って、理芽ちゃんに歌ってもらって、その歌声から「次はこんなこともしてみたいな」と連想するようなことも、最近は増えてきていると思います。
――その際、笹川さんの中に、何か核になるような「理芽さんの音楽」の要素はありますか?
笹川:難しいですけど……たとえるなら、自分の頭の中に神様のようなイメージ上の“理芽”がいて、そこからは絶対にブレないようにしています。そこで間違ったことを言うと、自分の中でイメージしている理芽ちゃんが、「それは違うでしょ」と言ってくれるような感じです。
――改めて、今回のアルバムはお2人にとってどんな作品になったと思っていますか?
理芽:自分にとって初めてのアルバムなので、この『NEW ROMANCER』には、初期のあたしから今のあたしまで、これまでの活動の中での色々な姿が入っています。それもあって、自分の思い出を集めたアルバムのような感覚の作品だと思っていますし、みなさんにとっては、あたしの変化だったり、これまでの色々な時期の自分だったりを、たくさん見てもらえる作品になっているように思います。曲調もそれぞれ違っていて、似ている曲はないので、そういう意味でも楽しめるんじゃないかと思います。
笹川:アルバムの肌触りとしては、色々な曲が入っていて、幕の内弁当のような雰囲気になっているのかな、と思っています。そのうえで、1枚目の作品として、「理芽とは、こういうシンガーだぞ」という、名刺代わりの作品になっているのではないかと思います。
――最後に、アルバムタイトルの『NEW ROMANCER』の由来を教えてください。
理芽:5月の1stワンマンライブのMCでも話したんですが、あるSF小説からヒントを得てプロデューサーさんがこの「ニューロマンス」というのをあたしのキーワードに決めました。新しい時代の、テクノロジーを介した好きの多様性。それがニューロマンス、です。
あたし自身もとても好きな言葉になりました。アルバムを作れたことはゴールではなくて、むしろここから初めてのスタートを切ったようなものだな、と思っているので、これから音楽の新しい形を作りあげていけたらいいな、と思いますし、新しく誰かに寄り添って、新しいものを見つけていきたい、という思いを込めて、ライブタイトルの『ニューロマンス』の延長で『NEW ROMANCER』というタイトルになりました。
■リリース情報
2021年7月21日(水)発売
理芽 1st Album『NEW ROMANCER』
KTR-029 / ¥5,000(税込)
※BOOTH特別販売価格 レーベル:KAMITSUBAKI RECORD
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<収録曲>
01. ピロウトーク
02. ラヴソング
03. さみしいひと
04. 宿木
05. いたいよ
06. 甘美な無法
07. 食虫植物
08. 胎児に月はキスをしない 09.NEUROMANCE
10. ユーエンミー
11. クライベイビー
12. 魔的 feat. 花譜
13. やさしくしないで
14. 十九月
<商品内容>
1 CDアルバム
2 アートブック
3 アクリルキーホルダー
4 缶バッジ(3個セット)
5 ステッカー(3枚セット)
6ポストカード
■関連リンク
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